【若紫24-2】「御覧ぜさす」って使役?
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を賜り、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬、物の怪による夕顔の急死…。光源氏の恋は成就することなく、尽きせぬ恋慕を重ねていくのでした。
ただ今、第五帖「若紫の巻」です。夕顔が亡くなった翌年、光源氏18歳の3月(春)に、瘧病にかかって、その加持祈祷のために、北山に訪れます。そこである僧都の屋敷を垣間見ることとなります。
【今回の源氏物語】
「…人の国などにはべる海、山のありさまなどを御覧ぜさせてはべらば、いかに、御絵いみじうまさらせたまはむ。富士の山、なにがしの嶽」
など、語りきこゆるもあり。
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☆ 古文オリジナル問題~御覧ぜさす~☆
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「…人の国などにはべる海、山のありさまなどを御覧ぜさせてはべらば、いかに、御絵いみじうまさらせたまはむ。富士の山、なにがしの嶽」
など、語りきこゆるもあり。
問)傍線部の品詞分解として最も適当なものを1つ選べ。
1.下二段動詞+接続助詞+補助動詞+格助詞
2.下二段動詞+格助詞+補助動詞+接続助詞
3.下二段動詞+使役の助動詞+接続助詞+補助動詞+接続助詞
4.下二段動詞+使役の助動詞+接続助詞+ラ変動詞+格助詞
5.下二段動詞+格助詞+ラ変動詞+接続助詞
古文読解のテクニックは、
次の3つをマスターすることです。
⑴ 古文単語
⑵ 古典文法
⑶ 古文常識
上のような設問も
今後、共通テストに移行していくなかで
出てくる頻度が高くなると思われます。
先日の全統高2模試でも
「参らせ」の「せ」の品詞をきく問題が出ていました。
多くの高校2年生は
使役の助動詞「す」
と信じて疑わなかったようですが
正解は…
下二段動詞の活用語尾
これは、「す」が助動詞としての働きを失い
「参らす」で一語と認められる用法で
他の選択肢との組み合わせによって
吟味しなければならない部分だったのです。
さて、今回の「御覧ぜさす」はどうでしょう?
【御覧ぜさす(ごらんぜさす)】
【連語:動詞「御覧ず」未然形+使役の助動詞】
…ご覧に入れる。お目にかける。お見せする
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
なんか…訳だけ見たら、
「御覧ぜさす」一語の尊敬語のような気もしますが…
これは、使役の対象を敬った表現で
ご覧になるようにさせる、という語義です。
つまり、
謙譲語の「見せ奉る」とほぼ同義
ただし、「見せ奉る」よりも「御覧ぜさす」のほうが
敬意が高いといえましょう。
まあ、会話文中ですからね^^;
【答え】…3