映画 チャイルド44 森に消えた子供たち ネタバレ・あらすじ・感想 | 映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画 ネタバレ・あらすじ・結末 最終回まで~ドラマもね

映画のネタバレ・あらすじ・キャストを最終回までや日本、韓国、中国、米国の映画・ドラマから面白いものを選んでネタバレ・あらすじ・感想を書いています。 

映画ネタバレ~洋画のご紹介です。

映画 チャイルド44 森に消えた子供たち ネタバレ・あらすじ・感想

映画 チャイルド44 森に消えた子供たち ネタバレ

映画 チャイルド44 森に消えた子供たち 概要



2015年公開のアメリカ映画。
監督:ダニエル・エスピノーサ
原作:トム・ロブ・スミスの小説『チャイルド44』
脚本:リチャード・プライス
ジャンル:社会派 ミステリー
上映時間:137分

実在したウクライナの猟奇的殺人者アンドレイ・チカチーロをモデルに、1950年代のソビエト連邦を舞台にした国家保安庁職員の行動を描いたという基本的に原作に沿ったストーリーの映画。

映画 チャイルド44 森に消えた子供たち ネタバレ・あらすじ



【映画 チャイルド44 森に消えた子供たち ネタバレ・あらすじ~起】
「楽園に殺人は存在しない。」

これは、かつて、社会主義国家の支配者が、自身の国家論を正当化するために掲げた屁理屈である。

1933年、スターリン政権がウクライナに齎した食糧不足から、1日に2万5千人が餓死した。
この飢餓による虐殺、ホロドモールで多くの子供が孤児になった。

レオ(トム・ハーディ)も、かつてそんな孤児の一人であったが、ある軍人に拾われて、彼の養子となった。


それから20年後の1953年。
子供たちの変死体が立て続けに発見される。
年齢は9歳から14歳、全裸で胃は摘出され、山間にもかかわらず死因は溺死。

だが、殺人は国家が掲げる「楽園に殺人は存在しない。」という政府の言い分と相反するため、すべて事故として処理される。

レオはこの頃、秘密警察のエリート捜査官となっていた。

そんなある日、
スパイの容疑がかけられている獣医のブロツキー(ジェイソン・クラーク)の捜索のため、部下を率いて一軒の農家を訪ねた時の事。
レオが、逃走しようとしたブロツキーを追いかけて格闘している最中に部下のワシーリー(ジョエル・キナマン)が、2人のまだ幼い姉妹の目の前で両親を射殺してしまう。
その行為にレオは激怒し、ワシーリーを殴りつけたが、突然両親を失った姉妹はショックのあまり震えていた。
胸が痛むレオであるが、身寄りの無くなった姉妹は孤児院へ行くより他、行き場所がなかった。


【映画 チャイルド44 森に消えた子供たち ネタバレ・あらすじ~承】
一方、連続殺人事件では、親友のアレクセイ(ファレス・ファレス)の息子ユーラも犠牲者となり、
これを切欠に、レオは事件解明に乗り出す。
しかし、このレオの行動は非常に大胆なものであった。
なぜならば、事故である事を否定すると、反逆罪に問われ、捜査が公になれば抹殺されるからだ。

人間らしい心を失いそうになるこの殺伐とした世の中で、唯一レオの心の慰めであったのは愛する妻のライーサだった。
ところがなんと、自白を強要されたブロツキーの7人の協力者の中に妻の名があったとされ、上官に捜査の上、適切に処理するようにと命令されて苦悩する。
捜査と言っても「疑わしきは捕らえ抹殺せよ。」というのが常のこの国のやり方では事実よりも、すみやかに手を下す事が望まれているのはわかっていた。

レオは迷いながら、養父の家へ行って相談する。
本心では、なんとか妻を救いたいと願っていたが、
「ライーサが本当にスパイか、それとも冤罪かの真実とは関わりなく、もし養父母とレオの家族3人で庇えば、4人とも死ぬ事になる。4人の共倒れを選ぶか、1人の犠牲か、どちらを選ぶのか?」
とハッキリと言われてしまい返す言葉もなかった。
そこへ折しも訪れたライーサ。

先ほどの深刻な話を暫し忘れ、温かな家族の晩餐の時に
ライーサに妊娠を告げられ、養母は喜び、レオはますますライーサを犠牲にする事が出来なくなってしまう。

レオが、証拠が見つからない事を願いながら、自宅を隅々まで探しているところに上官の命令で手伝いの人間が何人か来たが、その中にあの態度の悪いワシーリーもいて、レオが聞いてもいないのに「告発は俺じゃない。」と言いながら、ソファーを切り裂いたりする。

そんな中でも連続殺人の犠牲者はまだ増え続けた。
今回も、線路の近くで遊んでいる子供が犠牲者になっていた。


ライーサが働く小学校へ秘密警察が押し掛けてきて、同僚のエマが連行されてゆきライーサは恐怖を感じながら帰宅した。
すると散らかった部屋にレオが座っており、彼女に
“自分が妻の捜査を命じられた”事を明かした。
更にレオは「君の名前を挙げたのはブロツキーだ。知り合いか?」と尋ねるがライーサは不審そうな表情で「答える意味がある?」と聞き返した。
しかしスパイ容疑は否定するが、それでも「次は私たちの番ね。」と、先行きの不安を口にした。

その翌日、
秘密警察の勤務医から、また似通った事件が起きた事と、先の犠牲者ユーラの詳しい検死結果を聞かされたレオは、
一連の出来事が、事故ではなく殺人である事を再認識させられた。


【映画 チャイルド44 森に消えた子供たち ネタバレ・あらすじ~転】
自宅の捜査結果を上官に「証拠は出なかった。妻はスパイではなかった。」と主張し続けた結果、
レオと妻は秘密警察に連行されて汽車に乗せられ、ヴォルスクという寂れた町へ送られる。


異例の左遷だが、ヴォルスクでも、やはりレオの仕事は人民警察であった。
ヴォルスクに着いてから与えられた仮住まいは汚い集合住宅の中の、シャワーやトイレすらない狭苦しい一室。

ライーサも、この地の小学校で再就職する。
ヴォルスクの人民警察のネステロフ将軍は小物であったが、レオはこの人物に命運を握られていたので取りあえずは、おとなしく仕事にいそしむつもりでいた。
だが…ここでもまた、あの少年を対象にした連続殺人が起こり、レオはやり切れない気分になる。
遺棄されたと思われる死体を見ると、まるで、モスクワであったのとそっくり同じ手口なのだ。
レオが死体発見現場で、真剣にこの事件と向き合おうとすると、ネステロフ将軍 は「何をするつもりだ?!」と顔色を変えて怒り出した。
小物の彼は、ややこしい事に巻き込まれたくないと思っているのであった。
余談ではあるが、この時の遺体を発見した駅員のアレキサンドルは、
この発見が切欠でゲイである事がバレて悲劇的な運命を辿った。

ライーサに、モスクワのワシーリーから、こっそりと連絡があった。
ワシーリーは「次のモスクワ行きの列車に乗れ、前の職場に戻してやる。」と言って来た。
ワシーリーは以前からライーサに横恋慕していたようで「俺と一緒に住もう。」と脅迫した。
ワシーリーの脅迫に折れ、家を出たライーサであったが、駅まで追ってきたレオに引き戻された。
そして初めて、本当は好きではなかったが、怖かったので断れずに結婚したと本音をぶちまけるライーサ。
更に「妊娠した。」というのも彼女なりの身を守るための嘘だったと知り、色々と複雑な苦い思いを噛みしめるレオであったが、それでもやはり、レオは妻を愛していた。

駅員のアレキサンドルが殺人の嫌疑を掛けられたまま自殺した後、
レオは再び、連続殺人の犯人の追及に執念を燃やし始めた。
そこで彼はライーサと共に、ダメ元でネステロフ将軍の家を訪ねて、
犯人は旅行者であると思われる事、
モスクワやこの地で起きた一連の少年殺害事件が、同一の犯人による犯行であるに違いない事などを話した。
「きっとまた事件は起きる。犯人はこれからも子供を殺す。」とも。
ネステロフ将軍は「いい加減にしろ!」と怒鳴り協力も断ったが、
一緒にレオの話を聞いていたネステロフの妻は深刻な顔をしていた。
ネステロフ夫妻にも学校に通う子供がいたからだ。

その頃、駅では、とある旅行者風の男が「切手集めが趣味。」と話す少年を、かどわかして一緒に列車に乗り込んでいた。

我が子への愛情からようやく重い腰を上げたネステロフ将軍は、やっと犯人の捜査へ協力するべく行動を起こした。
まずモスクワの医者を呼び出し、これまでの被害者の全記録を入手した。

レオを訪ねて来たネステロフ将軍はこう切り出した。
「犠牲者の年齢は9歳から14歳。遺体の発見場所は線路の傍の森か公園だ。」
更にネステロフ将軍はこう話を続けた。
「いずれも着衣はなく切開された痕があった。死因は溺死。
まともに検死したチームはあったんだろうか?どの事件も犯人逮捕で解決済だ。」
全部で44人もの数になる。
モスクワとロストフを繋ぐ列車の沿線で同じような事件がいくつも起きていた。

事件の再調査のためにモスクワに戻る決意をするレオであった。
ライーサの身が心配で一緒に来て欲しいと頼んで同意を得た。
ネステロフ将軍の手配でモスクワへ行くための身分証も手に入れ、
モスクワへと旅立った二人。

二人は、モスクワへ着くとまずアレクセイの家を訪ねて証拠資料を見せ、
彼らの息子が犠牲になった事件の連続殺人犯を捜索している事をアレクセイ夫妻に話す。
だが、この事件の真相を追及しても悪目立ちして逆に国家に裁かれてしまう事を最早よくよく悟っているアレクセイに拒絶されてしまう。
しかし息子を殺されたのに事故として処理された事に納得のゆかないアレクセイの妻ニーナが、目撃者の女性カリーナの家に案内してくれた。

目撃者の女性は、アレクセイに同伴して来たレオ夫妻の質問に言葉を濁した。
本当の事を話すと自分や自分の家族に危険が及ぶと恐れていたからだ。
そこをなんとか説得しようとレオが頑張っていた時、カリーナの夫が帰って来て、レオたちの努力は水の泡と消えた。
この国では、誰もが国家の制裁を恐れていて、身動きが取れないのだ。


そんな状況の中、当の犯人は帰郷を果たしていた。


一方、ネステロフ将軍もまた、この事件の調査でとある地方へ行っていた。
そこで聞かされたのは、ヒトラーが最後の報復としてライン川沿いの各地に残して行った兵士らの話と、そこの町でも2年間で9人もの少年が殺されたという告白であった。
兵士らは子供の血が欲しくなるという特殊な薬漬けにされていたそうだ。
そのような敵軍の悪意ある置き土産がなされていた事を知り驚愕した。

モスクワでは駅周辺での取り締まりが、にわかに厳しくなり、レオとライーサは列車に乗れずにいた。
そこで仕方なく、ライーサの知り合いの男に助けを求める事にした。
レオは内心、このイワンという男は今一つ信用出来ないと感じていたがライーサの方では信頼を寄せていた。
そこで彼になぜ危険を冒してまでモスクワへと舞い戻って来たのかを洗いざらいに打ち明けたが、イワンは「何かの罠じゃないのか?」と警戒心を強めるのだった。
それでもイワンは「2人を逃げしてくれる人物を紹介しよう。」と言ってくれた。
ところが、ライーサは、その人物にイワンが電話連絡をつける直前に、ライーサの同僚が逮捕される原因となった本を本棚に見つけた。
それを聞き《ヤツこそ国家保安省の犬だ!》瞬時にそう悟ったレオは、イワンを殺そうとしたが、
ライーサが「やめて!きっと理由があるのよ!」と言って止める。
しかし、レオに首を絞められながら「反逆者どもめ!もっと早くに殺しておくんだった。」と言ったイワンの言葉から、レオの直感が正しい事を知り青ざめるライーサ。
最早、やるかやられるかしかない事を悟り、ライーサはレオの殺しを静観した。

この後、イワンの家を出た2人だったが、レオはライーサの意思を尊重しようと決めていたので「もし君がここに残りたければそうしろ。」と言った。
けれど、ライーサは「あなたと一緒に行く。」と答えた。
紆余曲折を乗り越えて本物の夫婦としての絆がやっと築かれたのである。

イワンの通報で、まるで蟻一匹も這い出る隙間もないがごとく、ますます駅周辺の警戒が強められていた。
だが、ライーサが警察官の中にいた文盲の人物の顔を覚えていたので、2人はその人物に身分証のチェックをしてもらい、ようやく帰りの列車に乗り込めた。

ヴォルスクに帰り着くと、早速レオはネステロフ将軍と会い、モスクワでは空振りであった事を報告する。
今や完全に人としての倫理観を取り戻したネステロフ将軍は「モスクワはもういい今度はロストフへ行け。事件の中心となる土地だ。」と指示を与えた。
犯人がロストフで働いていると目星を付けたからであった。

その夜、レオが家へ帰ると、憎きワシーリーが部下を引き連れて待ち構えていた。
奴らはネステロフ将軍の家にも乗り込み脅しをかけていた。
レオは、奴らに捕えられて自白剤を打たれる。
その一方で、ワシーリーは、弱みにつけ込んでライーサを口説きがてら「すべてを話してしまえ。」と迫るが、彼女に拒否される。

自白剤を打たれた後、貨物車へ乗せられたレオに同乗してライーサも乗り込む。一緒に寿司詰め状態で乗っていたのは労働者風の男女たち。
暫くすると車両に警察官がやって来て、二人組の男にナイフを渡し指示を与えた。
するとその男たちはナイフを持ってレオの方にやって来る。
ライーサは、気を失っているレオを必死に起こそうとした。
寸前で意識を取り戻したレオは男と大乱闘となるが、意識を取り戻したばかりなので力が出ずボコボコにされる。
男は次にナイフを持ってライーサに襲いかかる。
意外にもライーサは強くて、互角に戦い、そうするうちに再びレオも起き出して乱闘が続き、車両内は騒然とする。
格闘の末に二人がかりでナイフの男をめった刺しにしたレオとライーサ。
もう一人の男もいつの間にか片付いていた。
その後、2人は指示を与えた警察官もおびき出して刺し殺し、走行中の汽車からタイミングを見計らって飛び降りた。

その後、汽車は緊急停止させられて調べられるものの最早逃げおおせた2人の姿は何処にもなかった。
 
もちろん、この件で秘密警察の上官は、激おこぷんぷん丸となりワシーリーを責めた。
このままでは失脚すると焦ったワシーリーはアレックスを呼びつけて、彼の息子の事件をほじくりかえして「事件直後は殺されたと思ってたんだよな。」と無理やり言わせて、レオの動向を探ろうとした。
この時アレックスの脳裏を過ぎったのは保身である。
それで「レオがモスクワへ戻った理由がもし、うちの息子の件だったとしても連絡はありません。」と強調した。
だが、ここで折れるわけにはいかないワシーリーに「レオを庇ってるのか!?」と詰め寄られて、家族を守るために、仕方のなかったアレックス。
彼はレオの捜査に協力する姿勢を見せるため、立ち上がると、ワシーリーが机上で広げている地図の前へ行き、レオが向かいそうな例の事件が集中的に起こっているロストフを指差して言った。
「俺がレオだったら、ここへ向かいます。」

こうして協力したにも関わらず、レオの親友であったというだけで気に入らなかったのだろうか?
卑劣にも、去ろうとするアレックスをワシ―リーは後ろから撃ち殺した。

【映画 チャイルド44 森に消えた子供たち ネタバレ・あらすじ~結】
こうしてレオの捜索の手はロストフへと延びる。
悪の手先、ワシ―リーとレオ夫妻の最終決戦はどちらに軍配が上がるのか?
そして、果たしてレオは犯人逮捕に至れるのか?


映画 チャイルド44 森に消えた子供たち 感想



最初、ソ連での話なので、ソ連制作の映画かと思ったんですが、これが意外にもアメリカの制作でした。
服装や髪形や心荒(うらさ)ぶい感じなど、ロシアっぽさを良く出していたと思います。
スターリン政権って、ヒトラーのドイツ政権に負けず劣らず酷かった様がよくわかりました。

飢餓による虐殺、ホロドモールていうのは、強制移住により、家畜や農地を奪って、故意に食糧難に追い込み人民を餓死させるという酷い政策なんだそうで、
これにより、実際にウクライナで、400万人から1,450万人という途方もない数の人々が命を落としたそうです。
主人公のレオもウクライナ生まれで、両親を、このせいで亡くしています。

ウクライナとロシアは歴史上複雑な関係を持つとかです。
この辺りを詳しく追及していると話が長くなるだろうから省略しますね。
けれど、いくら過去は捨てたと言っても、
両親の命を奪い、自分を孤児にしたスターリン政権下でソ連のために働く事となったレオの心のうちは本当は複雑だったのではないでしょうか?

ストーリー自体は単純ですが、
実在した連続猟奇殺人犯アンドレイ・チカチーロの異常性と絡めつつ、
言論統制という多かれ少なかれ、かつて、どこの国でもあったような社会の黒歴史に切り込んでいる本作は丁寧に描かれた良作と申し上げてよろしいかと思いました。

理不尽で横暴な支配権力によって、
人々の心の内深く植えつけられた恐怖心が足枷となり、当たり前に笑ったり悲しんだりして人間らしく生きる事さえ奪われる。
そんな息苦しくも不自由で悲しい世界の中にあっても、権力に屈せず凛々しく生きたレオ夫妻の勇姿が感動的です。