第1028章 ☆はっぽう☆ | yamaoka.seigetsuの孤独なHEART

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日々の出来事。

 想ったこと。

    拙書の紹介。                      
 

 『どん底に沈みこんでも根のある人は、どんなところからでも、どんな困難な状態からでも這い上がることが出来る』
       


 先日の出来事より

 朝、何時もの様に起きて、何時もの服に着替えて仕事に行く準備をする。

 そして、壁に取り付けられた機器の『おでかけ』ボタンを押す。
 此のボタンを押すことで、家族やペットを守ってくれることが保証される。
  
 そう、セキュリティー会社と契約しているのである。

 天井に取り付けられたパッシブセンサーと呼ばれるものが、すべての危険から救い出してくれる。
 そう信じている。

 そして、窓を開けるとサイレンが危険を察知される如く鳴り響くセンサーも取り付けて貰っている。

 もう1年近く御世話になっているのではあるが、今まで1度もサイレンが鳴り響いたことはない。

 嬉しいことである。

 さて、タイトルの『はっぽう』であるが、解っている人はピンとくると想うが、あの『はっぽう』である。

 八方塞がりのはっぽうでもなく、あの有名な落語家さんでもない。

 キクラゲや白菜、豚肉等が入ったとろっとしたスープの八宝菜のはっぽうでもない。

 答えは、『発報』である。

 『発して報せる』の発報である。

 其れが、其の家のパッシブセンサーが14時ごろ、けたたましく発報したのである。
 
 無論、私は仕事中。

 何処の誰かも解らないスマートフォンの画面に表示された電話番号を数秒見つめていた。

 でも、何かを察知して通話ボタンを緊張気味に押した。

 耳朶を傾けると、セキュリティー会社の窓口の女性らしき人が焦った感じで喋りだした。
   
 窓口の女性:今、1階玄関と2階和室で発報がありました!
    
    私はザワッとした気持ちになった。

 兎に角外周は問題無しで、誰かが侵入した形跡はないとのことであった。
  
 契約では、家の鍵は渡しておらず、緊急時には勝手口の如き上半分が硝子の其処を割って入って下さいと伝えていたが、どうも決断が出来なかった。
 猫が原因の可能性が大だったからだ。
 然し、凶暴な何者かが・・・

 でも、もしかして、猫が・・・。いや、確かにドアは閉めてきた。あの軽微重たい引き戸を猫が開けられる筈がない。
 もし猫がセンサーに引っ掛かったとすると、器用に開けたか。
 まさか誰かが侵入し引き戸を軽微開けた?

 でも何の為にそんなこと・・・

 うーん?
 其れより、誰かが何らかの方法で侵入し、猫に何かされていたらどうしょう・・・
 仕事が終わってなるべく早く帰っても22時だ。
 誰かに行ってもらうか?
 いや、そんなの誰も行ってくれないだろう。
 誰かが家に侵入したみたいだから見てきてほしいなんて。
 猫の身に何もないことを祈りつつ、21時30分を待った。
 
 男性警備員:また発報がありました。

 今日だけで此の電話6回目だ。

 私:今日、22時くらいに家に着くのでその頃来てもらえますか?
 
 男性警備員:あっ、なるほど、そういうことね。はい、了解です!

 自転車で家の近くまで来ると、バイクを停めて立ちすくむ男性がいた。

 私:こんばんは。

 男性の服装を見て挨拶をした。

 生年月日を訊かれ答え、私はそっと家の鍵を開けた。

 無論、警備員さんもいっしょだ。

 私:猫が来ていたら外に出ない様に。

 そっちのほうを考えていたかったので、ゆっくりと静かにドアを開けると、猫のねの字もなかった。
 そして、凶暴な何者かのきの字も其処にはなかった。

 其処に存在していたのは、シーンとした静寂とふたりの戸惑うオトコだけ。
 
 男性警備員:私が先に入りますので。

 警備員は防御道具をカシャッと出し、身構えながら靴を脱いだ。

 

 私:はいお願いします。

 警備員のあとを私は家の中に入っていった。

 警備員が階段の上の方を見て言葉を発した。

 いた! ねこ!

 私:驚きとともに、やっぱりという気持ちと胸を撫で下ろす感覚を一瞬のうちにカラダ全体へ巡らしながら、えっ!黒ねこ? と質問を投げかけていた。
 
 はい!

 懐中電灯で前方を照らしながら、痩せ型だが、筋肉を隠し持っている若い警備員さんは言った。

 3階の引き戸を確認すると、やはり軽微開いていた。

 私:疑問に想う?

 軽微開いていたにしろ、かなり重たいであろう此の引き戸を?

 猫がたった一匹で?

 誰かが侵入して開けたのか?

 でも、何の為にそんなこと?

 警備員さんに其の疑問をぶつけると、

 警備員:少し開いてると、重たい引き戸でも開ける可能性はあります。

 とのことだった。

 私:ちゃんと閉めなかったのかな?
 然し、本当に開けたの?

 でも、猫たちに何もなくて良かった。
 みんなが怪我をしてたり、無惨な姿容になっていたら如何しよう・・・
 なんて想いと想像ばかりが心思を何度も何度も往復していたが・・・
 信じたくない嫌な想像までが浮かんでいた。
 でも真的に良かった。

 2度目の胸を撫でおろした瞬間が平和な夜の静かな空間に訪れた。
 
 また何かあれば宜しくお願いいたします。

 と警備員さんに言うと、警備員さんは解りました、と、バイクとともに其の場から姿を消した。

 翌朝、ポストを何気なく覗くと、警備会社からの封筒が6通ドサッと出てきた。


 私:何だろう? 此れ?

 封のしていない封筒を開けた。

 其れ等は警備会社の報告書であった。
 
 私:そうか! 来る度来る度、報告してくれてたんだ。6回も!

 発報する度に見に来てくれ、其の度に丁寧に報告をしてくれてたんだ
 
 ますます私はセキュリティー会社を信用したのであった。

 では、長くなりましたが、今宵も、孤独なHEARTを抱きしめて・・・

 読んで頂き有難う御座いました。

 

 前回のクイズの答え:25円でした。
 
 500円持っていって、275円のものを買うのに、500円出す人はいない。

 300円出したので、25円お釣りを貰いました。

 225円と想った方、多かったのでは・・・
 
 では、明日も楽しい気分で!