国民生活にとって、大変影響の大きい税制と予算が先週から今週にかけて順次決定しています。来年度税制改正案は約400億円の減税、今年度補正予算案は4.8兆円、そして1224()に閣議決定され、来年度予算案が過去最大の97兆円となります。

 

金融政策と違って、税制と予算の財政政策は、景気・経済に十分なプラス効果を出していないのではないかと感じています。その最大の理由は、社会保障費が増大して、その他の政策費用に回すことができないからです。考えているように実現できないという自らの非力さを感じています。

 

400億円減税、4.8兆円補正予算、過去最大97兆円来年度予算案について、以下概要を説明します。

 

400億円減税の税制改正案

 

11月から自民党内で精力的に議論が続いてきた来年度税制改正大綱が、ようやく1216()に決定しました。各団体から要望を聞き取り約2千項目の中から500程度の重点項目に絞り込み、党内での私たち国会議員の議論を経て、300余りの新設・拡充・延長・縮減・廃止の大綱がまとまりました。

大綱全文はこちらへ https://www.jimin.jp/news/policy/131067.html

 

税制大綱の概要は次のようなものです。

2年後4月に消費税率を10%に引上げて、軽減税率を導入し8%に据え置きます。その対象は「酒類」と「外食」を除いた「生鮮食品」と「加工食品」となりました。その線引きについて、財務省では年末年始の休暇を返上して、さらに詳細を詰めています。減税規模は1兆円となります。税源については、「来年度末まで時間をかけて検討する」としています。絶対額で言えば、軽減税率は高所得者に有利に働きます。誰のため、何のための消費税増税か、そして軽減税率導入かということになります。いっそのこと消費税増税を延期した方がいいくらいです。

・宅配する週2回以上発行する「新聞」も対象となります。駆け込みで導入されてしまいました。そこまで優遇する必要があるのでしょうか。新聞の特権である独禁法の再販制度や特殊指定についても、ぜひ今後議論したいと思います。

・雑誌と書籍への軽減税率導入は、有害図書の排除の仕組みをどう構築するか、検討課題とされました。有害新聞はないのか?と思わず突っ込みたくなります。

310万人と言われる事業者の納税額を正確に把握するため、税率や税額を記載する請求書「インボイス」を、6年後平成33(2021)年度から導入します。事務負担は増えますが、経営合理化につながればとも思います。

・今問題となっている空き家対策としては、自宅売却と同様に、3千万円を控除する所得税の特例制度が導入されます。空き家の整理が進めばと思います。

・三世代同居に向けて、リフォームすると所得税減税する制度を創設します。後述する補正予算にも、支援策が盛り込まれました。数少ない家族支援策です。

・市販薬の利用促進策としては、世帯購入額が年間12千円超を所得から差引いて税を軽減します。平成29年から33年の5年間が対象です。カフェイン中毒で初めて国内で死者を出しましたので、十分注意をする必要があります。

・通勤手当の非課税枠の上限を月額10万円から15万円へ引上げます。

・消費税増税時に自動車取得税が廃止され、燃費に応じて03%課税する新制度を導入します。約210億円の減税となります。

・法人税の実効税率は、現在の3211%から来年度2997%に引き下げ、平成30年度には2974%まで段階的に引下げます。来年度だけで見ると、2千億円の減税になります。内部留保分もありますから、その分給与や投資に回して、GDPの向上に貢献し、海外ではなく国内の地方に展開してほしいものです。

・地方自治体への寄付額の3割を法人税等から差し引く企業版ふるさと納税制度が創設されます。大企業の寄附を期待しています。

・中小企業の新規設備の固定資産税を3年間半減します。法人税減税の恩恵に浴さない中小企業支援策です。

・遊休農地の固定資産税を18倍に増税し、「農地バンク」を通じて貸し出すと税を半減します。農地の活用が進めばと期待しています。

・法人住民税(地方税)の一部を国税化して地方に再配分する額を06兆円から14兆円に増大します。

 

以上は税制改正の一部ですが、今回の税制改正によって、来年度年間約4百億円の減税になると言われています。大綱に基づく税法の改正案を年明けの通常国会に提出し、速やかな成立を目指す予定となっています。

 

●今年度補正予算は48兆円

 

税制とともに、今年度補正予算が、1218()に閣議決定されました。

今回の補正は、一億総活躍社会づくりやTPP等の喫緊の政策課題に対応するためのもので、新規国債を発行せずに、景気回復による税収増と前年度の剰余金収入で賄われました。景気対策費は入っていませんので、地方にとっては厳しいものとなります。

財務省 平成27年度補正予算案

http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2015/hosei271218.html

 

歳出33兆円に充てる歳入の内訳は次です。

①景気回復による税収増で18,990億円

②税外収入が▲3,466億円

③前年度剰余金受入が22,136億円

④公債金が▲4,447億円

 

歳出額は33兆円なのですが、国が35兆円支出し、地方に13兆円回しますので、実質の規模は48兆円となります。内訳は次です。

①一億総活躍社会の実現に向けて緊急対策等に12兆億円

②TPP関連政策大綱実現に向けた施策に3,403億円

③災害復旧・防災・減災事業に5,169億円

④復興の加速化等に8,215億円

⑤その他テロ対策等の喫緊の課題対応に3,037億円

⑥その他経費に3,560億円

⑦地方交付税交付金に12,651億円です。

景気回復に伴い税収が上がり国債を発行しなくて済み、14,467億円が減額されて、実際の歳出合計は33兆円となりました。

 

●①一億総活躍社会実現に12兆円

 

補正予算の概要は5点あります。

①一億総活躍社会の実現に向けた対策の概要は以下です。

・所得の低い高齢者などに、一人3万円を支給する臨時給付金に3,390億円、事務経費を合わせると3,624億円が盛り込まれました。党内でも批判が高い政策でした。社会保障費の抑制に取り組まなければいけないのに、一時金とはいえ、なぜ???選挙対策、バラマキと言われても仕方ありません。これだけのお金があるのであれば、まだまだ足りない学校の老朽化や教育環境の整備費用に回してほしいと思いました。

・三世代同居を希望する世帯の玄関やキッチンを複数設けた住宅新築時の補助費用として161億円。所得税減税とともに、補助金も出します。

・介護基盤の整備促進に922億円

・保育所の整備に511億円

・学校施設整備費に438億円

・GDP拡大のために、ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金に1,021億円

・地方創生を進めるため地域活性化に意欲的に取り組む自治体に対する新たな交付金として1千億円が盛り込まれました。

 

●②TPP関連に3,403億円

 

・TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の大筋合意を受けた国内対策としては、国際競争力の強化に向けて、収益性の高い作物への切り替えを行う生産者を支援したり新たな国産ブランドの品種開発を支援したりする対策に505億円。

・畜産と酪農の収益力強化のための「畜産クラスター事業」として農家が新しい設備を導入する際の費用を補助するため610億円が盛り込まれました。

 

●③災害復旧に5,169億円

 

災害復旧や防災には5,169億円が計上されました。

・この内、今年九月の関東・東北豪雨などで被災した公共施設の復旧等に1,032億円があてられます。

 

●④復興加速化に8,215億円

 

④東日本大震災からの復興を加速化するために8,215億円が計上されました。

・東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や汚染水対策の事業に156億円、

・原発周辺地域における防災対策の充実に124億円が盛り込まれました。

 

●テロ対策等の喫緊の課題に3,037億円

 

⑤このほか、喫緊の課題に3,037億円が盛り込まれました。

・フランスのパリで起きた同時テロ事件を踏まえたテロ対策や来年三重県で開かれる「伊勢志摩サミット」への対応経費として144億円。

・消費税の軽減税率で事業者の間で混乱が生じないよう全国各地に相談窓口を設ける費用などに170億円が盛り込まれました。

 

 

●来年度当初予算は過去最大の97兆円

 

税制、補正予算案が順次決定している中、来年度当初予算案総額を過去最大の97兆円となる予定です。社会保障関係費の伸びを圧縮し、診療報酬を8年ぶりにマイナス改定とし、前年度比05%前後の増加にとどめ、財政健全化計画の初年度として道筋をつけます。それでも社会保障費は過去最大の32兆円となります。公共事業費は前年度並みの横ばいで6兆円、文教科学費が5.3兆円、防衛費は離島防衛を強化して、初めて5兆円台となります。

 

税収は所得税や法人税の増加で 576千億円台と、バブル期の平成3年年度以来の高水準になります。新規国債発行は4年連続で減らし、34兆円台後半になる見込みです。

 

政府は来年度予算案を1224()に閣議決定する予定です。来年14日から開会する通常国会(150日間)で、まずは今年度補正予算、そして来年度予算案と税法の成立を期すことになります。

 

詳細は、順次紹介していきたいと思います。

 

 

●日本文化チャンネル桜「日いづる国より」放映

 

 日本文化チャンネル桜の番組「日いづる国より」で、作曲家のすぎやまこういち先生、中山恭子参議院議員と鼎談しています。ぜひご覧ください。

 

1211()「拉致問題~総連と朝鮮学校、対外諜報機関の設立を」

動画公開中 https://www.youtube.com/watch?v=lLnrLIAnHOg

 

1218()「義勇公に奉ず~テロ対策と教育再生」

動画公開中 https://www.youtube.com/watch?v=HoKyEQvz4Kk

 

 

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 今後も、「国づくり、地域づくりは、人づくりから」をモットーに、日本国家国民を守るために、全身全霊で駆け続ける覚悟の赤池誠章です!

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