先日、マスコミ試写にご招待いただき、
映画『俺ではない炎上』(配給:松竹)を鑑賞してまいりました。
"炎上"
なんとも、インパクトの強い字面ではないか。
でも、この言葉が、ある意味「日常茶飯事」とも言えるほど
目にとまる、耳に飛び込んでくることが増えた令和7年。
「…いや、また、燃えとんのかいっっ」
「今度は何…?誰が何やらかしたって?」
てね。
SNS上で語られる不確かな
「ほんまかいな」と突っ込みたくなる、どこかあやふやな、ふわっとした情報。
〇〇談。〇〇説。
そんな、根拠の乏しい情報に
まるで本当に見知ったかのような、コメンテーター気取りの個人の見解、解釈が付随し
勢いを増し、瞬く間に広がり
大きな事件へと発展する。
誰もが、スマホやタブレットなどをはじめとしたパソコン端末を簡単に操り
世界と…不特定多数の"ネット民"と繋がり
瞬時に、情報が拡散されていく
そんな現代に潜む、SNS冤罪の恐怖を描いた、浅倉秋成氏による同名小説(双葉文庫)
が実写映画化された本作。
SNS上で殺人事件の犯人に仕立て上げられ、その情報がたちまち炎上
世間の人間ほぼすべてが敵となってしまう
…そんな最悪な状況下で決死の逃亡をはかる男・山縣泰介を演じるのは、
数々の映画やドラマ作品で重厚な役からコミカルな役までを幅広く演じ分け、
幾多の栄えある賞を受賞し、その絶対的存在感、安心感を不動のものにしてきた
俳優・阿部寛。
彼を取り巻く登場人物にも
山縣泰介を追う謎の大学生・サクラに芦田愛菜、
大学生インフルエンサー・住吉初羽馬(しょうま)に藤原大祐、
泰介の取引先企業の若手社員・青江に長尾謙杜(なにわ男子)、
泰介の妻・芙由子に夏川結衣と、
確かな演技力で作品に深みををもたらす実力派から
勢いがあり、今後の演劇界を背負っていく期待の若手と、
それぞれの化学反応も楽しみなキャストが集結。
主人公・山縣泰介が追い詰められていく過程を含め、
ストーリーにあまり触れない方が良いように思うので
頭を悩ませながら、このblogを綴っているのだけれど。
指で、ササっとスクロールするだけで
個人的に気になって追っている情報から、世間をざわつかせているニュースまでが
簡単に目の前に飛び込んできて
それに対する、さまざまな個人的意見、思考までが、否が応でも目にとまるような
そんな、SNS時代の闇に迫る本作は
どこか、「自分や自分の身近な人物には絶対に怒らないこと」とは言えない気もしてくるし
今日(まで)の味方が、明日は敵になるかもしれない
そんな、背筋が寒くなるような、怖い現実問題を
まざまざと見せつけられ
すぐには解けない難問=難しい問いをぶつけられたような気がした。
特に
言葉を使う仕事をしている身としては
上映時間の中で、「問題提起」を意識させられる瞬間、
社会問題について今一度、考えさせられる瞬間が
多々あった。
今、この時。
SNS社会について、感じ考えさせてくれる機会を与えてもらえたことに
感謝したい…そんな気持ちも湧き起こった。
とにもかくにも、
身に覚えのない罪に問われ
苦しく、悲しく、遣る瀬無い思いを抱えての逃亡劇を
見事に体現していた
俳優・阿部寛氏を心から讃えたい。
そしてSNSがこんなにも身近になり
コミュニケーションの中心となった、今。
私は、ひとりでも多くの、今この時代を生きる人に
本作を通じて、
そんな現代の情報網の繰り方、
不確かな情報に囚われすぎない生き方
豊かな想像力
を培ってもらえたら…と、願わずにいられない。
(記:ライター日下郁子)

