スクイテン&ペータース Part.1 | あいざわ氏のブログ

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「プログレ中心の音楽ブログ」という位置付けながら、今回も漫画ネタw

…いや、でも今回は、ユーロプログレのマニア的には興味深いかも?

ついに今月末、BD(バンドデシネ)作家、フランソワ・スクイテン(Francois Schuiten)の話題作「ラ・ドゥース(La Douce)」邦訳版が刊行されます。

(「Schuiten」は、日本では最近まで「シュイッテン」と紹介されていました。)

内容は、私がぐだぐだ文字に起こすより、このPVを見てもらえば一目瞭然です。
http://www.youtube.com/watch?v=X3nQb4VmQh4&feature=related


BDとは、主にフランス語圏で出版されているハードカバーのコミック。

ストーリーよりヴィジュアル面を重視した、非常にグラフィカルなフルカラー作品が多く、
そのヴィジュアルは、日本の漫画やアニメ、ハリウッド映画等、世界中のサブカルチャーに絶大な影響を与えています。

荒木飛呂彦氏のBD作品「岸辺露伴ルーヴルへ行く」のおかげで、ここ1~2年、日本でもBDの認知度がだいぶ上がり、10~20年前なら信じられないペースと数で翻訳刊行されています。

BDは型にはまらない「何でもアリ」なフランス「9番目の芸術」で、
(1.文学 2.音楽 3.絵画 4.演劇 5.建築 6.彫刻 7.舞踏 8.映画。)
何よりも作家性が重視され、表現や技法のスタイルは千差万別。

(各バンドごとにスタイルが全く異なるプログレッシブ・ロックと似ています。)

中でも、スクイテン氏は、作品によって画風を変える器用な画家で、BD巨匠の中ではデビューが遅く、デビュー当時は「最後の天才」とか「遅れて来た天才」と呼ばれていました。

架空の巨大建築物の細密描写に定評があり、ブノワ・ペータース(Benoit Peeters)との共作で「変容する都市」を主題とした連作作品集「Les Cites Obscures」が代表作です。

スクイテン氏もペータース氏もベルギー出身で、スクイテン氏が作画を、ペータース氏がシナリオを担当しています。

絵も凄いのですが、ペータースの紡ぐ話も一筋縄では行かなく、よくSF作家のP.K.ディックやロバート・シルヴァーバーグが引き合いに出されます。

例えば、この連作群は、色々な時代における架空の都市を舞台として、その都市の変容と、住む人々の変容を丁寧に描写しており、 初期作「狂騒のユルビカンド」では、骨組みのキューブ(ジャングルジムみたいな立方体格子)が突如として都市の中に出現、理由不明のまま成長して巨大化、無限増殖します。

人々は最初こそ脅威に感じますが、だんだんその状況に慣れ、キューブは交通インフラとして使われたりするようになります。

絵や舞台設定は凄い緊密でリアリスティックなのに、シチュエーションと話の展開はとんでもなくシュール!私は昔から彼らの作品が大好きで、上京するたびに都内の洋書屋を探し回り、バカ高い仏語の原書と英訳版をこつこつと集めていました。

(仏語読めないので英訳版は助かりますが、英訳版は装丁も印刷も安い普及版仕様です。)



その彼らの代表作「Les Cites Obscures」も、一昨年から今年にかけ、小学館集英社プロダクションより「闇の国々」、「闇の国々Ⅱ」、「闇の国々Ⅲ」との邦題で連続刊行されています。

そして、昨年は来日して各所で講演会も開催されました。

まさかスクイテンを 日 本 語 で 読 め る 日 が 来 る な ん て !

そして、まさかご本人に 直 接 お 会 い で き る 日 が 来 る な ん て !

そんな訳で、昨年の11月20日(火)、福岡赤坂駅近くのアンスティチュ・フランセ九州(旧「九州日仏学館」)で行われた、フランソワ・スクイテン(Francois Schuiten)&ブノワ・ペータース(Benoit Peeters)講演会/交流会に参加しました。



せっかくのタイミングなので、Part.2では、その時の話を書いてみます。


実は、東京の会場では大友克洋氏や浦沢直樹氏などの豪華ゲスト
(彼らもBDからの影響を受けてます)との対談もあり、
かなり行きたかったのですが、この忙しい時期に東京遠征はさすがに無理。

まぁ、こんなサプライズ滅多にない…どころか、
今回を逃すと二度と無い可能性も高いので、福岡に参加出来ただけでも大変ありがたいです。


…という訳で、今回の日記はPart.2に続きます。

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