「長いお別れ」中島京子 | 食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ

食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ

読んだ本の勝手な感想を中心に、日々の行動のあれこれを綴る。
フレンチレストラン・カザマのお料理ご紹介。


テーマ:

かつて中学の校長だった東昇平はある日、同窓会に辿り着けず、自宅に戻ってきてしまい、心配した妻に伴われて受診した病院で認知症だと診断される。
昇平は、迷い込んだ遊園地で出会った幼い姉妹の相手をしたり、入れ歯を次々となくしたり、友人の通夜でトンチンカンな受け答えを披露したり。
妻と3人の娘を予測不能なアクシデントに巻き込みながら、彼の病気は少しずつ進行していく。
そして、家族の人生もまた、少しずつ進んでいく。
認知症の父と妻、3人の娘が過ごした、あたたかくも切ない、お別れまでの10年の日々。

--出版社の内容情報より引用

 

 

大好きな中島京子さんの作品であり、認知症介護というこれから自分自身にも可能性のある重いテーマである、という2点で書店で見つけたとたんに迷いなく手に取った一冊だ。家族には今現在そのような人はいないけれども、実は一番認知症の可能性のあるのは自分自身では無いかという恐れが頭から離れない自分である滝汗 

色々な事を忘れ、自分で自分を律することが出来なくなるなんて、、、こんな怖いコトは他には無い。

 

本書は、80代でアルツハイマー型認知症と診断された夫・昇平とその妻・曜子の主に一人で介護に奮闘する10年間を綴った物語。

娘が3人いるけれども、長女は夫の赴任先であるカリフォルニアで暮らしており、次女は近くにいるが家族の世話に忙しい。三女は独身でフードコーディネーターとして多忙な日々を送っている。曜子さんとしても、子どもたちに迷惑は掛けられない、という意識が働いているのだろう。

昇平さんは校長先生を勤め上げ、退職後は図書館長も任じられた立派な人格者で良き夫、良き父親である。異変は少しずつ進むので、曜子さんもその都度の変化に対処し、介護保険やデイサービスの利用をしながら自宅介護を続けていたのだが、、、。

 

小説中の年月の経過に伴い昇平さんの症状はもちろん進む。それは驚くほどに進んで行く。曜子さんは、日々の介護のスケジュールに忙殺されて、自分の身体のケアを放っておき網膜剥離を起こして入院・手術を余儀なくされることとなる。ここに及んで3人の娘たちも両親の事をなんとかしなくては、と思う事になる。もちろん今までも折々に手助けをしては来たが、もう自宅介護は限界だという事だ。

 

この頃の翔平さんの症状はすさまじくなっている。若い娘たちでも、疲れ切るような介護を曜子さんはほぼ一人で続けてきて、それでも早く入院を終えてお父さんを家に連れて帰る、と決めている信じられないような強い心の持ち主だ。

夫婦の絆なのだろうか。妻の名前も忘れ、この女性が妻であるということすら忘れて、それでも曜子さんの顔を見ると、ほっと安心したような表情を浮かべる翔平さん。

 

認知症になっても大事な家族というみんなの温かな思いが見えるほろりとするストーリーに、認知症ならではのおかしな行動や変化していく症状、困る下のコト、などなどをユーモアに包んで織り交ぜ、デイサービスの内容や認知症に効く新しいお薬、病院の対応など、読者にとっても有益な情報まで詰め込まれた、素晴らしい介護小説。(日本医療小説大賞受賞です)

読んで良かった。とりあえず、母(まだ元気な80代)に読んでみるか、聞いてみよう!

 

ああ、老後。どんな老後が自分を待っているのだろうか笑い泣き

agneauさんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

SNSアカウント

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス