【夏目友人帳】人の迷いや苦しみに付き合う | マンガ心理学って何だろう

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親子のキャリア教育 ライフキャリアカウンセラー☆井島です。



新年のご挨拶のあと、間が空いてしまいましたあせる


1回目の話を選ぶのに迷ったのですが(迷う必要ないのですがっ)、今回は先日に発売された


夏目友人帳 15巻からにしましたビックリマーク



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「夏目友人帳」15巻 緑川ゆき 2012 白泉社



このマンガは以前にも取り上げたことがあります。


今年で10周年になるそうです。アニメ化4期まで放送されて人気も出ました。


このマンガ、ムリして一言で言うと「やさしい」マンガです。


やさしい、とは人の心に触れるやさしさのこと。


私は、、、、単行本を読んでいて泣かない回はないくらい、切なく心の機微に触れることの多い作品です。


何が心に響くのかなぁと考えた結果、大きく占めるものは、この作品は全体的に、「人の心の苦しみ」を描いており、それを登場人物が分かってしまい、自分も迷いながら手を貸す、というところにあるように思います。


人の苦しみと言っても、人間だけではなく「妖(あやかし)」も含まれます(笑)パー


今回、15巻にあったもので印象的なのは2つあるのですが、その1つ。


小さな力の弱い妖が、高貴な妖(神様に近いかもしれません)に命を救われたことに恩を感じ、一緒にいた時間の楽しさを忘れられず、その高貴な妖一行に着いていきたい、という願いを持ちました。


住む世界が異なることから、願いは叶いにくい。


長い間、探し続けてやっと再開できましたが、高貴な妖にも断られました。


願っても、得られないものがあります。


これって、人間の生活でもあることです。


これを、仏教では人が生きることの中で苦しむ「四苦八苦」の1つとして示しています。


八苦に入る「求不得苦(ぐふとっく、ぐふとくく)」と言います。


生きている中で、様々なこと、色々なものを求めるけれど、それが得られない、ということから苦しく悲しくなる、というものです。


人の苦しみの道理なんですね。


「こうしたかったけれど、できなかった」「こうなりたかったのに、ならなかった」


キャリアを形成していくときにも、少なからず出会う苦しみでもあります。


それには、努力が足りなかったのか?


決して、そういうことでもありません。


必死に頑張って、頑張ってその願いに向けて一直線に進んで行っても、環境や相手や状況によって、叶わないこともある。


だから苦しい。


そして、この話にはもう1つの苦しみも隠されています。


それは、八苦の中のもう1つ、「愛別離苦(あいべつりく)」です。


愛しい人、大切な人と別れなければならない、という苦しみです。


別れは死だけではなく、生きていて離れ離れになることも含まれます。


様々な事情によって、願っても一緒にいることができない悲しみ。


老若男女にあります。


今回の妖もそうだったのです。


2つもの苦しみに遭遇すると、人はその苦しさに負けてしまうことがあるのですが・・・・・



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この妖は、それに抗い立ち向かっていきます。


決して希望を自分から捨てないのです。


形だけ繕っても、一緒にいることにふさわしくないのなら、頑張って修行します!と。


いつかきっと、一緒にいても大丈夫と思ってもらえるように更に努力するのだと。


時間をかけて努力しても得られなければ諦めてしまったり、自暴自棄になったり、相手や環境を責めて怒ったり・・・・そうしてしまうこともあります。


だけど、自分から希望を捨てない限り、それは「目標」として残っているんですよね。


そして、大事なのは、その苦しみに「とらわれない」ことなのではないでしょうか。


それは、とても大切な姿勢なのだと感じます。


苦しさを、希望に変える。それは、感じている本人にしかできないことかもしれません。



時に、その愚直さを馬鹿にしたり、往生際が悪いと情けなさを感じる他者もいるかもしれません。


ただ、それがその人にとって譲れないほどのものであるのなら、それにはその人にとっての価値があるものではないかと思うのです。


主人公の夏目は、そう感じたのでしょう。


その妖が「きっと やれる。そうだろう?」と訊いてきたとき、「ああ きっと」と背中を押してあげます。


他者の目からはムリではないかと思われても、その人が大事にしているものならば、応援してあげる。


ときに、そういうやさしさも必要なときがあるんですよね。





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