それでも、私は彼らに感謝する。イタリアでモラルの崩壊が始まってる現実を見られたからね。
イタリア人は日本人の前で中国人をバカにすることがある。嬉しくないし、誰かをけなして喜ばせようと言う魂胆が理解できない。
黄禍論の時代から始まった中国人への差別意識は、まだまだ続いてる。
あの東洋人を指さして笑う若いイタリア人たちは、街中でわざわざ有色人種を見つけては、粗野になるのかな。
その現実を見せてくれた若いイタリア人に感謝する。
こういった行動を取るのは、イタリア人だけではない。
ロシア、ルーマニア、アルバニアからの移民の子たちが日頃蔑まれている憂さ晴らしをするため、中国人やアフリカ人を蔑む。こうして差別の連鎖が生まれる。
街中で外国人観光客が通りすがりに誰かに指をさされたり、罵られたり、物を投げつけられたと聞かされたら、
「それはアルバニア人かロマ人だ。イタリア人はそんなことはしない」
とイタリア人は反論する。
その「犯人」がたとえイタリア人でも、彼らは自国にある差別から目をそらせる。
でも、人間誰しもそんなもんだよ。
自国の悪いトコなんか無いと思いたい、有っても無関心でいたい、と思うのは当然だからね。
アッシジの語学学校の女性の先生が、イギリスに語学留学で行った時の話をしてくれた。
「イギリス人に、罵られたり石を投げつけられたりしたの。イタリア人に対する反感が強い時代だったから」
日本人は「欧米」とひとくくりにしてヨーロッパの文化や経済を語る。
しかし、ヨーロッパの中ではさらに白人同士のいがみ合いがあるのかも知れない。
東洋の国々と同じだ。中国人、韓国人、日本人相互の差別はある。
同じようにゲルマン系、ラテン系、スラブ系…。その白人同士の差別の連鎖か。
で、イタリア社会全体のモラルが低下してる、と私が知り合った何人かの友達も言う。
アッシジの語学学校の女性の先生が言った。
「いまの若いイタリア人は尊敬深さが無いから、東洋人、アフリカ人だけでなく、肥満者や高齢者にも失礼な態度をとる」
アッシジの住民は、外国人観光客を見慣れているので、指をさしたりする人はいない。
(指はただただ目を見開いてビックリして逃げる子供たちはいるけど。)
アッシジに観光客が増える時期になると、こんな行儀悪い人たちによく出くわす。
,