普通に面白い一作。ただ、何かもう一歩ほしいところだった

 

「355」は「X-MEN:ダーク・フェニックス」などのサイモン・キンバーグ監督によるスパイ・アクション映画。ジェシカ・チャステイン、ペネロペ・クルス、ファン・ビンビン、ダイアン・クルーガー、ルピタ・ニョンゴらが出演している。

 

ストーリー:コロンビアの麻薬カルテルを強襲した特殊部隊はカルテルの全滅に成功する。そんな中、部隊の一人があるデバイスを発見する。それは、世界中のさまざまなものをハッキングできるデバイスだった。彼は組織を裏切り、世界のテロ組織にデバイスを売ろうとする。その動きを察知した世界各国のエージェントはデバイスの回収に動いた。彼女たちはお互い邪魔しあう中、共通の目的に向けて一つのチームになっていく。

 

面白かったです。

いわゆる王道のスパイ映画って感じで良かったですね。

ただ、なんだろう、ちょっとテンポが悪く感じたところはありました。まあ今作も「アンチャーテッド」のように、女性エージェントたちが一つの方向を向くまでが長いってのがあるとは思うんですよね。

序盤、各キャラクターがなんのために働いているのかもよくわからないままアクションが連続していて、アクションは面白いんですが、ちょっともやもやした気持ちになりました。

まあキャラクターが多いし、それぞれの持つ背景の説明もしなきゃいけないし、って感じでかなり序盤に詰め込まなければいけない要素が多いっていうのが問題なんだと思うんですが。だから、それなりに面白いんだけどなんだかすんなり情報が入ってこない印象のまま進んでしまった感じがありましたね。

そんな中でペネロペ・クルスの演じる役が非常に魅力的でしたね。彼女の演じるグラシエラ・リベラはただの心理学者で戦闘経験はおろか、なにもエージェント的なことはしたことがないという役で、急に世界を股にかけて活動しなければいけなくなるというのが面白かったです。それによってピンチになるところももちろんあるんですが、ものすごい足を引っ張るようなこともなく、良いバランスだったと思います。みんなめちゃくちゃなことをやっている中、すごく地に足をつけた役なので観客としても感情移入しやすかったです。

彼女が目立つようになったあたりからチームもまとまっていきますし、どんどん面白くなっていきます。

ただ、敵側の目的がちょっと微妙だなあって感じだったのが残念でした。この何でもハッキングできるデバイスって面白いアイデアなんですが、すごすぎて売る必要を感じないんですよね。だって変な話口座とかも全然操作できちゃうんでしょ?なんでわざわざ飛行機とか落とすの?って思いました。いや、そりゃ持つ側が直で世界征服とかしたいならあれだけど、ほかの人に売る理由がわからないんですよね。お金ならハッキングで手に入るだろうし。

そんなわけで面白いところも多いんですが、どうも突き抜けた印象がなく。こちらもまた続編とかやる場合は面白そうなんですが、今作だけだと普通に面白いスパイ映画、って域を出なかったです。さらに面白くなる要素はたくさんあったと思うので、ちょっともったいなかったかも。

とはいえ、やっぱり世界各国をめぐるスパイものとしての安定した面白さはありますので、気になっているなら観てみると良いと思います。

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