一度も推敲せずに書いたレベルの脚本。テンポも悪いしB級にしてももう少し頑張ってほしい

 

「KKKをぶっ飛ばせ!」はチャーリー・スティーズ監督によるブラックコメディ映画。アメリカ発祥の人種差別的秘密結社クー・クラックス・クランをモデルにしている。ディオンドル・ティーグル、フェイス・モニーク、トラビス・カットナーらが出演。

ストーリー:1971年。強盗の容疑で逮捕されていたブランドンは刑務所から脱走し、姉のアンジェラ、兄のクレランスと共に、長年放置されていた祖父の納屋に身を隠した。しかしその納屋はKKKが黒人を拉致して殺して食べたりする現場として使用しており……。

 

いやー、ひどかったですね。

もう何もかも低レベルに感じました。

まず、主人公サイドの設定が謎。強盗で服役しているのを、兄弟とはいえそんな手助けするかな、って思うし、その脱走計画もなんだかめちゃくちゃずさん。まあ百歩譲って手助けするくらいならまだしも、一緒に納屋で一夜をすごしてあげるのとか意味わかんないんですね。しかも姉も婚約者がいたりして結構忙しそうなのに。

この納屋にいる理由をちゃんと作らないと、導入から入り込めないんですよ。

まあ入り込めたところでその後の展開もものすごい雑なんでどうでもいいのかもしれないけど。

多分脱走者にしたのは警察などに助けを呼ぶことをさせないための設定なんですが、これがあんまり効いているとは思えず。単純にいきなり好感度が低い主人公っていうところから始まっちゃったのが良くなかったです。

で、KKK側も本当にひどくて。主人公たちを捕まえてもなぜかとどめをささないんですよね。まあとどめをさしてたら話終わっちゃうんですけど。

みんなもたもたと動いて雑に銃とか撃って無意味に死んでいくんですよね。で、銃あるのになぜか斧とかで攻撃しようとするし。まあガンパウダー・ミルクシェイクも同じようなところあったけど、それは肉弾戦のアクションをちゃんとスタイリッシュに描くためだったので、まだ納得できたんですよ。アクションかっこいいー!ってなったから。ところが今作のアクションは本当に素人がバタバタもがいているようなものなんですよね。

お互いにもたもたと殴り合って、たまに銃のことを思い出して取りに行って、みたいな。もうみんな生きることに対して執着がなすぎる。どうしてそんなに効率の悪い自衛の仕方するの!って怒りたくなるくらいみんなひどい動きをします。

結局今作は何を見せたいのかがよくわからないんですよ。KKKの描き方もコミカルにするならもっと突き抜けてほしいし、レイシストとして批判したいならもっとやった方がいい。全体的に中途半端な存在として描いてしまっているんですよね。また、アクションを見せたいとは到底思えないほど動きもカメラワークも雑。グロさを売りにしたいならもっと徹底的にやらなきゃダメだし(そういうのじゃなくて良かったけども)B級を狙うにしてももっと細部にこだわらないとダメなわけなんですよね。ところが今作は単純に出来が悪いだけの作品になってしまっていました。

何を売りにしたかったのかもわからないし、ラストまで各キャラクターの動きが非合理的極まりなかったです。もうちょっと推敲してほしいですね。一気に書いたの?何分かけたのこの脚本に。って聞きたくなっちゃうくらいのレベルでした。

そんなわけでこれはさすがに観るべきとは言いにくいなって作品でした。まあ質が低くても公開されるものもあるんだな、って思えるのは珍しい体験だとは思うので、それを確認しに行くっていう動機なら観に行く理由になるかもしれません。

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