「初めまして小林です」
ところでコバヤシさんには何度でも会ってゐるやうな気がするのだが。
「小林君は教室に来ていましたか」
ドアを何度でも開け閉めする
そんなとこにはいないんだよーって
長い廊下だねーって
飽き飽きしちゃって校舎の外に出掛けてしまったのだ
小林くんはノートにそのやうに線を引くものだから
鼻持ちならない
女の子と仲良くしようとするもんなら
みんなわっわッと取り囲んではやし立てる
たまらず小林くんは逃げ出して
あんな山の奥で山の影から聞き耳を立ててゐる
2024,9,8岡村桂三郎『白澤24-1』
いろんなことが重なるやうにあったけれどおとがめなしだよ
こばやしくんはいつの間にか帰って来て
机に座っていた
蒼い雷がゴロゴロ遠くでなった鳴った
燐寸箱がいいなって
ことのほかその漢字が好きなんだと
こばやしくんはたまらず仄めかす
空の弁当箱をカタカタ鳴らして野面を真黒な影になって奔ってゆく
後ろめたさが次第に影を濃くしてゆく
───Kの肖像がかくもむつかしいものだとは
小林さん、と呼びかける
振り返りもしないが
ぼくは何度でもお会いしましたよね
倉石智證




















