あれは6歳ぐらいのころのこと。
普段は私の話は聞こうとしないのに。
小さいころの私がつきまとうと、急に奥の座敷に行って縫い物を始めたりしていたのに。
祖母が熱心に私の話に耳を傾けたことがあった。
それは、お母さんがおばあちゃんのことをこういうふうに言っていたよっていうことで。
眉をひそめて相槌を入れながら、集中してずっと話しを聞いてくれていた。
聞いてくれるから、話すっていう。
そうしたら、母が台所に通りかかって。
私「おばあちゃんには言うんじゃないよって言われたこと言っちゃった。」
母も祖母も無言になっていた。
小さいころの私も、熱心に聞いてくれるからって、そのまま話しちゃったりするのも、配慮が足りなかったなあって思うけど。
小さい子供に聞かせたら、口止めしていてもそのまま話しちゃうのも仕方ないところがあるから。
祖母の悪口を聞かせること自体がまずかったと思う。
(まあ、祖母は母の悪口をたくさんの人に言っていたみたいだから……。)
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10代の女の子に対して、かわいいのに中身はゴシップ好きのおばちゃんだなって思ったこともある。
私は子供のころはあんまり話題豊富な方でも無かったんだけど。
普段は私の話に対してつまらなそうにしていたのに、共通の知り合いの噂話の時は、食いついてくれるという。
そんなこともあったし。
また、すごく聞いてくれるから、話に尾ひれをつけてしまったことも、10代のころはあったし。
私自身、そんなふうに噂話の対象になるのはすごく嫌だったはずなのにね……。
それから、彼女が私に対して、共通の知り合いのことを落とすような噂話をしてきたこともあったし。
その時は、私はただ聞いていただけだったけれど…。御近所への嫉妬から、親がそんなふうに話していたのかなあって思った。
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子供のころの私は、きれいなものがすごく好きで、汚いものに少しでも触れると、文章や絵でも気持ち悪くなっていたんだけれど。(だから、子供のころの私がこのブログを読んだら気持ち悪くなると思う。)
廊下を通りがかった時に、居間で祖母がずっとなにかを話しているのを聞いて。
多分、声の調子から人の悪口で。
醜い心の人だなって。魔界に住む人なんだなって、音声だけで、子供ながらに思っていた。
(口に出して言ったことは無いけれど。)
そんな環境にいる場合。お互いに無関心で、ある程度の距離がある方が、平和でいられるんだろうなあ。同じ家に住んでいても。一緒になにかやりたいって思わないし。一緒に新しいことに挑戦したいとも思わない。だから、社交辞令や慣習を守ることしかできなくなっていって、それさえもなるべく簡略化されていくっていう。
家の中がそんな環境だったからか。平和な人達がいる場所に対する憧れが子供のころの私にはあって。
でも、実はうちの祖母だけじゃなくて。程度の差さえあれ、どこに行ってもそういうタイプの人っていたんだなあって。
妬み嫉み嫌味。
勝つこと、けなすこと。
まあ、共通の知り合いの悪口って、手っ取り早く引きつける話題として楽っていうのもあるんだろうね……。
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仲がいいことに嫉妬して妨害するために悪い噂を流すとか。
そんな気持ちもちょっとわかることもある。
自分が幸せじゃなかったり、辛い時って、嫉妬しやすくなるから。特に自分より条件のいい優しい人に対してそうなりやすい。きつそうな人にはそういう気持ちにならない。(多分、それがエスカレートしていくようなら、お互いにとって離れた方がいいんだと思う。)
その人が幸せだったり、ほかで交遊関係が満たされていたら、そういうことはしないんだろうな。
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やっかみからくるものだったりしても、おとなしかったりして全く反論しなかったりすると、それを本当だって信じちゃう人もいるしね……。