『 2012/03/16 10:50 』更新


ヨセフ (ヤコブの子) wikipediaより転載

ヨセフ(Joseph)は、『旧約聖書』の「創世記」に登場する、イスラエル人を大飢饉から救った人物。ユダヤ人の祖ヤコブの子で、母はラケル。同母弟にベニヤミン、異母兄にルベンシメオンレビユダイッサカルゼブルンダンナフタリガドアシェルが、異母姉にディナがいる。妻アセナトとの間にエフライムマナセの2男を儲ける。

生涯 [編集]

「創世記」37-50ではヨセフを中心とした、いわゆる『ヨセフ物語』が語られる。その概要は次の通りである。

夢の話と異母兄弟の妬み [編集]

ヨセフは父ヤコブと母ラケルとの間に長男として生まれた。ヤコブはヨセフが年寄り子であるため、誰よりも彼を愛した。そのため10人の異母兄弟たちはヨセフを憎むようになった。ある日ヨセフは夢を見、それを語ったので、兄弟たちのねたみを買い、井戸に落とされ[1]、やがて彼らによってミデヤン人の隊商に売られてしまう。その直後、ヨセフの服に羊の血を付け、父ヤコブにヨセフは獣に襲われて死んだと偽った。

エジプトでの受難と栄光 [編集]

隊商の手によってエジプトに渡ったヨセフは、エジプト王宮の侍従長ポティファルの下僕となるが、そこで成功を収め、ついにはその家の全財産を管理するまでとなる。ところが、ポティファルの妻の性的誘惑を拒んで、その妻にかえってぬれぎぬを着せられて監獄に入れられてしまう。しかし、ヨセフはそこの監獄の長に気に入られ、その監獄の管理人となった。やがて、その監獄にファラオに罪を犯した献酌官長と調理官長が拘留され、ある時、二人は同じ夜にそれぞれ夢を見た。ヨセフはその二人の夢をそれぞれ解き明かし、その解き明かしのとおりになったため、その能力が後にファラオに知られ、ファラオが見た夢も解き明かすことになった。その彼の解き明かしがファラオに認められて出世し、エジプトの宰相となる。その後、ヨセフはファラオからツァフェナト・パネアという名と、オンの祭司ポティ・フェラの娘アセナトを妻として与えられた。

兄弟たちの誠意と再会 [編集]





ヨセフベニヤミンの袋から銀の杯を取る。

宰相の地位に就いたヨセフは七年間の大飢饉に備えるために食料を保存するなど、国政に腕を揮った。七年間の大飢饉はエジプトだけでなく、父ヤコブや兄弟たちのいるカナンの地にも及んだ。そこで、10人の異母兄弟たちは末の弟でヨセフとは同母弟となるベニヤミンをカナンに残し、エジプトに穀物を買いに行く。そこでヨセフと出会うが、兄弟たちは宰相ツァフェナト・パネアがヨセフであることには気付かなかった。だが、ヨセフは兄弟たちのことが分かっていた。そこで、ヨセフは兄弟たちを間者と決めつけ、末の弟ベニヤミンを連れてくるように要求、彼らの誠意を試そうとした。

兄弟たちはシメオンを人質としてエジプトに残し、穀物を持って帰ったが、エジプトで起きたことを父ヤコブに話すと、ヤコブはベニヤミンをエジプトに連れて行くことに強く反対する。しかし、穀物が尽きてしまったため、仕方なくヤコブはベニヤミンをエジプトに連れて行くことを決心、兄弟たちはベニヤミンを連れてエジプトに戻った。ヨセフはベニヤミンを見ると感激し、兄弟たちにご馳走をした。その後、兄弟たちがカナンの地に帰る前にヨセフはベニヤミンの持つ穀物の袋に、自らの使う銀の杯を入れた。そして兄弟たちが出発してすぐに、ヨセフは彼らを追い、彼らが銀の杯を奪ったと指摘、兄弟たちは自信を持って盗んでいないと主張するが、調べるとベニヤミンの袋から銀の杯が見つかった。罰としてヨセフはベニヤミンを自分の奴隷とすると言ったが、兄弟たちは自らが奴隷になってでも、ベニヤミンを帰らせるよう頼んだ。

ヨセフはその誠意にとても感激し、自らのことを明かした。兄弟たちは驚くも、その後ヨセフと抱き合い、和解を果たした。また、兄弟たちはそのことを父ヤコブにも告げた。ヤコブは最初は信じなかったものの、最終的にはヨセフに会って、劇的な再会を果たした。ヨセフは父と兄弟たちをゴジェンに移住させ、ヤコブの死後、110歳まで生き続けた。古来、エジプト人は人間の最長寿命は110歳であると考えており、ヨセフが110歳で死んだという聖書の記述はヨセフが神の愛を深く受けていたということを示している[2]