「書店主フィクリーのものがたり」ガブリエル・ゼヴィン/小尾芙佐・訳 | 食べて飲んで観て読んだコト+レストラン・カザマ

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読んだ本の勝手な感想を中心に、日々の行動のあれこれを綴る。
フレンチレストラン・カザマのお料理ご紹介。


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島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、フィクリーは打ちひしがれる。傷心の日々を過ごすなか、彼は書店にちいさな子どもが捨てられているのを発見する。自分もこの子もひとりぼっちーフィクリーはその子を、ひとりで育てる決意をする。本屋大賞に輝いた、本を愛するすべての人に贈る物語。

(文庫裏表紙の紹介文より引用)

 

本屋の店主が主人公であり、本への愛と本屋そのものへの愛に満ち溢れた本書が2016年度の「本屋大賞・翻訳小説部門」の第一位に輝いたのは、当然のことと思える作品です真顔ウン!

 

愛する妻を不慮の事故で亡くして以来、ずっと心を閉ざし飲んだくれていたフィクリーの凍った心を溶かしたのは捨て子のマヤ。2歳だったマヤは無心にフィクリーに手をさし伸ばし、その可愛らしさはフィクリーの心に空いた穴にすぽっとはまりました。あるいは乾ききった心にしみて来た慈雨。施設に行き里親を探して預けられるはずのマヤを、自分が里親になりたいと希望し、男性一人ではきっと難しい案件だったでしょうが、何よりマヤが懐いていている事、マヤの母親(島の海で入水自殺していたのが発見された)の書置きには「本のある所で本好きの人の間で育ってもらいたい」という希望がありましたし。現実にはどうか分からないけど、こうしてハードルを越えてフィクリーとマヤは父娘になったのです。

 

マヤ・タマレーン・フィクリー。マヤに付けたミドルネームの「タマレーン」は、E・A・ポーが17歳で書いた初の詩集のタイトルで時価何十万ドルもするという稀覯本ですが、昔フィクリーが古本市で偶然見つけて安値で手に入れたもの。鍵の掛かる保存庫に入れて大事にしていたのに、酒の相手にして出しておいてそのまま寝てしまった間に忽然と消え失せてしまいました。

 

消えた本と現れた子ども。この大きな謎を軸に、アリス島という小さな島の唯一の書店とその主にかかわる島の人々との交流がとても温かくて、それはマヤによって変わっていくフィクリーの本を熱愛する暮らしぶりとが、もちろん本好きである読者の心をも温かくさせてくれるのです。

そして、出版社の営業であるアメリアに心を惹かれていくフィクリーが、中年のかたくなだったフィクリーが、愛おしくさえ感じてきます。

 

主な登場人物(脇役たちもとっても魅力的、警察署長のランビアーズとかね)と、その行動、謎、それが終盤全て、覆われていた布が取り払われたように明らかになるけれど、それは読者の我々だけが知っていれば良い事実のようですね。フィクリーの書店はその後どうなるのか、本好きにはとても幸せなラスト。それらについては色々と書きたい件があるけれど、やはりこれはぜひ本好きの皆様(もし貴方が未読であれば)に読んでみて欲しいところなのでネタバレなしですウインクヨンデミテ!

 

本好き、そして書店好きである自分、週一のお休みには必ず行きつけの書店に行き、平台を眺め渡し、ベストセラー本や好きなジャンルの本、コミックスまで一通りチェックして何がしか購入します。本書でもフィクリーが忌み嫌った「書店の敵」電子書籍リーダーも持っていて、ネットでも紙の本や電子本も購入するけれど、やっぱり書店に行くことは止められません。

 

街の本屋さん、永遠にあらんことを!

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