「初めまして小林です」

ところでコバヤシさんには何度でも会ってゐるやうな気がするのだが。

「小林君は教室に来ていましたか」

ドアを何度でも開け閉めする

そんなとこにはいないんだよーって

長い廊下だねーって

飽き飽きしちゃって校舎の外に出掛けてしまったのだ

 

小林くんはノートにそのやうに線を引くものだから

鼻持ちならない

女の子と仲良くしようとするもんなら

みんなわっわッと取り囲んではやし立てる

たまらず小林くんは逃げ出して

あんな山の奥で山の影から聞き耳を立ててゐる

2024,9,8岡村桂三郎『白澤24-1』

 

いろんなことが重なるやうにあったけれどおとがめなしだよ

こばやしくんはいつの間にか帰って来て

机に座っていた

蒼い雷がゴロゴロ遠くでなった鳴った

燐寸箱がいいなって

ことのほかその漢字が好きなんだと

こばやしくんはたまらず仄めかす

 

空の弁当箱をカタカタ鳴らして野面を真黒な影になって奔ってゆく

後ろめたさが次第に影を濃くしてゆく

───Kの肖像がかくもむつかしいものだとは

小林さん、と呼びかける

振り返りもしないが

ぼくは何度でもお会いしましたよね

 

倉石智證

 

 

夏の背(そびら)やっと白露に辿り着き───

/トンボうの山では避暑の時候かな

/軽々と塀越えてくる揚羽かな

/水音のどこかに聞いて山の音や

/式部の実紫落ちて色さやぐ

/咲き継ぐや瓦に在りて百日紅

/神妙に厠に入りて虫の聲

/韮の花蝶湧く処に咲きにけり

/柿落ちる柘榴も落ちて百姓家

/一夜さの虫の音朝に鳴き寝入り

/「やせったい」、ばーさん語録秋深し

/薄の穂千のお指の手招けり

/秋の花咲いて花野となりにけり

/或人は神社に廻りクレマチス

/今年またマルバルコウソウ色深し

/秋涼しばばに傾眠十時間

/朝涼や背筋を少し伸ばしみる

/焼き茄子をアチチアチチと朝っぱら

/秋深し野菜冥利に尽きにけり

/早生柿をためつすがめつ柿の色

/掘抜きに紫苑を置けばアレサまあ紫苑はいつか花を咲かせる

/上の句と下の句合はすばーさんの百人一首それはすらすら

 

「やせったい」は甲州弁で、気ぜわしい。

百人一首はすらすら出てくる。

文字は次第に怪しくなってくる。

住所を書いてと云ったら、住所の途中から

「もなか心に残る」

と変じてしまった(笑)。

 

倉石智證

もの喰ふ人らになりにけるかも。

マイナンバーカード受領。

/ばーさんをショートステイに預けにき

お上りさんは胸に不安を

/上野まで買い物に行く甚六は家族の絆涙ぐましき

/美味しいものはいかがですかってもの喰ふ人らになりました

/うれしきは家族久しく打ち集い

やいのやいのとものを喰ふとき

 

10時には早いが新宿若松出張所にマイナンバーカードを取りに。あらためてID、パスを記帳。それを目前のパソコンに打ち込んで以上である。なんだか行政にからめとられているなぁ。

DXなんて云っているけれど政府のやってゐることはデジテックをアナログに強要しているだけだ。デジタルとは原則として双方向である必要がある。スマホ、パソコンにはクリックがあり、タップがある。指を滑らすことも出来る。だからたかがカードはペイパーに過ぎない。

スマホに民主主義行政アプリをビルトインする。生存、保険、年金、等がリアルタイムで分かるようにする。住民票は紙である必要はない。ネットで必要な住所に送ればいいだけだ。或る年齢の国民が自分の年金の状況を把握する。年金支払額を打ち込む、何歳にはどのくらいの給付があるのか。最終的には投票機能を持たせる。行政の課題に対して、原発でも、沖縄でも、憲法でも、諸処の問題に対してとりあえず「イイネ」、参加できるようにする。便利が一つ、ためになるが一つ、楽しいが一つ、何かが無ければつまらない。健康保険証は12/2に了。さてマイナンバーカードを受領したがさっぱり歓びが無い。擦ってみても、タップしても、うんともすんとも云はなゐ。ぼくだけのものなんだ。つまんないなぁ。

(マイナンバーが基礎になることは間違いない。)

(スマホが無い人には政府が貸与する。)

(韓国では市役所の人らがメンターになってお年寄りに付き添う)