「児童相談所」のもう1つの役割。 ”里親”支援。 | AI's eye(港区議会議員 清家あい)

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仕事と子育ての両立はできないし、保育園も幼稚園も足りないし、みんなの力を集めてなんとかしたい。港区議会議員「清家あい」活動中です。

前回の記事で、南青山の「児童相談所」設置計画の反対運動のことなどを書いたのですが、

https://ameblo.jp/aizeye/entry-12414125676.html

 

今日の毎日新聞の朝刊1面、社会面が、この問題の記事で、びっくりしました。。

休日とはいえ、すごい大きな扱い。

 

 

この記事の中にもあるように、心配なのは、国を挙げて児童相談所機能の強化の必要性がうたわれていて、23区でも独自で児童相談所設置ができるようになり、各区で準備が進められている中で、「児童相談所」や「一時保護所」に対する間違った不安が広がることだと思います。

 

虐待などいろいろな事情で家庭で生活できない子供たちを保護する以外にも、家出した子や「触法少年」(14歳未満の、重大犯罪ではなく、主に万引きなど)などが保護されることについて、「外に出ることはあるのか?」と言ったような質問もありましたが、児童相談所や一時保護所の子供達は、施設に保護されているので、基本的に外出することはなく、勉強も施設の中でします。

 

みんな、家庭に事情を抱えている子どもたちで、金沢の一時保護所に視察に行きましたが、大きな子と小さな子に先生が一人ついて、一緒に机を並べて勉強していました。

そこは、子どもたちが「また、あそこに帰りたい」というような一時保護所だそうで、港区の施設もそういう場所にしたいね、という話をしていました。

 

港区の「母子生活支援施設」は、もともとこの近くの「サンライズ青山」という民間施設にありましたが、老朽化で取り壊しになりました。

だいたい自分の住んでいる地域から離れた自治体の施設に行くことが多く、どこの施設にいるかは一切明らかにされません。

なので、DV加害者が取り返しに来る、ということは、あまり想定できません。

 

いろいろな事情があって、母子二人きりになって途方に暮れている状態で、あまりにもボロボロな施設ではかわいそうすぎる。。と思っていたので、少しでも新しい未来に希望がもてる施設になったらいいな、と思います。

 

報道では、住民の意見が差別的だとして頻繁に取り上げられていますが、実際に、この計画地は、南青山の骨董通りの裏手の、すごいオシャレな場所にあって、私も、初めて視察に行ったときには、「えー!こんなオシャレな場所に作るの??」と思いました。

 

住んでいる人たちにしてみれば、「おしゃれな商業施設や観光施設ができるのを待ち望んでいたのに。。」という思いがあるのも、よくわかるような気がします。

 

でも、この施設は、捉える側の意識によって、全然違うものになる施設だとも思うのです。

かわいそうな子どもたちの施設になるのか、子どもたちの未来を守る拠点となるのかは、街の人たちの関わり方次第だし、「街の価値を下げる」のか「街のステイタス」になるのかも、社会がどう見るか、によるのだと思います。

 

施設のメーンに来るのは1階の「子ども家庭支援センター」で、年間3万人近い親子が「子育てひろば」に遊びに来る場所です。

民間やNPOと協力して、すぐ近くで閉館になった”こどもの城”のように、クオリティの高い素敵な企画をたくさん提供できるといいなと思います。

 

そして、都心の子育ては、ほとんどが核家族で、頼れる実家は遠くて、地域のサポートも得られず、外界と遮断されていて追い込まれやすいので、みんな子育てに悩むし、「虐待」は他人事でない世界です。

区が責任を持って、港区の子どもたち、子育て家庭を守ります、何でも相談に乗ります!という意思表明でもあるこういう施設があるということは、港区全体にとって本当に心強いことだと思います。

 

ここまで全国に注目された以上、素晴らしい施設をみんなで作り上げて、全国に発信できるようになってほしいな、と思っています。

それでこそ、青山、というような。

 

 

↑ 南青山5丁目の「児童相談所」併設の「港区子ども家庭総合支援センター」計画予定地。

 

 

↑ 「港区子ども家庭総合支援センター」の外観イメージ図。

近隣の緑化にも貢献できる、おしゃれな街並みに合った施設を予定しています。

まちの人たちと話し合いながら、素敵な施設にできるといいな、と思います。

 

 

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そして、「児童相談所」のもう一つの重要な機能に、「里親育成」というものがあります。

 

一般的な家庭や子育ての相談は、区の「子ども家庭支援センター」が受けるのですが、深刻な児童虐待などの相談は「児童相談所」に行きます。

「児童相談所」で、家庭から子どもを引き離して保護する必要があると認められたケースは、「一時保護所」で子どもを預かることになります。

でも、「一時保護所」は、次々に新しい子供が入所してくるので、長期で保護が必要な子どもは、「乳児院」(原則1歳未満)や、「児童養護施設」(1歳以上18歳まで)に入所するか、「里親」に預かってもらうことになります。

 

日本が他国に比べて、子供の虐待対応にかけるお金が少なすぎることは、よく指摘されていることです。

「ルポ 児童相談所」(大久保真紀、朝日新書)のまえがきの中で、花園大学の和田一郎准教授の研究としてあげられているのは、「日本が児童相談所や児童養護施設などに直接かけている費用は年約1千億円で、人口が日本の2・5倍の米国の30分の1、人口が日本の5分の1の豪州の3分の1」というもので、「虐待による社会的損失(精神疾患や貧困や犯罪に対応するコストなど)は毎年1兆5千億円にのぼる」と指摘されています。

 

東京都では、「児童相談所」や「一時保護所」だけでなく、その後の受け入れ先も圧倒的に不足しています。

 

平成28年度、東京都児童相談所が受理した相談件数は35940件ですが、一時保護したのは5・8%の2071件。

そのうち、施設入所などの措置は365件で、全体の17・6%に過ぎず、虐待を受ける多くの子どもたちが、家庭に返されていると思わざるをえない状況があります。

 

家庭にも居場所がない、学校にも居場所がない子どもたちが、繁華街にたむろして、ネットカフェ難民になったり、性産業に取り込まれたり、という問題も顕在化してきています。

そういう子どもたちを救い出す制度がないため、NPOが、なんとか居場所づくりをしようと奮闘していますが、これもまた場所が見つからず困っています。。

 

東京都では平成28年度末時点で、施設入所している児童は、児童養護施設が2967人、乳児院が397人、里親委託などが368人です。

国では、里親委託率の目標値も掲げ、平成31年度末までに22%としています。

 

児童相談所が虐待の対応業務に追われ、里親委託の業務に十分関わることができず、個別の里親への支援が行き届いていないことや、里親制度の社会的認知度が低く、委託可能な里親が少ないことが課題(平成28年度末で、東京都では里親登録は522世帯)とされていて、23区に児童相談所が設置された際には、この「里親制度の普及」というのも「児童相談所」の大きな役割になってきます。

 

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そこで、昨日は、みなと保健所で「養育家庭(里親)体験発表会」があったので、行ってきました!

 

 

(終わった後の写真ですが。。)

 

「里親」には、養子縁組を目的とした「養子縁組里親」と、養子縁組を目的とせず、一定期間、家庭で子どもを養育する「養育里親」があります。

 

この「養育里親」を20年されていて、これまで21人の小学生から高校生の男の子を、数ヶ月から8年間、養育してきたというお母さまと、そのお家が受け入れた”第1号”だった男の子(当時、小学5年で、今は30歳で、結婚して二人のお子さんのパパ)が、お話をしてくださいました。

 

たくさんの衝突があって、本物の”家族”になっていく二人の話が、すごくリアルで、心を動かされて、涙がボロボロこぼれました。

会場は立ち見になるほどいっぱいで、顔見知りの民生児童委員さんや町会の方々もいらしていました。

いろいろなところからすすり泣く声が聞こえてました。

 

”家族”は血のつながりではないんだなあ、と本当に思ったし、縁があって一緒に暮らして、たくさん共有した何気ない時間と、相手を思っての小さな行動の積み重ねで、本物の”家族”になっていくんだなあ、と思いました。

彼は、18歳になって里親さんの家を出た後も、里親さんのところに定期的にご飯に行って、里親さんが預かっている他の子どもたちの相談相手になったりして、力強いサポーターになっている、ということでした。

 

「里親」の良いところは、自分が家族をつくる時に、”家族”というものがどういうものかわかることがいい、と、彼は言っていました。

施設では例えば、献立表が貼ってあって、ご飯は献立表に従って決まった時間に出てくるもので、「里親」のおうちに行くと、子供は「献立表はどこにあるの?」と聞くのだけど、「献立表はないよ。何が食べたいの? あなたの食べたいものを作ってあげるわよ」というやりとりがある、という話に、「家族がどういうものかわかる」という意味がわかった気がしました。

 

港区では、「養育里親」の登録をしてくださっている家庭が9家庭あって、5人の児童を預かってもらっているそうです。

 

この日も、発表会の後、たくさんの人たちが、個別に「里親登録」についての説明を聞いていました。

少しでも、こうした輪が広がっていくといいな、と思います。

もちろん、簡単なことでは全然ないのですが、知らないで頭の中で想像するよりは、聞いてみて、すごく身近なことのように思えました。

 

「養育家庭(里親)体験発表会」は都内52か所で、開催中なので、ご関心のある方は、ぜひ一度、足を運んでみてください!

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/09/25/documents/10_01.pdf