【 運命は、自分自身で切り開く 】
16世紀末、中国の明の時代。
袁了凡(えんりょうぼん)
という方の生き方について
幼い頃から母の手一つで育て
られた袁了凡(えんりょうぼん)
の家に、ある時、易学に精通
している旅の老人が訪ねてきて
少年の未来を予測します。
「今でこそ君は、医者になる
勉強をしているみたいだけど、
それは受からないだろう。」
いきなり努力を全否定されて
驚く少年をよそに、話は続く。
「将来、役人の道に進むだろう。
その際は、何歳の時に、何番で
合格して、何番で次の試験には
合格して・・・・」
当たるも八卦当たらぬも八卦、
何でも事細かく次々と予測する。
「その後結婚するものの、残念
ながら子供はできないだろう。
そして、53歳の時になくなる
ことだろう。。。。」
最初、袁了凡は、全く気には
してなかったのですけれど、
あのときの老人が言った通り
になってしまいます。
医者になることもできず、
試験の合格の番号もぴったり。
すべてが、老人が言った通りに
なっていきます。
そこで袁了凡は、もし人間に
運命があるならば、あれこれ
努力することはやめて、天の
運命に任せることにします。
ある時、袁了凡は、出張先の
雲谷という偉いお坊さんに
出会います。
「あなたは、年が若いのに
非常にできていらっしゃる。
どういう修行をつまれたのか?」
というお坊さん。
「いいや。私は、ただ運命に
従っているだけです」と袁了凡。
「なんだ、そんなことか。では、
あなたは、実にくだらない人だ。」
と吐き捨てるように言いいます。
びっくりした袁了凡がその訳を
聞いてみると、お坊さんはこう
答えました。
「確かに人間には運命という
ものがあります。運命は、
決まっていますが、それは
宿命ではありません。
運命は前世の行いによって
きめられているものですが、
それは現世の努力でいくらでも
変えることができるものです。
それが「立命」というものです。
自分の人生を創造的に生きて、
どんどん修行をしなさい。
善きことを思い、思いやりの
心を持ちなさい。そうすれば、
あなたの運命は変るのです」
それを聞いて袁了凡は
愕然とします。そして、
努力して自分の人生を
切り開く生涯を送る
ようになります。
そうすると不思議なことに、
あの旅の老人に予言された
不吉なことなどもことごとく
外れるようになりました。
できないと言われた子供にも
恵まれることになります。
さらに、何歳で死ぬなどと
言われていた年をはるかに
過ぎても健康です。
そこで、自分の息子には、
人生の哲学を書き残します。
それが「了凡四訓」という
「袁了凡の教え」になった
というお話です。
運命は宿命ではなく、
現世で努力することで
変えられるものだという
大切なことが分かる物語です。
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