豆腐屋の柔らかブログ -2ページ目

夏の記憶4

「そろそろ、僕帰るね。」
その子が言った。
本当に一人で大丈夫なのかと聞いてみた。
「うん!お兄ちゃんありがとう!また、遊んでね~!」
そう言いながら、定食屋を出ていきました。
「元気な子供だな~」と半ば呆れた俺。
「あの子…どこかで見たような…」
向かいに座っていた女性が、考えながらそう言った。
「知り合いの子なのかな?」
「…いや、昔なのか夢の事なのかよく解らないですが、すごく近くに居たような…あ~思い出せない!!」
女性は思い出せなくて、イライラしてました。
…自分もどこかで逢っているを告げようとした時、女性は意識を失って倒れてしまった。
「大丈夫ですか!」「誰か救急車を!」何事が起きたのか理解するまで、かなり時間がかかりました。

夏の記憶3

その子供の近づく気配はまるで感じなかった。
俺の焼き魚定食をジッと見つめながら、「好き嫌いしちゃダメなんだよ~ママが言ってたもん!」
未だに苦手な煮物の人参が嫌いな事を知っているかのごとく、その子供は俺に言ってきた。
ちょっと気味が悪いので他の話題にする事にした。「僕~どうしたのかな~?ママは?」
「ママはおうちだよ~」
「僕は一人なのかい?」
「うん!パパを探してるんだ~!」
「そっか~パパは居たのかな?」
「パパはずっとおうちに帰ってこないんだ~」
…帰ってこない父親を探しに来ていたのか…
「でも、こんな時間に一人で出歩いちゃ危ないじゃないか!」
時計の針は9時を回ろうとしていた。
「お兄さんがうちまで送って行ってあげるよ」
すると、その子供は「ううん、一人で帰れるから大丈夫!」元気よく答えた。
「多分、お兄ちゃんには分からないから…」
小さな声で何かを言ったようだった。

夏の記憶2

その日の仕事帰り、馴染みの定食屋で食事を取る事にした。
中は丁度、夕飯時ともあって賑わいをみせていた。
中を覗いて見ると、こんな定食屋に似つかわしい綺麗な女性が一人で食事をしていた。
俺は一人食事をしている女性に相席をお願いする事した。
「相席いいですか?」すると、笑顔で「はい」と答えてくれた。とても安心する笑顔…
「ここの日替わり定食は、ヘルシーでバランスもいいので、よく食べにくるんですよ~」とその女性は言った。
随分社交的な人だと思いながら、相槌をかわす。
色々話していると、その女性が視線を落とした。
「その子可愛いですね~息子さんですか?」
俺はこの人が何を言っているのかが解らなかった。
その視線を辿ってみると、確かに小さい男の子が…昼間に俺を見つめていた男の子だった。