主人公の魅力がなすぎて残念。映像に対して物語のスケールが小さすぎる

 

「ナイトメア・アリー」は「シェイプ・オブ・ウォーター」などのギレルモ・デル・トロ監督の最新作。ウィリアム・リンゼイ・グレシャムによる小説『ナイトメア・アリー 悪夢小路』を原作としており、「アメリカン・スナイパー」などのブラッドリー・クーパーが主演している。共演は「ブルージャスミン」などのケイト・ブランシェット、「スパイダーマン」などのウィレム・デフォー、「ドラゴン・タトゥーの女」などのルーニー・マーラら。

ストーリー:見世物小屋で獣人のショーを見たスタンは金を払わずにその場を去ろうとするが、それをオーナーのクレムには見破られていた。クレムはスタンを小屋の撤収作業に参加させ、次の公演場所へと連れていく。そこで一座の一員となったスタンはジーナとピートによる透視の手品のアシスタントを務めることとなった。スタンは電撃を耐える女性、モリーと共に一座を離れ、透視の手品で得た技術を使って成り上がっていく。

 

期待外れでした。

いや、期待しすぎちゃったんですかね。予告編がめちゃくちゃかっこ良かった(日本語のナレーションが入っていない方の予告編ね)し、映像がとてもきれいだったので、物語に対してどんなすごいことが起こるんだろう、って思ってしまいました。

結果としてスケールがめちゃくちゃ小さい話だったので、非常に残念でした。

うーん、なんだろう、結局スタンの一代記みたいな話なんですが、それがそんなにすごくないんですよね。まあ透視の技術で成り上がっていくのはすごいんですが、別にそれも特別彼がすごいわけでもなくて、ピートという師匠がすごかったというだけに感じてしまいましたし、その後の展開も見通しが甘すぎて、何か悪いことがあってもそりゃそうなるわなって感じてしまいましたね。

とにかくスタンの魅力がないんですよ。最初っからエピソードに華がない。金を払わずに消えようとしたり、やることなすことチマチマしてて、本当にただこすいだけって感じで。

そういう人間が大きくなって、仕掛ける中身もすごい!みたいになっていけばまだ面白いんですが、前述のとおり見通しの甘い計画ですし、うーんって感じ。ブラッドリー・クーパー、こんなに魅力ない役者さんだっけ。

あと、悪事の才能でもいいんですが、彼にしかできない何かがあればまだ魅力的になった気がしますが、そうでもないし。

小物悪党の感情の機微を映し出す作品になるならそれはそれでいいんですが、そういう苦悩もそこまで描かれないし、何でこんな特筆すべきところがない男の一生を観させられているんだ?ってくらいイマイチな中身でした。

映像とかめちゃくちゃかっこいいのに、やることがその程度のスケールなのかよってなっちゃうし、どの辺が「ナイトメア・アリー」なのかもよくわからないし、雰囲気だけ良いね、ってレベル。

物語が本当に陳腐なものを、何とか映像でごまかして映画っぽくしたなあって印象で、逆にすごいと感じました。ドキドキ感みたいなスリルは感じられるし、盛り上げ方はものすごいうまいので。ただ、盛り上げた先に何もないので、「え、この程度?」ってなっちゃうんですが。

そんなわけで映像作品としては面白かったですが、映画としては物語と主人公の魅力がなすぎてかなり肩透かしを食らった印象でした。

ただ、これは僕が期待しすぎたからっていうのもあると思うので、好きな人もいるとは思います。

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