心に残る物語。ただ、観たかったものはこれじゃない感も

 

「白い牛のバラッド」はマリヤム・モガッダムとベタシュ・サナイハが監督を務めたイランの映画。マリヤム・モガッダムは主演もしている。アリレザ・サニファル、プーリア・ラヒミサムらが出演。

ストーリー:ミナの夫は殺人罪で逮捕され、死刑が執行された。しかしそれから1年後、夫の罪が冤罪だったと知る。シングルマザーとして苦労しながら耳の聞こえない娘ビタとともに生きてきたミナは事件の担当判事に謝罪を求めて裁判所に出向くが、判事とは会えない。そんな中、部屋を追い出されることになり途方に暮れていたミナだったが、夫の友人だったという男が現れ、その助けで部屋を借りることになった。

 

強く印象に残った映画でした。

ただ、なんだろう、あんまり観たかったものではなかったな、って思いました。いや、本当に悪い映画ではないと思うんですが、もっと司法の問題に切り込んでいく一作なのかと思ったら、そうでもなくて。

結構ずっと日常を描いていく一作なので、もう少しイランの国内の問題とかを知りたかったな、とか思ってしまいました。いや、もちろん日常レベルでいえばかなり知ることができる一作ではあるとは思うんですが。

どうやらイランは検閲とかが厳しいらしいので、あまりそうした法的な問題などに真っ向から切り込んだ一作は難しかったのかもしれません。ただ、結局今作はイラン国内では上映禁止になってしまったようなので、せっかくならもう少し鋭い視点で描いてほしかったな、とか無責任に思ってしまいます。

まあもちろん国内の事情がいろいろあるだろうし、これ以上描いてしまうと亡命とかしないとダメなのかもしれないので、本当にこれは無責任で外野だから言えてしまう意見なんでしょうが。

そういうわけでちょっと入り口を間違えて観てしまった感じがあったので、ちょっと入り込みにくかったですね。日常が多すぎてちょっと眠くなってしまいましたし。

一方でマリヤム・モガッダムの演技は非常に印象的で、心に残っています。

自分だったらどうするんだろう、みたいなことをたくさん考えさせられますし、そもそも不可逆的な死刑というものに対してもいろいろと考えます。

そんなわけで良い作品だったと思いますが、自分の観たかったものや想像したものとだいぶ離れていたので、個人的な満足度はあまり高くなりませんでした。でも良い作品だとは思うので、興味があるなら観ると良いと思います。

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