映画『おいしくて泣くとき』(配給 松竹)のマスコミ試写会にご招待をいただき、
4月4日(金)の公開に先駆け、観てまいりました。
本作品は、森沢明夫氏による同名小説(角川春樹事務所 刊)の初実写映画化。
“互いの幸せを願いう純粋な想い”を、まっすぐに描いた小説は、多くの読者の心を揺さぶり話題となりました。
私も、映画鑑賞後に、遅ればせながら、読んでみたいとの思いを持ちました。
本作の主人公。幼い頃に亡くなった母との思い出の四つ葉のクローバーを
ずっと大切にしている、心優しき高校生男子・風間心也を演じるのは、
長尾謙杜。
若い世代を中心に、大人女子のハートをも鷲づかみにしている
大人気アイドルグループ、なにわ男子のメンバーで
近年では、NHK大河ドラマ『どうする家康』や、映画『岸部露伴 ルーヴルへ行く』(23年)、
1月に公開された大泉洋主演の映画『室町無頼』なに出演するなど、
俳優としての活躍も目覚ましい、期待の若手だ。
そして、心也の同級生で、どこか翳のある少女、新井夕花を演じるのは
當間あみ。
2022年1月にTBS系ドラマ『妻、小学生になる』でドラマデビューを果たして以降、
アサヒ飲料「カルピスウォーター」14代目イメージキャラクターに抜擢されるなど
目覚ましい活躍で注目を集め
NHKドラマ『ケの日のケケケ』(24)でドラマ初主演を務め
2月1日~15日まで放送されたNHKドラマ『リラの花咲くけものみち』にも出演。
2月27日から世界配信となったNetflix映画『Demon City 鬼ゴロシ』にも出演している。
心也を男手ひとつで育て上げ、複雑な事情を抱える子どもたちのために自信が経営する食堂を
子ども食堂としても開放している愛情深い父・風間耕平を、安田顕が務め
物語に、強い意味合いと深みを与えている。
ほかにも、突然、高校生時代のあの日…離れ離れになってしまってからも
夕花への想いを大切に胸の奥にしまいながら、父から食堂を受け継ぎ、子ども食堂としての役割も
大切に続けている30年後の心也を、ディーン・フジオカが演じている。
また、亡き心也の母、風間南を美村里江が演じ、心也を想う母の愛に、観る者は心揺さぶられずにはいられない。
〈STORY〉
サッカー部のエースだった心也(長尾謙杜)は、ケガで大事な試合にも出られず、鬱々とした日々を過ごしていた。
そんなある日、"クラブ活動をしていないから(暇でしょ…)"という理由で
半ば強引に、学級新聞コンクールの係に、夕花(當間あみ)とともに使命されてしまう。
実は、夕花は、心也の父が営む大衆食堂”かざま食堂”に弟を連れてたびたび、やってきていた。
かざま食堂は、さまざまな理由を抱えた子どもたちを
「いつでもご飯を食べにおいで(子どもは無料だから)」と温かく迎え入れる
子ども食堂を兼ねていたのだ。
幼馴染ではあったものの、いつしか、なんとなく距離ができてしまい
初めはぎくしゃくしていた二人だったが、学級新聞コンクールの係に選ばれたことをきっかけに
次第に打ち解け、
皆に内緒で、ふたりだけで“ひま部”を結成
家にも学校にも居場所がなく、クラスで孤立していた夕花は
心也といる時が、心やすらぐ、大切な時間となっていくのを感じていた。
一方の心也も…。
ある日、不良の同級生・石村(水沢林太郎)から呼び出され
自分が子ども食堂の常連であることを、口外した疑いをかけられてしまう。
石村が心也に今にも殴りかかろうとしたその瞬間、別の不良グループが現れ
その少年たちは、心也の父親のことを、偽善者呼ばわりし、嘲笑い
挙句、心也に頭からサイダーをかけるという卑劣な行動に出る。
何も言い返せない心也を前に、気まずそうな表情で立ち去る石村。
荒れた心を癒してくれたのは、夕花だった。
心也も、優しい夕花に次第に心惹かれていく。
そして、迎えた夏休み。
暇を持て余していた心也は、石村とバッタリ遭遇する。
かつての誤解も解け、和解する二人。
その時、事件が起きる。
夕花の暮らすアパートの前で、義父に酷い暴行を受け投げ出される夕花の姿を
目撃してしまう二人。
夕花は、実は、血の繋がらない父親から、厳しい扱いを受けていたのだ。
石村が義父を夕花から引き離し、体を押さえ込んでくれている間に
夕花の手を取り、全速力で逃げる心也。
「わたし…逃げたい…遠くに」
夕花の悲痛なつぶやきを聞いた心也は、かつて、両親と訪れた思い出の地へと夕花を連れて行くことを決意。
目の前に広がる、美しい海。夕暮れに染まる堤防。
そして、二人は、心也が亡き母と四つ葉のクローバーを探した思い出の公園にたどり着く。
せめてもの希望の光を見出すかのように、懸命に四つ葉のクローバーを探す心也と夕花。
だが、朝になっても四つ葉のクローバーは見つからず
心也は、夕花に想いを告白し、大切なあるものを手渡す。
しかし、二人の別れは、突然にやってくる。
母が亡くなって以降、誰とも、約束を交わせずにいた心也だったが
離れていく夕花を前に、声を振り絞って叫ぶ。
「約束する、俺たち絶対また会える」
それから30年の月日が流れ
心也は、一度も合うことのできない夕花との約束を胸に、父から引き継いだ食堂を営んでいた。
だが、突然の事故で店が大破し、営業停止をやむなくされてしまう。
途方に暮れる心也のもとを、ある日、一人の若い女性が訪れ……。
この作品には、今の時代に向けての大切なメッセージが詰まっていると言える。
子ども食堂
私も、取材する中で、子ども食堂を兼ねているお店に出会ったことがある。
地域の生産者、企業などの強力・支援を受けながら
子どもたちに、安心して食べられる“ご飯”を提供している食堂は
現代社会の問題、闇、活路、改善策…さまざまなことに思いを馳せるきっかけをくれる、
貴重で
もっと支援され、広がっていくべき存在だ。
でも、
作品の中にあったように
子ども食堂に通っていることを、友達、同級生に知られたくない
そんな悩みを抱えている子どもも、一定数いるのかもしれない。
また、自らの心的ストレスや、問題を、弱者に向けることでしか発散できない
そんな子どもたちもいて
今も昔も、そんな子どもの、相手への思いやりに欠けた、軽はずみな言動は
時に、同じ年頃の、繊細な子どもの心をえぐる凶器にもなり得る。
現代社会は、複雑な問題が絡み合っている社会でもある。
そんな中で
「世界のどこかで、キミが、笑っていてくれますように」
そう願える存在の、大切さについて、考えた。
人が人を支え、生きていくことの意味。
誰かに、救いを求める、頼る
寄り添うこと
そして、自然に手を差し伸べる
そういう歩み寄りが
もっと、身近に、日常的に広がっていけば
解決できる問題も、たくさんあるように思う。
試写会の片隅で…(最前列で)
涙した、本作。
見終わった後から、心から多くの人に薦めたくなった映画。
ぜひ、ひとりでも多くの方に、優しい気持ちを思い出しながら、見届けていただけたら嬉しい。
(ライター:日下郁子)


























