我が家の猫は、14年前に会社近くで捨てられていたのを後輩のS君が拾ってきた猫だ。

仔猫だがそこそこに成長していた。誰がいたずらしたのか、チューインガムがくっつけられていた。

社員が寄って来て餌を与えたり『カワイイ』と撫でたりするが、さすがに会社で飼うわけにはいかない。

なんだか自然の流れで私が飼う事になった。

当時新婚ホヤホヤで、別れた女房も事のほか猫好きだった。

以来14年、人間の年齢にするとかなりの高齢だ。

今年の前半まで今までとほとんど変わることはなかったが、夏ごろから急に衰えが目立ちはじめた。

ジャンプして椅子に座ったりするが、着地が弱々しい。

マンションだから外に出すわけにもいかない。人が出入りする隙を見てよく外に飛び出したものだが、それもまったくしなくなった。

餌を与えてもすぐ忘れるようだった。人間だったら『おじいちゃん、ご飯はさっき食べたとこでしょ』ってとこか。雌だけど^^;

昨日夕方、布団の上で寝転がっていたが、呼びかけて反応はするが、視点が定まっていない。

突然、思い出したように起きだして、なぜか仏壇の前で昼寝を始めた。いつも決まったところで昼寝をするのに、場所としては異例だ。

動物病院のお医者さんから、いわゆる老人呆けの徘徊のようなことをしているんだ、と言われていたので驚きはしなかったが。

人間だと寝たきりになったり介護が必要になったりするものだが、飼い猫の温室育ちにもかかわらず、トイレは決まった場所でするし、餌は自分で食べるし、動物ってたいしたものだとつくづく感心する。

11月ともなると日が落ちるのは早い。

夕暮まで続いた昼寝は永遠の眠りとなった。

14年って長いようでふり返ると短い。