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記事にするに当たり調べてみると、この作品が刊行されたのは昭和62(1987)年、私がちょうど大学生の頃。発表直後から随分話題になり大ベストセラーに輝いた作品なのですが、天邪鬼な私(笑)、内容も何も知らないまま、何となく抵抗感があって、これまで全く手にしなかったのです。
それが、昨年12月に映画化されたとかで改めてこの作品が書店の店頭に並んでいるのを先日たまたま目にして、ふと、「そういや歴史関係以外の小説って、しばらく読んでないなぁ」といった思いが頭を過り、これまた何となくやっと読んでみる気になったという訳。

村上さんご本人は否定されておられるそうですが、作者の大学生の頃に実際にあったことや経験を基に描いた、自伝的小説の風合いが確かに強く感じられます。そういう意味では、その2年前の昭和60年に文庫化された、宮本輝さんの青春小説『青が散る』、こちらは当時私が通っていた大学で知り合った同級生に勧められて読んだのだけれど、作品に登場する主人公と同じ大学生という立場として、『ノルウェイの森』は読まずに『青が散る』は読んだ、そして、今のタイミングで『ノルウェイの森』を読んだ、というのは私的には偶然ながら正解だったような気が。
特に、1年半前に父と突然の別れを経験した立場として、この作品に登場する主要人物やその関係者のあまりに多くが突然去っているということ、それが大きな意味を構成している反面、そういう設定にすることによってどうしても訴えたいといった理由ではなく、小説をよりドラマチックに「演出」するためのテクニックの部分が強いように感じてしまって…。

それにしても、久し振りにいい小説を読むことが出来ました。なるほど、ベストセラーになったのも納得。一方、それだけに何故『青が散る』はこの作品ほど注目されなかったのか、不思議だし残念でもあります。
また、『青が散る』を無性に読みたくなってしまいました。今度実家に戻ったら、忘れず東京に持って帰らなきゃ。