唯一のコンビニ経営者である社会保険労務士
齋藤 晃人です。
今回のブログは
【コンビニ業界】共存共栄に向けた未来への提言!
第一回提言書:現状把握と近未来のリスク
と題して記事をアップ致します。
昨今、セブンイレブンオーナーが24時間営業を辞めて以降
コンビニ問題が大きくクローズアップされてきています。
私も20年コンビニ経営に携わってきましたが
これだけ大きく社会の環境が変わっていくのに
コンビニの経営環境が全く変わっていないことに
危機感を持っています。
このままの状態が続くと
業界自体が消滅してしまう危険さえ感じるこの頃です。
決して本部と対決して
”ぶっ潰す”という訳ではなく
本部と加盟店の「共存共栄システム」を提言するという
意味合いで述べさせて頂きます。
少しでもコンビニ業界を良い方向に向けて
「働く人が幸せを感じられる」
真の意味での社会インフラに
コンビニ業界が進化していけるように
という思いを込めて書かせていただきます。
まず最初に、コンビニオーナーと言っても
いろんなタイプが存在し
それぞれに異なる問題があるという点から
この問題の根本的な要因は何なのかを解説していきたいと思います。
コンビニオーナの種類
1.個人事業主
夫婦・兄弟・家族経営のコンビニオーナー
社会保険の加入義務:常勤勤務5人以上だと加入義務あり。
2.法人契約
法人で契約している。社員を雇用してコンビニ経営するオーナー。
契約者は法人。
社会保険の加入義務:加入は義務
現在、コンビニについて様々な問題が提起されていますが
契約主体によって問題が異なります。
コンビニの歴史的背景と社会の変化
元々セブンイレブンが最初に出来た当時のビジネスモデルは
夫婦二人で契約して家族労働を前提としていました。
社員を雇用して
コンビニを経営するという考え方はありませんでした。
やがてコンビニの出店の攻勢はとどまることを知らず
本部も複数店経営を推奨し
フランチャイズ契約を法人と締結し更なる拡大戦略を図って行きます。
一社のオーナーが50-60店舗を運営している例も多く
現在では5万8千店舗の規模に拡大し飽和状態に達しています。
加入の条件はあるが、一般的に人を雇用するということは、
労災保険・雇用保険・健康保険と言った厚生年金に加入義務が生じます。
当然加入のためのコストが発生致します。
それに加え「雇用責任」を負うことになるのです。
当時であれば、飲食小売業界は
仕方ないとして国も黙認してきた節もありますが
昨今の少子高齢化時代を迎え
国民皆保険制度をどうやって維持していくのか?
国家的な大きな課題となっています。
社会保険未加入の会社に対しての加入圧力は強くなり
最低賃金の上昇に加えて、更に大波がやってきます。
社会保険加入基準の拡大と働き方改革が必要となります。
このあたりのコストというものが
コンビニのフランチャイズ契約においては、全く考慮されていない点です。
人件費と法定福利費について本部が利益配分を見直さなければ
ほとんどのコンビニ加盟店が総ブラック企業に突入するのです。
国が
これらの政策を推し進めれば進めるほど
契約更新せずに離脱するか、払いきれずに運営会社が倒産致します。
社会インフラを維持する
コンビニが5万店の店舗網が一気に崩壊するのは目に見えているのです。
<現状>社会保険未加入問題
本来、社会保険に加入義務があるのに加入出来ない加盟店が多いのが現状。
原因は、元々コンビニの契約のベースは、夫婦二人で共同契約者として債務履行するのが原則だった。家族労働の延長線での契約が前提。元々社会保険への加入は想定されていない。今後の少子高齢化社会を支えていくためにコンビニ業界に皆社会保険制度を実行可能な施策が急務である。
【問題点】年金機構の調査等が入った場合、2年間遡及加入となる場合がある。
<近未来>様々な運営コストの増加要因
3つの大きな柱:健保、厚生年金の適用拡大、最低賃金の上昇が
運営コスト増加の原因となります。※-中小企業の施行期日
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最低賃金の上昇
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外国人留学生の28時間問題の現状
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年5日間の年次有給休暇の取得を義務化
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時間外労働の上限規制 ※2020年4月から 罰則の適用あり
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月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の改定(125%→150%) ※2023年4月から
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厚生年金保険・健康保険の加入対象の拡大(週30時間以上→週20時間以上)※2022年頃
これらの働き方改革施策に対応可能な利益配分に変更する必要があります。 このためには、ロイヤルティ5%減額程度が必要です。
ロイヤルティーの減額も実施されないのであれば、人件費の一部を本部が負担する加盟店支援を最優先に検討すべきです(社会保険料の負担など)。
【問題点】
・入管法による罰則の適用あり
・労基法による罰則の適用あり
・労基法による罰則の適用あり
これらを守れない事業主に対して指導強化し
最悪の場合は罰則の適用もあるということに注視しなければなりません。
根本的にこれらの法令を遵守するための最低限のフライチャイズ契約になっていないのにも関わらず責任を追うのは「加盟店」なんです。
さてここまで
「コンビニ業界 共存共栄に向けた未来への提言
①現状把握と近未来のリスク」
について述べさせていただきました。
第2回未来への提言書は
「抜本的解決のための唯一の方法(仮題)」を掲載予定です。
あけぼの社労士事務所・代表
齋藤 晃人