源氏物語イラスト訳【末摘花118】罪許し
この若人ども、はた、世にたぐひなき御ありさまの音聞きに、罪ゆるしきこえて、おどろおどろしうも嘆かれず、
ーーーーーーーーーーーーーーー
【これまでのあらすじ】
故常陸宮の姫君の噂を聞いた光源氏は、「零落した悲劇の姫君」という幻想に憧れと好奇心を抱き、大輔命婦に手引きを頼んでようやく逢瀬を迎えます。
【源氏物語イラスト訳】
この若人ども、はた、世にたぐひなき御ありさまの音聞きに、
訳)先程の若い女房たちは、はたまた、世に例のない美しいお姿の評判の高さに、
罪ゆるしきこえて、
訳)罪深き押し入りをお許し申し上げて、
おどろおどろしうも嘆かれず、
訳)大げさに 嘆くことも できず、
【古文】
この若人ども、はた、世にたぐひなき御ありさまの音聞きに、罪ゆるしきこえて、おどろおどろしうも嘆かれず、
【訳】
先程の若い女房たちは、はたまた、世に例のない美しいお姿の評判の高さに、罪深き押し入りをお許し申し上げて、大げさに 嘆くことも できず、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【この】…指示連体詞。例の。先ほどの
■【若人(わこうど)】…若い女房
■【―ども】…複数を示す接尾語
■【はた】…はたまた
■【世】…世間
■【に】…場所の格助詞
■【たぐひなき】…ク活用形容詞「たぐひなし」連体形
■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)
■【ありさま】…様子。姿
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【音高き】…評判の高さ
■【に】…原因の格助詞
■【罪】…ここでは、光源氏の強引な押し入り
■【ゆるし】…サ行四段動詞「ゆるす」連用形
■【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【おどろおどろしう】…シク活用形容詞「おどろおどろし」連用形ウ音便
※【おどろおどろし】…大げさだ
■【も】…強意の係助詞
■【嘆(なげ)か】…カ行四段動詞「なげく」未然形
■【れ】…可能の助動詞「る」未然形
■【ず】…打消の助動詞「ず」連用形
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
先ほど、末摘花にかわって、返歌を詠んだ若い女房達の様子です。
光源氏の強引な押し入りに対して、
声を荒らげて非難するために、おそばに付き従っているはずなのに、
光源氏のあまりの美しさに、何も言えず、ただおろおろとしているだけのようですよ!
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。