こんにちは。
本日は、飛行帽のご紹介ではなく
日本海軍元特攻隊員の阿部金義様にお聞きした、特攻についてのおはなしをご紹介したいと思います。
《まずは銀河の細部》
【銀河11型 胴体中央部】
電信席チェック中。
第二および第三可動風防の収納状態がわかります。アンテナにくくり付けられているのは「松の枝」。
銀河に初めて乗った時は、とてもせまっ苦しい座席だなと
感じました。 事実、 離陸時は、座席を後ろ向きにし、着陸時
は、前向きに します。 着陸時に、後ろ向きで着陸したばあい
少しでも、着陸に失敗し、飛行機がつんのめった場合、後頭部
を、前面部にぶつけて、大けが をする場合がおおいです。
前面を向いている場合は、前につんのまないよう腰バンドをして
いるので大丈夫です。 ただ、方向転換は、座席が狭いので、
とても苦しかったことを、覚えています。
２０ｍｍ 機銃は、３～４発ずつ、撃ちますが、ドドー と機体に、
響くのでしょうね、最初は、 操縦士から、今の揺れは なんだ と
質問がきます。
射撃訓練で、１～２か月に、一度くらい 地上で、機銃の発射訓練
をしますが、 発射の際は、胸から下腹にかけての、揺れと重圧が
ものすごいです。
一弾そう ９０発 位いと記憶していますが、５０発くらい撃つと、耳
や頭が、くらくらとしてきます。
機体の色は、暗緑色です。 巡航飛行の高度は、３０００ｍ 前後と
記憶しています。
４０００ｍ ぐらいから、酸素マスクを使用すると言われましたが、私は
マスクをしたことはありません。 戦後、 Ｔ－３３ で使用しましたが、
少し、呼吸が、苦しく感じます。 酸素を１００％ に すると 酒酔いに
良いといわれています。
302空の銀河の電信席に太いアームで支えられているのは99式20mm旋回機銃11型改。2式13mm旋回機銃が間に合わず代用品で、防御用火器としては発射速度が小さく、かつ大がらにすぎた。特攻について、
私達の時の特攻への任命は、 志願とか 希望だとか、ではなくて、もう強制なのです。
２０年５月の半ば頃、豊橋空で、始めて銀河に乗り、２～３回 乗ったら、訓練を兼ねて、偵察飛行に行けといわれて、九州の南、沖縄の近くまで飛行し 豊橋空に戻ったら、銀河の飛行は合格、攻４０６空に転勤といわれ、島根県の境港に飛ばされました。
そこで、沖縄攻撃の要員として、訓練しているうち、突然、松島の攻撃４０５飛行隊に、
特攻要員として転勤 （ 全部で３０名くらい）を命じられました。
これは、サイパン島にいる Ｂ－２９ もろとも、 サイパン島を奪取して、日本本土への
爆撃・攻撃をやめさせ、米軍の日本本土への上陸作戦を、遅らせる作戦に、特攻要員として、参加させるためのものでした。
一式陸攻に、斜め銃を取りつけ、地上のＢ－２９を焼き討ちし、その後 陸軍の将兵 約 ５～６００名を上陸させ、サイパンを占領すというものでした。
そして、サイパンを掩護する、敵の機動部隊が、比島のレイテ湾に停泊しているので、彼らを、特攻攻撃で、撃沈せよというのが、我々の任務で、７月 我々は、小松飛行場に行き、８月始め、台湾に移動し、８月１５日 特攻攻撃・実施、その後、松島の本隊は 一式陸攻・銀河に、陸軍兵を乗せ、サイパンの Ｂ－２９を激破するというものでした。
これが作戦が成功したら、日本はアメリカ と和平するというものでしたが、原子爆弾
が先に、広島・長崎に落ちて、先に 日本は 降伏しました。
そして、私を始め、多くの若者の「 命 」 がたすかりました。
私の場合、 特攻は、 命令でした。
陸軍の指揮官は、園田大尉 と言いました。 戦後 参議院の議員議長か副議長 までやられた方です。
一式陸攻の斜め銃は、胴体の両側に、銃口を、斜め下に向けて、片側 １０丁 計 １０～１９丁、陸軍の兵隊さんは、全員 剣道の達人、（ と言われました） 日本刀を持ち、ピストルを所持、総指揮官は、飛行長で 乙種予科練 Ⅰ期生 出身の 野口克己 海軍大尉これは、日本海軍創設以来のできごとです。 海兵出でない者が、指揮官に付くことは、内部規則で禁じられていました。
B-29 を撃破後 生きのびた者は、山に逃げて、ゲリラとなり、徹底抗戦するというものでした。 阿部
半ファウラー式のフラップを下げ降ろして滑走路端へタキシングしていく。自転車で駆けつけた左の搭乗員も、外した車輪止めを持つ整備員も、今生の別れに帽子を振る。胴体上面に付いた輪は方向探知機のループアンテナ。「阿部様も特攻を志願するときに、熱望・望・否などに印をつけて志願されたのですか」という質問をさせていただきました時に頂いた、おはなしです。