キャンパスNOW:トップインタビュー 大阪芸術大学・塚本邦彦学長

2007.08.22 大阪朝刊 17頁 特集面 写図有 (全2,377字) 













 ◇充実の設備、個性的な教員



 ◇「学生のためになること」を指針に



 関西の総合芸術大学として注目を集める大阪芸術大学(大阪府河南町)の歴史は、1964年に設立された浪速芸術大学にさかのぼる。河内の豊かな緑に囲まれたキャンパスには、夏休みでも創造活動にいそしむ学生たちの活気であふれている。設立以来、個性豊かな芸術家やクリエーターを社会に送り出し、05年にはキャラクタービジネスの未来を支える人材育成を図るためキャラクター造形学科を新設するなど積極的だ。大阪芸大が属する学校法人塚本学院理事長も務める塚本邦彦学長に、今後の展望などを聞いた。【聞き手は鈴木敬吾・毎日新聞学芸部長】



 ◇芸能界に多数の卒業生



 ――大阪芸大をはじめ、全国で芸術系大学の動きが目立っています。



 ◆学生が「こんなに楽しんでいいんでしょうか?」というくらい楽しんでいるんだと思います。学生に元気があるので、大学全体が元気になってきてるんじゃないでしょうか。



 ――大阪芸大の特徴はどういったところにあるのでしょうか。



 ◆よく四つの自慢をするんです。一つは設備の自慢。建物全体に芸術選奨文部大臣賞をいただいているんです。もちろん充実もしています。撮影所や芸術劇場(約600人収容)、スタジオは20~30あります。先生と学生の必要なものは全部あります。美術品のコレクションも多く、世界で4セットしかないアンリ・カルティエ=ブレッソン写真コレクション、イギリスの「近代デザインの先駆者」と称されたウィリアム・モリスのコレクションなど一級品に触れることもできます。



 二つ目が教員ですね。有名な人がおります。キャラクター造形学科は「子連れ狼」の小池一夫学科長、放送学科には語り芸術家の平野啓子教授、写真学科長は織作峰子教授、音楽学科には歌手の財津和夫教授、舞台芸術学科には俳優の浜畑賢吉学科長。放送学科の岩崎冨士男学科長は世界のCMの賞を総なめにした人です。



 三つ目は卒業生。芸能界にもいっぱいおります。古くは歌手の世良公則さんから、俳優の筧利夫さんまでおります。



 ――バラエティーに富んでいるんですね。



 ◆現役の学生が一番の自慢です。昔は芸術では食べていけない、と親の反対を押し切って来ていましたが、今は親が勧めますね。



 ――造形系、メディア系、音楽系の三つに分けられた学科は多種多様です。



 ◆漫画とかポピュラー音楽など、ひと昔前なら、それが大学で学ぶ学問かと問われそうな分野ですが、今は思いもしなかったものがどんどん出てきています。



 ――キャラクター造形学科や、ポピュラー音楽コースですね。



 ◆キャラクター造形は、大学で漫画かと、かつては親に怒られたコースですが、今は入るのが大変難しい。卒業生はまだ出していませんが、プロもおります。



 ――「IAAF世界陸上2007大阪」の公式マスコット「トラッフィー」のキャラクターも、学生の川上雄太さんのデザインが採用されて話題になりました。



 ◆世界陸連から大阪芸大で作ってほしいと特命をいただきました。その中で川上さんが当選しました。トラッフィーはもともと炎なんですよ。発表の記者会見で「炎は赤いのでは?」と質問され、川上さんは「赤い炎は闘争心丸出し、青い炎は内に秘めた闘志です」と。ええ答えしたなぁと思いましたね。



 ――漫画誌「大学漫画」も出しています。



 ◆年3回発行しています。普通、大学で出している雑誌は書店には置いてくれないのですが、書店でも売ってくれています。



 ――ほかにどのような学科に人気がありますか?



 ◆もともとデザインは人気が高い。放送は本学と日本大にしかありません。舞台芸術学科も人気があります。



 ――テレビドラマを学内で制作しています。10月に放送される「愛しのファミーユ」で5作目だそうですね。



 ◆スタジオも機材も撮影所などの設備もありますし、出演者は舞台芸術学科の学生をオーディションで選びました。



 全国のUHF局で放送されました。視聴率は測定不能でしたが、結構評判になりました。何より、学生にとって高度な実習になっています。



 ――一番の勉強になりますね。「世紀のダ・ヴィンチを探せ!」についてもお聞かせください。



 ◆本学が世界規模で作品を公募する国際アートトリエンナーレです。学生のやる気を鼓舞するために開催します。外国からの作品もじかに見られますので、刺激を受けることにもなります。



 ――今後の大阪芸大グループはどういった方向を目指されるのでしょうか。



 ◆創設者は幼児教育を目指した人で、そこから芸大につながっていきました。短大もまだまだ需要があると思っています。芸大の通信教育部は、定年退職して、若いころ夢だった美術や音楽をまた始めようという人のためにもいいんじゃないかと思います。大阪美術専門学校は即戦力育成ですね。



 ――幅広い戦略は芸大の持つ強みですね。



 ◆本学の行動指針は、学生のためになるか、ならないかです。学生のためになることをやっていきたい。窓口をあまり広げず、中身をもっと充実させて、学科も再編成しながらやっていきたいです。



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 ◇大阪芸術大



 1966年、浪速芸術大学(64年設立)から大阪芸術大学に改称された。現在、芸術学部に14学科を設置し、学生数は約7000人(通信教育部を除く)にのぼる。大学院も設置している。02年に博物館を開設。05年10月に完成した芸術劇場は、音響や照明、楽屋など本格的な施設を完備している。運営する学校法人塚本学院は、大阪芸術大以外に短期大学部(大阪市東住吉区、兵庫県伊丹市)、大阪美術専門学校(大阪市阿倍野区)、4幼稚園を持つ総合学園。出発点は、塚本英世・初代理事長が1945年に創設した平野英学塾。