終盤国会はますます泥仕合的様相を深めてきた。昨日は、民主党の内山晃代議士の厚生労働委員会における乱暴狼藉に対し、30日間の登院停止という裁定を懲罰委員会が下し、それを本会議で議決した。今日は、そういった経緯の中で、河野洋平衆議院議長の行動が不信任に値するとして民主党が決議案を提出してきた。この国会は参議院選挙が射程内ということもあってか、合意形成が円満になされるといったことからは程遠く、何から何まで与野党の正面対決という場面が多く、嘆かわしい。


 河野衆議院議長不信任決議案に反対の討論をした鈴木恒夫代議士の演説はなかなか気合が入っていた。毎日新聞記者時代から河野洋平氏と親交があり、自他共に認める腹心だけに、その擁護論には迫真性がこもっていた。いきなり、小沢一郎民主党代表の姿が議場内に見えないことを激しく指弾する一方、趣旨弁明の演説をした松野頼久代議士について、彼の親父さん(松野頼三氏)の往時の行動を持ち出して、親子の差を露にするなど聞かせる内容だった。また、河野議長が新自由クラブを結成して自民党を離党した当時の心情に触れたり、息子の太郎君から生体肝移植を受けるほど身を粉にして粉骨砕身闘っている河野氏の姿を称賛するなど、聞き応え十分だった。野党側に一貫して配慮している議長を貶めることは許せないとの主張や、共産党が民主党提案の決議案に同調していないことを高く評価して見せるなど、「褒め殺し」を狙ったかのごとき発言も、場内を沸かせた。


 それに比して、民主党の議長不信任案の方は、文章構成そのものにも粗雑さがみられるなど、お世辞にも聞かせるものではなかったうえ、賛成討論をした議員の棒読みのごとき感情が乗らない発言ぶりは目に余った。同じ演説をするなら、もっと意匠の限りを尽くしたうえでの大向こうを唸らせるものでなければ・・・。