伊丹市の民生・児童委員、公費で温泉…補助金プール

 兵庫県伊丹市の民生・児童委員240人が所属する市民生委員児童委員連合会(照屋盛徳会長)が、過去5年間に約4000万円の公費を使い、研修名目で、温泉地などへ宴会を伴う〈観光旅行〉を繰り返していたことがわかった。各委員の活動に必要な経費として県などから交付された補助金を連合会がプールして旅費に充てており、県は「観光や慰労目的であれば、補助金の返還を求める」としている。〈関連記事15面〉

 関係者によると、旅行は長年の慣行で、少なくとも10年前から費用を補助金で賄っているという。「全体研修」や「幹事研修」など毎年3回前後あり、2003年度以降は計14回実施。行き先は大半が温泉地で、温泉旅館やホテルに宿泊していた。

 民生・児童委員は無報酬だが、活動に伴う「費用弁償」として、都道府県と政令市が1人あたり年間約5万8000円前後の補助金を交付。これに市区町村が独自に上乗せしており、伊丹市では1人あたり年間11万6400円を市が連合会に一括交付している。

 連合会は、各委員に活動費などとして最高5万8000円を渡すが、残りは連合会事務局の市社会福祉協議会が管理し、旅行の費用などに充てていた。こうした〈天引き〉を知らない委員もいた。

 07年度は、8月の全体研修で鳥取・皆生温泉へ委員168人らが1泊2日で旅行。現地の委員と約1時間半の交流会を開いたほかは観光地巡りや宴会だった。委員22人らが参加した5月の九州への幹事研修(2泊3日)は費用の3割を自己負担したが、この2回の旅行で計728万円の補助金を使用。06年度も宇奈月温泉(富山県)などに3回旅行し、計1045万円を支出した。

 照屋会長は「県外研修は委員のレベルを高めるため。観光地を回るのも研修の一つで、飲食は活動の労をねぎらう意味がある。県や市からもらっているのは補助金ではなく手当だ」と説明。市は「委員が交流を深める機会が必要で、宴会も社会通念上、許容範囲と考える」とし、県社会援護課は「研修費用は講師謝礼などに使われるべきで、実態を調べたい」としている。

 厚生労働省地域福祉課の話「補助金はあくまで委員活動に必要な実費として支給されており、宴会や観光に充てるのは不適切だ」

■民生・児童委員■ 厚生労働相の委嘱を受けた特別職の地方公務員で、生活保護世帯などの状況把握や助言、援助を担当する。任期は3年で無報酬。「中核市と人口10万人以上の市は170~360世帯に1人」などと配置基準が決められており、全国で22万7284人(2007年12月1日現在)。

(2008年2月16日 読売新聞 関西発)

公費観光、5年間に4000万円…兵庫の民生委員ら

 兵庫県伊丹市の民生・児童委員240人が所属する市民生委員児童委員連合会(照屋盛徳会長)が、過去5年間に約4000万円の公費を使い、研修名目で、温泉地などへ宴会を伴う旅行を繰り返していたことがわかった。

 各委員の活動に必要な経費として県などから交付された補助金を連合会がプールして旅費に充てており、厚生労働省地域福祉課では「補助金はあくまで委員活動に必要な実費として支給されており、宴会や観光に充てるのは不適切だ」としている。

 関係者によると、旅行は長年の慣行で、少なくとも10年前から費用を補助金で賄っているという。「全体研修」や「幹事研修」など毎年3回前後あり、2003年度以降は計14回実施。行き先は大半が温泉地で、温泉旅館やホテルに宿泊していた。

 民生・児童委員には、活動に伴う「費用弁償」として、都道府県と政令市が1人あたり年間5万8000円前後の補助金を交付。これに市区町村が独自に上乗せしており、伊丹市の場合は、1人あたり年間11万6400円を市が連合会に一括交付している。

 連合会は、各委員に活動費などとして最高5万8000円を渡すが、残りは事務局の市社会福祉協議会が管理し、旅行の費用などに充てていた。

 07年度は、8月の全体研修で鳥取・皆生(かいけ)温泉へ委員168人らが1泊2日で旅行。現地の委員と約1時間半の交流会を開いたほかは観光地巡りや宴会だった。委員22人らが参加した5月の九州への幹事研修(2泊3日)は費用の3割を自己負担したが、2回の旅行で計728万円の補助金を使用。06年度も富山県などに3回旅行し、計1045万円を支出した。

 照屋会長は「県外研修は委員のレベルを高めるため。観光地を回るのも研修の一つで、飲食は活動の労をねぎらう意味がある。県や市からもらっているのは補助金ではなく手当だ」とし、市は「委員が交流を深める機会が必要」としている。

 一方、兵庫県は「観光や慰労目的であれば、補助金の返還を求める」と話している。

(2008年2月16日14時34分 読売新聞 社会)
伊丹市長、市費で宴会参加…市民生委員旅行

 ◆歴代、幹部は全日程に同行

 兵庫県伊丹市の市民生委員児童委員連合会(240人)が公費による県外旅行を続けている問題で、歴代の市長や市幹部が毎年、宿泊先の温泉旅館などで開かれる宴会に市費で参加していたことがわかった。市長は公用車で宿泊先まで出向き、幹部は全日程に同行。県市からの補助金を使った宴会に公務として参加していたことになり、市の認識の甘さが問われそうだ。

 関係者によると、市長は委員170人前後が参加する1泊2日の「全体研修」の宴会に出席。伊丹市から公用車で宿泊先へ行き、委員に同行した市の部長や課長と合流。宴会であいさつし、カラオケ大会に加わることもあった。市長は翌朝に伊丹へ戻り、部長らは旅行を続けていたという。

 高知市(2003年)や富山県の宇奈月温泉(06年)も公用車で行っていた。

 連合会は、委員の活動に対する「費用弁償」として県や市から交付された補助金を、宴会を含む旅費に充当。旅費は1人3万円程度だが、市長や部長らは、出張旅費から「宿泊代」として1万4000円~2万円を連合会に支払っていた。

 藤原保幸市長は05~07年の全体研修で宴会に出席。05、06両年は、市長交際費から「研修祝い金」として各1万円を同会に渡していた。藤原市長は読売新聞の取材に対し、「民生委員と意見を交わし、親睦(しんぼく)を深めるため参加しているが、補助金が使われていたとは知らなかった。問題があれば見直す」と話している。

 ■補助金会計処理県が報告求める■

 この問題で兵庫県は16日、同連合会の補助金の会計処理について、詳細な報告を行うよう伊丹市に要請した。県社会援護課は「補助金は活動費として委員に直接渡すべきもの。連合会が誤解を持たれる使い方をしていないかチェックしたい」としている。

 一方、伊丹市と同連合会が同日、記者会見し、中村恒孝・市健康福祉部長は、連合会が補助金をプールして宴会などの費用に充てている事実を認め、「見直しについては現段階では判断できない」と説明。連合会の照屋盛徳会長は、補助金について「会費として連合会が委員から預かって有効に使ってきた。温泉地に泊まるのが悪いことか。1年間の労をねぎらい合っただけだ」と話した。

(2008年2月17日 読売新聞 関西発)


以上自分用メモ

2月25日追記:

市民生委員児童委員連合会と市社会福祉協議会(伊丹市)の経費処理が問題なだけ。

●伊丹市民生委員児童委員連合会について

補助金は費用弁償として支出されているのだから、研修旅行の内容が「研修>慰労」では誰も納得しませんし、記事中にある「九州への幹事研修(2泊3日)は費用の3割を自己負担」みたいに研修なのに「なぜ自己負担が発生するのか?」、「自己負担の割合の根拠」が説明できなければ研修にかっこつけた慰安旅行と見られても仕方がありません。また「県などから交付された補助金を連合会がプールして旅費に充てており」や「こうした〈天引き〉を知らない委員もいた。」となっているということは会計処理は適切だったのかも問題となるはずです。また監査は実施されていたのか?(私の経験から言えば監査も書類上、名前だけ書いて終わりだと予想されますが・・・)また、これを行ったのが誰が会長の時代からなのか?今後はどうするのかなど問題は山積みです。ただ会長の「県や市からもらっているのは補助金ではなく手当だ」については兵庫県に突っ込まれるのは間違いないでしょう(笑)

●伊丹市について

委員が交流を深める機会が必要で、宴会も社会通念上、許容範囲と考える」それならなぜ補助金交付時に「費用弁償」とは別に「慰労費」名目で予算計上していなかったのか?まぁそんなの計上しても議会で否決されるだけと思ったのでしょうけど、この3期で約10人も民生・児童委員が減少し、おそらく平均年齢も高くなっているのを考え、地域の協力や委員の減少を食い止める手段として例えば年1回の慰労の予算計上を議会に説明することなどはしてこなかったのだろうか?左翼・リベラル色が強くなってる今の議会ならセイフティーネット維持の為に賛成してくれるかも!?まぁそんなのは無償の善意でやるべきだと言われたらお終いですが(笑)


私は委員の交流や簡素な慰労は実施してもいいと考えます。(簡素と言っても地元の目があるので1泊2日で地元を離れるぐらいは許容してもいいと思ってます。)なにもかも人の善意だけでやるのは今の時代もう限界ですよ。生活保護関連で宗教や某自由業の方や火病る人を相手にしたり、孤独死や幼児虐待なんかあったら批判される。さらに伊丹市では過去に「ライフスペース ミイラ事件(※1)」、「県最高齢男性約13年前に死亡(※2)」など全国に報道される事案があったのを忘れてはいけない。この案件は「両方とも宗教絡みだから特別だ!」で片付けていいものではありません。常識の範囲内かは別として死生観の多様化、産み逃げなどにみられる生命に対する倫理観の欠如など一筋縄ではいかなくなっていると考える案件だったのでは。

今年以降民生委員が仕事をやりづらくなるのは間違いないだろう。心が折れて民生委員が減らないことを祈る。

ただ確実に欠員が増えてきている現状は全国的に同じ理由(委員の高齢化、プライベートへの関わり方が難しくなってきているなど)だと考えられる。

※今期の定数は民生・児童委員が245人、主任児童委員が9人なのに任命されたのは234人と6人。

前々期と今期を比較して

●委員が減少した校区(数字:人 左:前々期、右:今期)

伊丹26⇒25、有岡18⇒17、荻野 9⇒ 8

鈴原15⇒13、笹原20⇒17、摂陽12⇒10、池尻12⇒11


●委員数を維持した校区

神津14、緑ヶ丘16、天神川14、瑞穂11、鴻池10、

南20、昆陽里11、花里10、稲野14、桜台13


こうしてみると伊丹・有岡、鈴原・笹原・摂陽と地区が隣接している校区で減少しているのが気になるところですね。

トラックバックした「葛城市民生児童委員連合会 」でもこの事について書かれています。



※1=ライフスペース高橋元代表に懲役15年

 ミイラ事件判決千葉県成田市のホテルでミイラ化した遺体が見つかった事件で、殺人罪に問われた住所不定、元「ライフスペース」代表高橋弘二被告(63)に対する判決公判が5日午後、千葉地裁であり、小池洋吉裁判長は高橋被告に求刑通り懲役15年を言い渡した。

 判決によると、高橋被告は99年7月、兵庫県伊丹市の病院に入院中の小林晨一さん(当時66)を、小林さんの長男(33)=保護責任者遺棄致死罪で懲役2年6カ月執行猶予3年が確定=らと共謀して成田市のホテルに運び、水分補給や薬剤投与をせずに放置して窒息死させた。

 高橋被告はミイラ化した遺体について「死んでいたとは言い切れない。肌の色が変わり、時には鼓動が聞こえ、『定説』によれば生きていた」と起訴前に説明。病院から連れ出したのも「点滴が危険だった。(頭などを軽くたたく)シャクティ治療を受けたいという意思に善意でこたえた。正当な医療行為だった」と殺意を否認し、無罪を主張していた。

 検察側は「自分に治療能力があるかのように装う保身と金銭欲のために、治りかけていた患者の死を早めさせる絶対的役割を果たした」と、被告側の「治療行為」との主張を否定した。判決もこれを認めた。

 高橋被告は法廷内ではほとんど発言せず、たまに発言しても、事件と関係ない自説や裁判官に対する非難を口にする程度だった。


 被告人質問で、弁護人、検察側、裁判所がまったく質問せず、数分で閉廷したこともあった。

(朝日新聞 2002年02月05日(火)より


※2=◆県最高齢男性約13年前に死亡

 107歳で県内男性最高齢とされていた伊丹市の男性が、自宅で死亡していたことが8日判明。伊丹署は23日、遺体の骨格と生前の写真を照合した結果、老衰か病気で1992年ごろに死亡したとみられると発表した。同市は毎年9月の敬老月間に100歳以上の市民に祝い金を贈るが、男性の場合は家族に渡していたため死亡に気付かなかった。遺族は23日夜、男性の死亡届を同市に提出した。

(神戸新聞 2005年2月9日、24日ほか)