「闇の歯車」藤沢周平 | 食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ

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読んだ本の勝手な感想を中心に、日々の行動のあれこれを綴る。
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江戸市井の人たちの数奇な人生を描いたサスペンス時代長篇。藤沢周平のストーリーテラーとしての力量が発揮された傑作。
深川にある赤ちょうちんの飲み屋「おかめ」の常連である佐之助(博打にはまり賭場で人を刺し、いまは恐喝働きの生活をおくる)、清十郎(不倫関係から駆け落ちした病身の妻と、人目を忍んで暮らす浪人)、弥十(若い頃人を刺したが、いまは楽隠居暮らし)、仙太郎(賭場に借りがあるうえに年上の女おきぬと別れたい、若者)。この四人に、愛想のいい商家の旦那ふうの伊兵衛が、大金強盗の押し込みを働く企てをもちかける。
たがいの身の上を知らない同士の四人が、百両の金にひかれて、闇の方向へ、その歯車をみずから回す決断をくだす---。 (BOOKデータベースより引用)

 

「暑い夜だった。そして夜は始まったばかりだった。」

簡潔な文体で始まる物語は、江戸の庶民が暮らす裏店の露地のじっとりした夏の夜を描写していく。

窓や戸口を開け放した家々からは、生活音や話し声、赤ん坊の泣き声などが筒抜けだ。

そんなうらぶれた長屋に住まう左之助は、賭博を止められず女房と別れ、今は恐喝仕事を請け負って暮らしている。後悔の思いや先の無い暮らしぶりが、この湿った暑さとともに見事に浮かび上がる。

 

悪事に誘われる「おかめ」の常連それぞれが抱える「金を必要とする事情」が語られ、一方、過去十数年に何件か起きた未解決の押し込み強盗に腑に落ちないものを感じて調べている同心の新関多仲が伊兵衛を見張り始めている。

 

それぞれの男たちの行動と心理状態に、息を潜めながら読み進む自分真顔シンケン!

いやあ、なんて藤沢作品は面白いのだろう!

押し込みに誘う伊兵衛の巧みな話術と事前の情報収集、小太りの商家の旦那風の外見や物腰が、時折ふっと鋭いものを見せる怖さ。

押し込み強盗の手伝いなど考えてもいなかった男たちが、切実に金を必要とする状況になってゆき、その背中を押す伊兵衛。

同心の新関も核心を掴み切れないながら、決して伊兵衛から目を離さず、少しずつ近づいてゆく、この切迫感。

まるでフレンチ・ノワールみたいな暗い気分になる犯罪もの、実に自分好みニヤニヤウヒー!

そしてある種のどんでん返しがあり、哀れな末路があり、最終的に救いと希望のある結末。

ああー、久しぶりの藤沢作品、大満足。やっぱり大好きですデレデレハアアラブラブ

 

 

 

初冷やし中華: あんまり寒くない日を狙って冷やし中華!

素麺は6月初めのちょこっと夏が来た時に済ませましたが、冷やし中華はようやくでした(笑)

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