【桐壺138-②】古文解釈~キムタクの死も…
【古文】
「さるべき契りこそはおはしましけめ。そこらの人の誹り、恨みをも憚らせたまはず、この御ことに触れたることをば、道理をも失はせたまひ、…
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【これまでのあらすじ】
帝は、亡き桐壺更衣の実家に、靫負命婦(ゆげいのみょうぶ)を使いに送り、母君と光源氏の参内を切望しますが、あえなく断られてしまいます。帝は、桐壺への思慕、母君への憐情…様々な思いが募り、夜も寝ずにもの思いにふけっておいでです。
今日は、帝にお仕えする人々の「嘆息」の原因です。
(※今回のイラスト訳はこちら→ )
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前回の古文解釈では、お仕えする男も女も、
「いとわりなきわざかな」
と嘆息してましたよね!
その根拠が、今回の文脈で書かれています。
「さるべき 契りこそはおはしましけめ。
【さるべき】
…しかるべき、当然の、こうなるはずの
【契り(ちぎり)】
…約束、前世からの宿縁
「契り」については、以前こちらでも説明した通り 、
「仏教的観念」です!
なぜ、こんなことになってしまったのか…
世の中には不可解なこと、理不尽なことが多いです><
きのうも、巨人軍の木村拓也が、37歳という若さで、突然に亡くなりました。
なぜ、こんなことが起こってしまったのか…??
人知を越える不可解なこと…
平安時代の人々は、それを科学的に証明することはできず、
すべては、前世からの因縁、そうなるはずの運命だと考えるようにしていたのです。
訳)「こうなるはずの 前世からの宿縁がおありあそばしたのだろう。
帝の悲しみは、桐壺更衣の死に基づくもの…
でも、その原因を引き起こしたのは、
他でもない…帝の愛…
なぜ、こんなにも、更衣を愛してしまったのか…?
もしかすると、私と更衣は、前世で深い結びつきがあったのかもしれない…
帝にとって、「さるべき契り」とは、そのことを指しているのでしょう。
また、お付きの人々にとってみても、
「なぜあんなにバカな愛し方をされたのかしらん!」
!(´Д`;)
「わりなし」!(´Д`;)
という気分で、その不可解な帝の溺愛を
「さるべき契り」と言ってるのでしょう!
では、具体的に何が批判の原因なのか…
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そこらの人の誹り、恨みをも憚らせたまはず、
【そこらの】
…多くの
(※絶対丸暗記単 語です!)
お仕えする人々はじめ、多くの妃たち、そしてその父兄である大臣たちの「誹り」や「恨み」をも、憚ることをしないで、帝は、桐壺更衣だけを愛し続けたのでした。
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この御ことに触れたることをば、
「この」という指示語は、現代でも使いますが、
話題になっていることを示したもの。
つまり、ここでは、文脈上ニュアンスをずっと匂わせている、桐壺更衣とのことです。
【触る】
…触れる、関係する
【~をば】
…~を、~をば、
格助詞「を」+強意の副助詞「ば」☆
現代でも使いますよね♪
また、ついでに…
【~をも】
…~を、~も、~をも、
格助詞「を」+強意の係助詞「も」☆
これも、現代でも使われますね♪
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道理をも失はせたまひ、…
【道理(だうり)】
…正しいことわり、筋道、そうあるべきこと
ここでは、帝が、身分のそんなに高くない桐壺更衣ばかりを寵愛するようになったことは、多くの人々の目からすると、誠に「道理に外れた」行為だったはずですね。
訳)分別をお失いあそばされ、
道理に外れた、無分別な帝の愛…
それがもたらした、更衣の死…
「ほれ見ろ!言わんこっちゃない^^;」
「わりなし」には、そのような人々の思いも、含まれていたのかもしれませんね;;
【古文】
「さるべき 契りこそはおはしましけめ。そこらの人の誹り、恨みをも憚らせたまはず、この御ことに触れたることをば、道理をも失はせたまひ、…
【訳】
「こうなるはずの 前世からの宿縁がおありあそばしたのだろう。たくさんの人びとの非難や嫉妬をも気がねあそばさず、あの方の事に関することは、分別をお失いあそばされ、
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■【さるべき】
■【契り】
■【おはします】
■【けめ(けむ)】
■【そこらの】
■【誹り(そしり)】
■【憚る(はばかる)】
■【~をも】
■【~をば】
■【道理】
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あいでした