源氏物語イラスト訳【末摘花166】格子手づから上げたまひて
からうして明けぬるけしきなれば、格子手づから上げたまひて、前の前栽の雪を見たまふ。
【これまでのあらすじ】
故常陸宮の姫君(末摘花)との初夜を終えた光源氏。なんだか思っていたのと違って、幻滅したものの、縁があって逢瀬を迎えたのだから、一生彼女の面倒をみようと心に決めます。光源氏は気持ちが向かないけれども、彼女の人となりを確かめようと、逢いに行きます。
源氏物語イラスト訳
からうして明けぬるけしきなれば、
訳)やっとのことで夜が明けた様子であるので、
格子手づから上げたまひて、
訳)格子戸をご自身のお手で上げなさって、
前の前栽の雪を見たまふ。
訳)御前の庭の植え込みの雪を御覧になる。
【古文】
からうして明けぬるけしきなれば、格子手づから上げたまひて、前の前栽の雪を見たまふ。
【訳】
やっとのことで夜が明けた様子であるので、格子戸をご自身のお手で上げなさって、御前の庭の植え込みの雪を御覧になる。が」と、お思いになるのも、身勝手なお考えというものであるよ。
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■【からうして】…やっとのことで
■【明け】…カ行下二段動詞「明く」連用形
■【ぬる】…完了の助動詞「ぬ」連用形
■【けしき】…ようす
■【なれ】…断定の助動詞「なり」連用形
■【已然形+ば】…順接確定条件の接続助詞
■【格子】…格子戸
■【手づから】…自身の手で
■【上げ】…ガ行下二段動詞「上ぐ」連用形
■【たまひ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【前栽(せんざい)】…庭の植え込み
■【を】…対象の格助詞
■【見たまふ】…ご覧になる
※【見】…マ行上一段動詞「見る」連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
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