1、西大寺の創建
西大寺は天平神護元年(765)に建立された官大寺で「南都七大寺」の一つに数えられた由緒ある寺院です。創建したのは聖武天皇の娘、称徳天皇。前年に起きた「恵美押勝の乱」(藤原仲麻呂の反乱)の鎮定を祈願して、その創建を発願しました。父帝が建立した東大寺と対になるように、平城宮の西側に建てられた西大寺は、創建当時、百十を超える諸堂が建ち並ぶ、壮麗な大伽藍を誇っていました。
第1章では、奈良時代の仏教美術や経典、瓦などの出土資料を通して、創建から平安時代にかけての西大寺の歴史と繁栄を紹介します。
県立美術館1階のフロアーの入り口付近には黄金の塔本四仏坐像が展示されていました。創建当時の西大寺の世界へ引き込まれていきます。
※ 仏さまの世界 四つの役割
仏像には○○如来や○○菩薩などの名前がありますがそれぞれの役割を持っています。
「如来」というのは悟りを開いた仏さまという意味でその前に個人名がつきます。釈迦如来、阿弥陀如来のようになりますが、「如来」の部分を略して「お釈迦さま」や「阿弥陀さま」なんて呼ばれることもあります。
「菩薩」は悟りを開いていません。如来さまのいる悟りの世界と私たちの住む世界の掛け橋になってくれるような役割をします。観音菩薩・地蔵菩薩など修行のひとつとして私たちを救うという役割をします。
「明王」は漢字では明るい王と書きますが、顔はとっても恐いのが明王さまの特徴です。悪いものに対して怖い顔をしてやっつける役目があります。インドのこわい神様がモデルです。
「天」は仏さまの世界を守っています。シルクロードの地域の武人がモデルで、鎧兜をつけていつでも戦えるようにしています。
有名なのが四天王です。有名な戦国武将の上杉謙信が崇拝した毘沙門天や金剛力士像の仁王様も天になります。 まとめると、悟りを開いた「如来」、悟りの世界と私たちの世界を橋渡ししてくれる「菩薩」、怖い顔をして悪者をやっつける「明王」、そして仏さまの世界の守護神「天」です
引続き、西大寺展を楽しんでください。
