~七夕伝説物語~
夜空にキラキラときらめく天の川。
その川のほとりでは、
天の神さまの娘である
「おりひめ」が世にも
稀なる美しい衣装を
織っていました。
おりひめの織る布は、
五色に光り輝いていて
季節が変わるごとに
いろどりまで変わる
という伝説があるほどの
それはそれは美しいものでした。
天の神様はそんな娘が
とても自慢でしたが、
おりひめははたを織るのに
一生懸命だったために、
自分の髪や服のことは
かまおうともしません。
そんな姿をあわれに思い、
天の神様は言いました。
「おりひめもそろそろ年頃なのに、
人のはたを織ってばかりでは
かわいそうじゃ。。。
そうだ、おりひめにふさわしい
むこさんを探してあげよう」
天の神様はさっそく、
あちらこちらと探してまわりました。
「どこかにおりひめにふさわしい、
立派なむこさんはいないかのぅ…」
天の神様が天の川の岸辺を
ずっと歩いていると、そこで
牛の世話をしている若者と出会いました。
若者は「ひこぼし」といい、
牛に水をやったり
えさの用意をしたり
畑仕事に精を出したりと、
休む間もなくまじめに仕事をしています。
「うむ、この働き者の青年であれば、
おりひめと幸せに暮らしていけるじゃろう」
天の神さまは、
おりひめの結婚相手に
ひこぼしを選びました。
おりひめとひこぼしは
お互いにひとめで好きになり、
とても中の良い夫婦になりました。
めでたしめでたし。
.........なんて、
そこでそんな簡単に
物語が終わってしまったら、
七夕伝説にはなりませんよね。
(・ω・)ノ
そうです。
大きな問題が発生してしまいます。
天の神様にとっては、非常に
困ったことになりました。
織り姫も彦星も、
ふさわしいお似合いの相手が
幸運にもお互いに見つかって、
夫婦になったまでは良かったのですが、
天の国でのお仕事が、以前よりも
おろそかになってしまいました!
あまりにも、
相手のことばかり夢中になり、
他の事が見えなくなったのです。
自分の相手のことだけしか
全身全霊での愛を注げないほど、
目先の愛に固執してしまいました。
偏った愛は、そこまで行けば、
もはや本物の愛ではありません。
真実の愛は、バランスよく
栄養が配合されている、
とっても美味しい「お母さんの
手料理」みたいなものですから。
自分の好きなものばかりを
夢中になってしまうものは、
心の成長が伴っていません。
ふたりは、遊んでばかりで
ちっとも仕事をしようと
しなくなってしまいました。
「働きたくないでござる!」
o(`ω´ )o
と言ってニートの境遇を
賛美したわけではなくても、
仕事がおろそかならば、
同じことでございますよ。
天の国ではお互いを思いやる気持ちこそが宝物なのに、自分の家族以外に目を向けられないなら、残念ながらここにいることはできません。
機織りの機械にはほこりがかぶり、ひこぼしの飼っていた牛もえさをやらなくなったのでだんだんやせてきました。
「おまえたちそろそろ仕事をしてはどうじゃな」
心配した天の神さまが注意をしてもふたりは「はい。わかりました」と答えるだけでまったく仕事をしようとしません。
おりひめがはたを織らなくなったので天の国のひとたちの服はもちろん、天の神さまの服までもボロボロになってしまいました。
ひこぼしも仕事をしなくなったので、畑は草がぼうぼうに生えて作物はすっかり枯れて、牛はついに病気になってしまいました。
「このまま放っておくわけにはなるまい」
天の神さまは、泣く泣くふたりに告げました。
「もうお前たちふたりおを会わせるわけにはいかぬ」
とおりひめを天の川の西へ、ひこぼしを天の川の東へとむりやり引き離しました。
そうして二人は広い広い天の川をはさんで別れ別れになり、おたがいの姿をみることさえできなくなったのです。
あおれからというもの、おりひめは毎日泣きくらすばかりで、まったくはたを織ろうとしませんでした。
ひこぼしも家に閉じこもってしまい牛の病気はますますひどくなるばかりです。
こまった天の神さまはふたりにいいました。
「おまえたちが前のように毎日まじめに働くのなら、一年に一度だけふたりが会うのを許そう」
その言葉に、おりひめとひこぼしは心をいれかえてまじめに働き始めました。
一年に一度、そう7月7日の夜にあえることを楽しみにして…。
そしておりひめは前にもまして美しいはたを織るようになったのでみんなはとても喜びました。
ひこぼしも一生懸命牛を世話し畑を耕したので、牛はすっかり元気になり畑にもゆたかな作物が実りました。
やがて待ちに待った7月7日の夜になると、おりひめとひこぼしは天の川をわたり一年に一度のデートを楽しみます。
しかし、その日に雨が降ると川の水かさが増して川を渡ることができません。
すると、どこからかカササギという鳥の群れがやってきて天の川の中に翼をつらねて橋となり、ふたりを会わせてくれるのでした。
これにて、ほんとうに、
めでたし めでたし。
ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

