駆け足になってしまったのと、ラストの展開の腑に落ちなさがもったいない

 

「ブルーサーマル」は小沢かなさんによる漫画『ブルーサーマル -青凪大学体育会航空部-』を原作としたアニメ映画。グライダーで空を飛ぶ航空部を題材としている。監督は「プリンセス・プリンシパル」シリーズなどの橘正紀さん。「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」などの堀田真由さん、「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」などの榎木淳弥さん、「Free!」などの島﨑信長さんらが声の出演をしている。

ストーリー:都留たまきは高校時代、バレー部に所属していたが、体育会系は気持ち悪いと思われたことが心の傷になっていた。そこで心機一転、大学ではそう思われないようなサークルに入ろうとしていた。しかし、アクシデントから航空部のグライダーを壊してしまう。その弁償ができないため、雑用係として入部したたまきだったが、彼女は空間把握能力が抜群に優れていた。

 

空は綺麗でした。

うん。なんていうか、それに全振りしたような一作だった気がします。空を飛ぶ時のワクワク感みたいなのはすごく伝わってきたし、そういう意味では結構満足度は高い気がします。

一方で、ちょっと物語が駆け足になりすぎてしまっている感じがありました。原作が5巻ということで、そんなに長くない一方、無理すれば全部詰め込めるかも、ってボリュームだったのが逆に良くなかったのかもしれませんね。

結果として全部詰め込んで、わけわかんなくなった印象でした。いや、わかるんだけど、ちょっと感情移入しにくいというか、「あれ?もうその話は終わったの?」って感じで物語が進んでしまっていて、もっと深く観たいシーンが多かったってのが率直な気持ちでした。

あと、ラストの方の展開は映画オリジナルらしいんですが、ちょっと無理があった気がしました。観終わってから調べて知った原作の展開よりも映画の展開の方が個人的には好きだったんですよね。だからオリジナル展開は別に抵抗ないというか、原作の展開よりいいじゃん!って思ったんですが、改変するならもっとしっかり作ってくれよ、って思いました。なんだろう、結果だけ変えているようなところがあって、それだとそうはならんよな、っていう腑の落ちなさが出てきてしまうんですよね。

そういう終わり方にするなら過程をもっと変えなきゃいけないし、結果の出し方も納得できない感じになってしまって残念でした。

また、これはもう漫画を読めよって話ですが、主人公のトラウマというか、体育会系に抵抗があるくだりなんかもめちゃくちゃ邪魔な感じがしちゃったんですよね。途中からほとんど触れられないし、序盤、ただただ主人公がわがままなだけに思えてしまって。それぞれの人間関係なんかも結構よくできているんですが、いかんせん駆け足過ぎて、全部説明するので精いっぱいだ!あとは想像してくれ!って気持ちで作ったんじゃないかって邪推するくらいの印象でした。

ただ、最初に書きましたが空を飛ぶところはすごく爽快感があるし、たまきがどんどん成長していくところなんかはワクワクするので、結構ハマる人はハマるような気がします。

そんなこんなで悪い作品ではないのですが、個人的にはちょっと展開の急さとラストの腑の落ちなさが気になってしまった一作でした。

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