源氏物語イラスト訳【末摘花165】雪景色を末摘花と眺める
をかしうもあはれにも、やうかへて、心とまりぬべきありさまを、いと埋れすくよかにて、何の栄えなきをぞ、口惜しう思す。
【これまでのあらすじ】
故常陸宮の姫君(末摘花)との初夜を終えた光源氏。なんだか思っていたのと違って、幻滅したものの、縁があって逢瀬を迎えたのだから、一生彼女の面倒をみようと心に決めます。光源氏は気持ちが向かないけれども、彼女の人となりを確かめようと、逢いに行きます。
源氏物語イラスト訳
をかしうもあはれにも、やうかへて、心とまりぬべきありさまを、
訳)趣深くもしみじみ感傷に浸る方面へも、様子が普段と違って、心が留まるに違いない雪気色なのを、
いと埋れすくよかにて、
訳)(末摘花は)とても引っ込み思案で無骨な様子であって、
何の栄えなきをぞ、口惜しう思す。
訳)何の見栄えもないのを、残念にお思いになる。
【古文】
をかしうもあはれにも、やうかへて、心とまりぬべきありさまを、いと埋れすくよかにて、何の栄えなきをぞ、口惜しう思す。
【訳】
趣深くもしみじみ感傷に浸る方面へも、様子が普段と違って、心が留まるに違いない雪気色なのを、(末摘花は)とても引っ込み思案で無骨な様子であって、何の見栄えもないのを、残念にお思いになる。
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■【をかしき】…シク活用形容詞「をかし」連体形ウ音便
※【をかし】…趣深い。風流がある
■【あはれに】…ナリ活用形容動詞「あはれなり」連用形
※【あはれなり】…しみじみ感動する。ここでは恋愛の方面をいう
■【も】…列挙の係助詞
■【やうかへ】…ハ行下二段動詞「様変ふ」連用形
※【様変ふ】…様子が普段と違う
■【て】…単純接続の接続助詞
■【心とまる】…心が留まる。心引かれる
■【ぬ】…強意の助動詞「ぬ」終止形
■【べき】…当然の助動詞「べし」連体形
■【ありさま】…ようす
■【を】…対象の格助詞
■【いと】…とても
■【埋れ】…ラ行下二段動詞「うもる」連用形
※【うもる】…引っ込み思案である。引きこもる
■【すくよかに】…ナリ活用形容動詞「すくよかなり」連用形
※【すくよかなり】…無骨だ。まじめだ
■【て】…単純接続の接続助詞
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【栄え】…見栄え
■【なき】…ク活用形容詞「なし」連体形
■【を】…対象の格助詞
■【ぞ】…強意の係助詞(結び;「思す」)
■【口惜しう】…シク活用形容詞「口惜し」連体形ウ音便
※【口惜し】…残念だ
■【思す】…「思ふ」の尊敬(作者⇒光源氏)
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