熊本県警強制捜査⑦ | 法友(とも)へ

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4台の車両が姿を消してから、ほんの10秒ぐらいたった頃だろうか、建物の陰から次々に人影が現れて整列を始めた。


フルフェイスのヘルメット、鈍い銀色に光る盾、完全武装の機動隊だ。


全身に金属プレートが入ったプロテクターを装着した姿は、人間の骨格とは別物のまるでロボットのように見えた。



これを追い返せってのか。


笑える。



人影は次々に集結していた。


完全武装組の他にも、背広姿の男が何人かいた。


総勢で20名程だろうか。


機動隊一個小隊。


非常事態にもかかわらず、「有明省吾ってどんだけ天才なんだ。」


などという、意味不明な思考が脳裏をよぎる。



道路を挟んで向こう側、10メートルほどの距離を隔てて機動隊が整列している。


すぐに点呼を終えて、移動を開始した。


こちらへ向かってくる。



見事だ。


全く見事な集団行動だ。


最初にパトカーが視界を横切ってから、まだ1分も経ってはいないのではないだろうか。


その間に各人が自分の役割を把握し、正確に行動している。



どこにもミスがない。


残念ながら、オウムはこれほどまでに見事な行動力は持ち合わせてはいない。


たとえ頭数は多くとも、所詮は烏合の衆だ。



無駄のない警察の動きを見ながら、オウムにいる悲しみを感じずにはいられなかった。


教団ナンバーツーから与えられた指示は、ただ「追い返してください。」だけなのだから。