夢列伝ブログ|会社の成長は人材の成長--- 株式会社絶好調の理念「大家族経営」の強さ | 日本を元気にする電子ビジネスマガジン『夢列伝』 ブログ

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 去る1月21日に都内の宴会場で「株式会社絶好調10周年記念祝賀会」が開催されました。会場には同業者や取引業者など約350人が集まり、同社の記念すべき日をお祝いしました。ここに集まった人たちは同社独特の企業文化に改めて共感したことでしょう。

 

 

 

 株式会社絶好調は、代表取締役の吉田将紀氏氏(41歳)が2007年11月に居酒屋「絶好調てっぺん」をオープンしたことにはじまります。場所は新宿ゴールデン街の入り口近く、雑居ビルの9階(最上階、22坪45席)というチャレンジングな場所です。吉田氏は当時31歳でした。

 

 そもそも吉田氏の独立開業がことさら注目された理由は、今や多くの業界が業界活性化の手本としている「居酒屋甲子園」のマインドがあります。

 

 吉田氏は居酒屋甲子園の創始者である大嶋啓介氏が立ち上げた居酒屋「てっぺん」で、「総店長」の肩書で同店を支えていました。色白の細面で、大きな瞳をいつもキラキラとさせて、テキパキと率先垂範で働く姿は、「居酒屋の仕事が大好きだ!」という思いを強烈に発信していました。

 

 

 吉田氏が独立開業した時の立ち上げメンバーは、吉田氏以外は全て20代前半です。若さがありましたが青さもありました。

 彼らは、吉田氏がてっぺんで働いていた当時に吉田氏が描く「夢」に賛同した人たちで、それぞれの現場では店長や店長候補として働いていた人たちでしたが、いざ共に仕事を行うと、彼らの仕事のレベルは吉田氏が想定するスタンダードに達しておらず、吉田氏が厳しく指導する毎日でした。

 

 現在の同社の業容は飲食事業9店舗、教育1施設、介護2施設、保育園1施設となっています。創業10年という沿革の中でどうして事業の多角化を推進しているのでしょうか。ここに同社の理念経営が存在します。

 

 

「大家族経営」と「竹林組織」

 吉田氏は立ち上げ当初から理念経営の重要性を認識していました。そこで創業当初から「理念書」をまとめることを念頭に置きました。そこで毎週日曜日の仕込み前の2時間、それをつくるための時間に当てました。

 

 最初に吉田氏が「食を通じてお客様を元気にし、夢とありがとうが溢れる世の中をつくろう」という文言を創り出し、創業メンバー一人一人の言葉を集めるためにいろいろとディスカションして、吉田氏が再構築していきました。

 

 そこで生まれたものが「絶好調が目指す経営」と「絶好調が目指す組織」です。絶好調が目指す経営とは「大家族経営」です。

 吉田氏はこう語ります。

「大家族経営とは、会社全体で家族ととらえ、社員は家族の一員と考えるというものです。つまり、絶好調に入社した者とは、親子や兄弟のように生涯の関わりを持ち、仕事だけではなく、プライベートなことも共有します。これからも更に事業所や店舗が増えても、メンバー間の絆で結ばれた関係を深め、自分の居場所がある第二の家のように感じる組織運営をしていきます」

 

 一方、絶好調が目指す組織は「竹林組織」です。

  ・竹は真っすぐで成長が早い(日に1m以上伸びることも)

  ・竹は一本一本根っこで繋がっている(仲間が増えていく)

  ・竹はしなやか(柔軟性があり、折れにくい)

  ・竹には節がある(節目節目を大切にする)

  ・竹の中は空洞(「空」である)――他、省略

 

 これらの発想をベースに、メンバーからさまざまな文言が集まりました。それは『経営方針書』としてまとまっていきます。

 

 

 吉田氏は、同社における『経営方針書』の存在意義をこう語ります。

「当社に入社した一人一人が自分らしさを表現できるような環境をつくる。そのようになれる仲間がいる環境にする。極力ストレスフリーな環境にする。このような価値観を揃えるための文言集です」

 

 

飲食業で繁盛店をつくれば何でもできる

 同社の「大家族経営」と「竹林組織」が端的に表れているものとして業務委託制度による社員独立が挙げられます。吉田氏はこう語ります。

「そもそも独立したい人は実力のある人たちです。このような人たちが会社を辞めていくと、会社は強くはなれない。そこで独立したい人はそれが叶えられて本部も役立ち、お互いWIN-WINになってシナジーが生まれるという発想です」

 

 一般的に、独立する人の不安要素は、まずお金がないこと。信用がないので物件契約もできにくい。成功する保証がない。そこで、独立する人には当社の既に繁盛している店を業務委託して営業してもらう。そこで、お金も、物件契約の心配が要らない。会社としては優秀な人材の流出がない。業務委託した店はそれぞれ自分が独立して営業しているので頑張って、直営店のときよりも売上げが増える。――業務委託制度による社員独立は、このような図式が描かれています。

 

 同社が飲食業界一本ではなく多業態を展開する理由は「チャレンジしたいから」(吉田氏)とのこと。吉田氏は、「天候や季節などによって営業状況が左右され、商品開発や販売促進を熱心に行い、なおかつ人材を採用・育成して、お客さまも日々変化している中で繁盛店をつくることができるのであれば、その飲食業は異業種にチャレンジしても十分に通用する」――このように確信しています。

 

 ちなみに絶好調が展開する業種はどれも人間力が生かされるものです。介護も保育も直接人と関わり食事も提供します。複数のチームで、複数の人々に対応するので、飲食業と似ていると言えるでしょう。

 

 飲食業と同様、介護も保育も求人難で、離職の多い業界です。しかしながら同社の場合、ここに理念である「大家族経営」が生かされています。同社のこれらの稼働率は業界水準を超えたレベルで推移しているそうです。

 

 

会議の中で社員が自発的にプレゼンを行う

 同社では社内のコミュニケーションを大切にして、社員によるさまざまな会議が行われていますが、ここでは社員有志によるプレゼンが行われます。プレゼンの発表者や内容は会社が指示をしたものではなく、社員が自発的に「私はこのようなことを会社で手掛けてみたい」という内容です。飲食業の経営とは異なる場合もあります。このような環境が、同社の画期的な動向に現れるのでしょう。

 

 

 さて、昨年2017年11月11日に、「絶好調てっぺん」で立ち上げメンバーが勢ぞろいしてゆかりのお客さまを招いて営業しました。来店の皆さんは当時のメンバーが10年の時空を経てここに集まっていることに感慨深げでした。

 当時20代前半の皆さんは、現在は30代前半です。現在、彼らは独立して経営者になっている、ないしは絶好調の社員独立や幹部社員になっています。絶好調の理念経営は人材を育て、同社に関わる人材の層を厚くしているのです。

 

 吉田氏は同社の飲食事業の展望をこう語ります。

「長期的には、2025年30店舗30億円を目指します。エリアの基本は新宿で、圧倒的に勝ちたい。ミシュランで星を獲得する店もやりたい。海外出店もあるでしょう。これからも日々チャレンジしていきます」

「会社の成長とは人材の成長」――このような絶好調の姿勢がひしひしと伝わってきます。

 

この記事を書いた人
『夢列伝』編集長 千葉哲幸

外食記者歴35年。2017年4月エーアイ出版夢列伝』編集長に就任し、夢を語り、それを実現するために行動し、日本を元気にする人に出会うべく東奔西走。

 

 

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