川久保玲
日本人女性デザイナーで、ファッションブランド「コム・デ・ギャルソン」の創始者
株式会社コム・デ・ギャルソンの創業者にして、設立から現在に至るまで代表取締役社長を務めるデザイナー
Birth (資質、個性、深層意識) 1-10-19 絶対無二、革新、力
2017年、NYメトロポリタン美術館にて特別展が開催された。
Rei Kawakubo/comme des garçons“Art of the In-Between”
現存するデザイナーとして特別展のテーマに選出されるのは、イヴ・サンローラン以来。
その快挙にファッション界は驚嘆の声を上げた。
また、1981年、パリコレクションに参加して以来、世界に影響を与え続ける。
1982年、参加3度目のコレクションでは、エキセントリックなイメージとコム・デ・ギャルソン(以下CDG)のデザインの特徴を
欧米ファッション業界に決定的に印象付けた。
メディアの反応は2極化し、斬新な美意識と価値観の導入として歓迎された一方、
否定的なメディアは容赦なく皮肉を込めて辛辣な批判を展開した。
これは明確な世代交代が起こることを示している。
同時期にパリコレ参加をスタートさせたもう1人の日本人、山本耀司と共に、ファッションの新しい流れをリードすることとなる。
優雅と贅沢と高級志向に支えられたファッション帝国の揺るぎない美の規範、制度、ジャーナリズムに対して、
パリコレ参加3度目の新人デザイナーは異例の反響を巻き起こし、後に「黒の衝撃」と呼ばれる歴史に残る事件となった。
世界に衝撃を与え、ファッション界全体において革新を起こす程の絶対無二の存在感。
資質や個性として強くリーダーシップを発揮。
カルミック♯19の、権力や力の誤用の修正、本当の意味での自信と威厳を現実社会で確立していくことを学ぶ、
ということを象徴している出来事ではないだろうか。
また、自分の殻から抜け出そうともがき、幾度となく再生を繰り返していくこととなる。
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Destiny(目的、使命) 9 寛容、全体意識、人類愛
権力闘争の構図が見られる状況の中、彼女は「無視されるよりも、貶されたり非難される方がまだましですから。反応があったこと自体が嬉しかったですね。」と強く語っている。
また、シャネルが「私が何より望んだのは、ファッションから自分の気に入らない物を追い出すことでした。」と言い切った様な、何かを破壊すべく攻撃の矛先を向けた痕跡は見当たらない。痛烈な批判を浴びせられても肯定的に受け入れて立ち、むしろ同じ志で頑張る同業者に対しては、一切批判めいた事を口にしない。破壊主義と言われたデザイナーは「破壊したのではなくて、新しい解釈や可能性を付け加えただけなのですから。」と語っている。
このことから、非難も寛容に受け入れ、異なった価値観を理解し、全体を牽引していくという強い自負を感じとることが出来る。
また、彼女にとって創造は現実との闘いや不満と繋がっており、愛や平和を連想させるデザインも多く見られると同時に、世界の問題に対するメッセージを自身のデザインに込めたいという欲求はないと語っている。怒りや不満は高い理想を掲げているゆえであり、時代の動きに対して象徴的、概念的な形で関係する傾向が見られ、言葉ではなく感覚に訴えかけるものとして現実社会に発信し続ける。
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Soul(魂の欲求) 7 探究心、分析力、洞察力、孤高
CDGのデザインは西洋の立体裁断の伝統が築き上げたルールを乗り越える試みと捉えることができる。また、古びた素材の作り出すシルエットの中に、確実に美を見出している。素材に対して負荷をかけ劣化の手続きを踏み、そこから形を立ち上げる製法は、情熱と意識に裏打ちされた実験的創造行為と表現される。
「未だ」衣服になりきれていないものと「すでに」衣服であることを終えつつあるものの区別がなく、「未だ」から「すでに」に至る全てが衣服の形として吟味し直されること。そして製作工程に周到に目を凝らし、そこから新たな可能性を模索すること。この固定概念を疑い、探求し続けるひたむきな精神は、孤高な印象を与える要因の一つではないだろうか。
Personal(社会的仮面、潜在意識) 20-2 ボーダーレス、オーナー、パートナー、変容
川久保さんは性の役割に対する捉え方を明確に表現している。
彼女にとっての性の解放とは、両性が同時に解き放たれ、みずみずしい性が溢れ出すことを意味していた。
両性がそれぞれに縛り付けられてきた性の制度を男女合同のショーによって一気に断ち切ってみせた。
また、メトロポリタンの特別展では、相対するテーマに分けられており、それらの間に存在する
見えない境界線をいかに破ってきたかが表現されている。
霊性や芸術の前において、境界線はあまり意味を持たないことを理解されていたからこそではないだろうか。
ビジネスもクリエイションの一環と捉える彼女は、ブーブ・クリコ社主催のビジネスウーマン・オブ・ザ・イヤーを受賞。
創造的、前衛的仕事の功績と異質のビジネスウーマンとしての実績や貢献に与えられる賞に選ばれたことから、
デザイナーと経営者としてバランスを取りながら、新しさを打ち出すことの出来る卓越した感性が感じられる。
また、夫はCDGインターナショナルのCEOを務める英国人男性で、「皆誤解しているが、彼女は古い木や犬や猫、
大粒のダイヤモンドが好きな優しい女性」と述べている。
相対する二極のバランス、結合という2の特性と、0の持つ高い霊性は、
川久保さんの在り方から至る所に見つけ出すことが出来る。また、幾度となく再生し変容していくということを自ら意識し、
それを社会から求められた方でもあるという印象を受ける。
Realization(可能性、実現性) 10-1 再誕生、独創、自立、覚醒、人導
川久保さんはヴォーグ・ニッポン誌の黒い服の特集に「黒は死んだ」というメッセージを送り、きっぱりと黒に決別を告げている。
黒が彼女の求めていた意味を失ったことを、過剰なまでの潔さで表現した出来事であった。
1990年代後半のビジネス主導型のファッションの時代には、ショーの観客を大幅に削減。
常に注目を浴び続けてきたデザイナーハウスが、摩擦という困難を覚悟の上で自らの意志を貫いており、
時代の空気をも作り出すという確固たる決意を感じ取ることができる。
それが彼女の強さであり、幾度とない再生を可能としているのではないだろうか。
また、川久保さんの服は“素敵な服”を着ることによる身体と精神の安心感、まずそこをひっくり返されることから始まる。
CDGを着ることは、自身の身体でバランスを取るという不安定の持続を引き受ける行為であり、
緊張感に拠って立つ新しい身体感覚で自らを更なる覚醒に追い込んでいくことと表現されている。
彼女の手を離れた時から、服はそれを着る身体とともに、
精神に対しても自立と覚醒を促すものとして人々を導く役割を担うのである。
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Stage(活躍する舞台) 33-6 愛、美、調和、平和、自己回帰、教育
CDGというブランドはアートであるとよく表現される。一方、それに対しての自らの概念と、一際強い確信を感じる言葉がある。「アートとは思っていません。Sixはコム・デ・ギャルソンの存在を最も正しく伝える方法の一つ。
Six=『第六感』はどこにあるかわからない。しかし確かに存在する。
そのスピリットは、必ずしも服でダイレクトに伝えるものではない。言葉や身体で表現できない、
五感以外の感覚に訴えるものではないかと思っている。」
『Six』1988年からの四年間に8冊制作された、伝説のビジュアルマガジンの名前でもある。
この第六感は、何度でもゼロに戻って執拗なまでに新たな創造へと立ち向かっていく永劫回帰の運動によって、熟成を知らず、永遠に若々しい少年の様に再生し続ける。
自己回帰とも取れるこの精神により、
第六感を6の数字の持つ『愛、美、調和、平和』を表すものとしてこの世に誕生させ続けるという、壮大な螺旋。
この数字はコア♯でこそないが、彼女の舞台であるとともに根源や根本と言える程の
重要な意味を持つという印象を受けずにはいられない。
また、現在CDGの取締役副社長を務める渡辺淳弥さんの他、阿部千登勢さん、落合宏理さんなど、
世界で活躍する天才デザイナーの多くはCDG出身。
彼女の教育者としての一面も、見逃すことの出来ない素晴らしい功績の一つと言えるだろう。
Challenge(方向性、挑戦) 14-5 自由、冒険、海外、刺激、破壊
川久保さんは、何の為にデザインするのかという質問に「自由でいる為です」と答えている。
決まり切ったことだと無視したり、諦めたり我慢したりせず、自由な視点から新しさを生み出すことの証として
ファッションデザインという手段を使っている。
そもそもブランド名の由来は「少年のように」。実質的な意味は「少年の持つ冒険心」。
フランス語の「comme des…」という響きが好きであり、
「最初の名前はそれこそ偶然かもしれないけれど、そこに息吹を与え、運命となっていくのは主宰者の力です。」と語っている。
世界に刺激を与え続け、破壊主義と呼ばれた川久保さんをリーダーとするこの会社は、
クリエイションを柱にして航海する船として例えられるのではないだろうか。
自由という旗を掲げ、冒険小説を読むような「新しいワクワクする何か」を探し、より広い世界へ航海に出るのだ。
また、カルミック♯である14の、真の自由とは何か?ということは、6という数字と同じく、川久保さんを構成している重要なテーマであり、鮮やかなカラーであると思われる。
Nature(自然と持っている資質) 11-2 霊的感受性、神秘、高次元
彼女のクリエイションの秘密を垣間見ることのできる言葉がある。「融合、不均衡、未完成、消去、そして意図の不在です。」。自己の意志以外のものに委ね、「確かに存在する何か」を信頼している様子が伺える。
また、そうした彼女の姿勢をあるライターが評した言葉は「驚きは川久保玲からやって来た。…彼女は後光を放つ。とても高く、とても白く。」。それは権力としての強さではなく、大きな流れに飲み込まれることなく自己を主張し、異なった価値観の到来を認識させる強さであり、黒の印象が強い彼女の神秘性を、この上なく表現した一文ではないだろうか。
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Creation 6 完璧な均衡と美 崇高な理想美
これが果たしてファッションなのかという衝撃を与えたコブドレスの制作当時、孤独を感じたと川久保さんは語っている。
高次元の創造領域に立ち入った、前衛ゆえの闘いの孤独。
アート界ではすんなり受け入れられたことから、彼女が辿り着いたのはファッション界を突き抜けた芸術の世界であり、
ずば抜けたクリエイション能力であることが感じられる。
Growth 0 起こること全てが精神成長
川久保さんは知的なデザイナーと言われているが、コレクションには激しい感情や深遠な霊性に満ちた、
深く個人的で自己反映的な物語を感じさせる。
また、Soul 7、最終cycleのテーマは16。精神成長の為の爆発的な学びと探求を表し、
この真理の探求という能力が類い稀な彼女のクリエイションを支えていることが伺える。
Cycle
0〜35歳 cy 10-1 pi 21-3 cha 1
与えられた環境の中で本来の自分を取り戻し、それを表現、自立を目指す時期。
独学でファッションを学び、フリーに転身。会社を立ち上げ、店舗をオープン。
36〜44歳 cy 11-2 pi 9 cha 5
感受性を活かし、揺るぎなく理想に向かう。寛容に全て受け入れ、広い世界と関わり、変化し刺激を与えていく時期。
世界に激動を与え、活躍の舞台は世界へ。
45〜53歳 cy 11-2 pi 12-3 cha 4
芸術性、天才的な能力を発揮。コラボレーションやパターン打破で可能性を広げ、基盤を形成していく時期。
他デザイナーとのコラボやブランド誌などを立ち上げ。結婚。
54歳〜 cy 16-7 pi 8 cha 6
達成の時。名誉を手に入れ、バランスを取りながらリーダーシップ発揮。
爆発的に真善美を探求し、神秘を用いて社会へ貢献していく。現在も経営者、デザイナーとして活躍中。
リーディングをおえて
川久保玲さんをレポートの対象として選んだ理由は、まず誕生日が同じであったことです。
また、ファッションに興味を持った高校生時代、ストリートファッションとともに絶大な影響を与えていた存在が彼女であり、無意識に私の心の中にずっと留まっていた方でした。
課題のお話を聞いた瞬間に、この方にしようと決まったのです。
実際にリーディングをしてみると、コアは異なるナンバーなのですが、似たような二桁の数字やtypeIIの出方などに驚きました。また、読んでいくうちに、彼女のテーマは自分のテーマでもあることが解り、とても興味深く楽しく資料を読ませて頂きました。
リーダーシップやバランスを取ること、霊性や探求心、繊細でありながらとても強い心など、恐れ多いのですが見習って行きたいと感じる部分が沢山見つかりました。
今回をきっかけに、現在も活躍中である川久保さんを応援させて頂きたいと思います。
Reported by
AEONS Numerology Basic the 13th Class
Shie @Megro Class