Aivy Beeroom



マイケル・ジャクソンがお亡くなりに。


私の初恋の人であります。
幼少期、異性の存在をこの人をもって知ったのです。

原形をしっかり留めていたオフ・ザ・ウォール時代から、誰もが認める世界一のスターダムへとのぼりつめたスリラーの時期。
この間の、まだ黒さの残った若きマイケルは、恐ろしいほどに、余すところなくキラキラと輝いており、あまりにも、あまりにもかっこよかったのです。

保育園生時代に父親に頼んで、何度もムーンウォーカーのビデオを繰り返し再生してもらった。
人に頼むだけでは飽きたらず、5歳のころにはビデオ操作を完全マスター。
ムーンウォーカーは結局テープが伸びきるまで観ました。



だけど彼が人並みの日常を暮らしたのは、生まれてからほんの数年の間だったのかなあ。
スターという宿命に人生のほぼを捧げ、スターという宿命に命をものみ込まれてしまった。

ゴシップ・アイコンとしての存在感があまりに大きくなってしまったため、
彼の生むものは、音楽的作品として全うに向き合われ難くなってしまったけれど、
彼がエンターテイメントとしての音楽、音としての音楽に、偉大すぎる革命をもたらしたのは事実であり、
生粋の天才なのです。100年に1度、いや1000年に一度現れるかもわからない。

彼の超絶した才能が、黒や白の壁を砕くだけでなく、多くの国境を超えて熱狂されたのも事実。


私は常に熱狂的に彼を愛してきたファンというわけではないのですが、
beat itやsmooth criminalのヴィデオはいつ見ても、涙が出てしまいます。
彼が死んだからではなく、ダンスが、あまりにも凄くて。


それにまだ風貌的にも音的にもモータウンの名残があるソロ初期の曲はすばらしい。
Rock with youなんて、若さと血気溢れ、イノセントな歌声が、
生きていた晩年の頃を含め、二度と戻ることが無いのかと思うと切なくて仕方が無い、
けどその苦しさも含め、今聴くととても新鮮でいい曲だと、染みるのです。


色んな人も言いますが、演り手のジャンルが緻密に細分化して、
受け手側の音楽を楽しむスタイルもすっかり多様化した現代で、
誰もが大スターと認められる存在は、彼が最後なのだ、という話は深く頷ける話であります。


とても世界的な喪失であり、
遠く日本の保育園児に初恋という名の初期衝動を与えてくれた人の死。

何ともいえず寂しい気分です。


Rest in Peace