【歳末号外⑥】ネタバレビュー(2)『ブレードランナー2049』なぜか今頃(6) | アディクトリポート

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昨日(『ブレードランナー』(1982)バージョン違い )の続きで、

ネタバレビューの2回目。

1回目】『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』

なぜか/なんで今頃の6回目。

【1回目】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』

2回目】『デッドプール』

3回目】『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』

               『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』

4回目】『スター・ウォーズ ジェダイの帰還』

5回目】『スター・ウォーズ フォースの覚醒』

 

お題は、はやくも誰もふり返らない、

『ブレードランナー2049』

 

今年のものは今年のうちに。

 

それにしても、

シネコンの徹底収益主義のため、

上映時間の長さも災いし、

IMAXどころか、

通常上映も早々と終わってしまい、結局一度しか観られなかった。

 

名画座が消滅したため、

今後はビデオパッケージか、

配信で見なおすしかない。

 

かように、興収たちまち、

作品の真価みたいな決めつけが横行。

 

『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』も、

2週目の急激な収益の落ち込みから、

酷評がグンと増えた。

※子供にまで突っ込まれるアリサマ…。

 

だけど、

いくら最大ヒットになろうと、

アナと雪の女王』(2014)には、さっぱり感心しなかったのと反対に、

『2049』は、

わざわざ35年ぶりに、オリジナル(1982)の続篇を作るだけの価値はあった。

 

『ブレードランナー』脚本のデビッド・ピープルズはあくまでも補佐に過ぎず、

ソルジャー』(1998/日本公開1999・未見)という、

 

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『ブレードランナー』と世界観がつながる作品の脚本も担当しながら、

昇華に至らなかったので、

本来の脚本担当で、

『2049』も担当したハンプトン・ファンチャーに的を絞る。

 

元俳優で、

原作、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

の映画化権をいち早くゲットするも、

 

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映画化実現までに手こずったファンチャーだが、

よくぞあの原作から、この映画にしたと、

その腕前に感心する。

 

1982年作の主役は、

本当はデッカード(ハリソン・フォード)ではなく、

レプリカントたち、

とりわけロイ・バティ(ルトガー・ハウアー)だが、

それは終盤ギリギリまで伏せられている。

 

だから、リドリー・スコット監督が、

出ずっぱりのデッカードをレプリカントにしたがったのも、

作品の方向性としては間違っておらず、

頷けもする。

 

レプリカントは未来版の奴隷で、

強制労働や性風俗などの、

社会の底辺にあてがうために、

人為的に製造された。

 

しかしやがて自我が目覚め、

辛酸をなめる身分に抵抗、

自分の親(タイレル)に会い、

寿命を知ろうとあがく。

 

やがて、避けられない死を迎える間際に、

人の命を救うという、

並みの人間にはこなせない偉業を成し遂げる。

 

『2049』でもこの作品理念は健在で、

主人公のブレードランナー(ライアン・ゴスリング)は、

彼自身もレプリカント。

 

捜査が進むうちに、

自分は並みのレプリカントではなく、

レプリの母レイチェル(ショーン・ヤング)と、

人間の父デッカード(ハリソン・フォード)が契(ちぎ)りあって生まれたらしいと悟る。

 

この時点で『2049』は、

リドリー・スコットの「デッカードもレプリ」という解釈を否定しており、

1992年の「ディレクターズ・カット」以降の続編ではなくなっている。

 

 

父に会いたい、

自分の素性を知りたい、

という、いかにも人間らしい想いを果たしつつも、

失意もあり、また探究中に彼だけが知った新事実もあったので、

他のレプリと変わらず間もなく寿命が尽きる土壇場で、

ロイ・バティと同様に、

自己犠牲で他者に尽くす。

 

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』のシーザーが、

 

サル(エイプ)なのにと同様に、

レプリカントなのに

並みの人間を超える。

 

というのが、

『ブレードランナー2049』のキモの部分ではないだろうか。

 

興収がどうのこうのなんて、

ホントどうでもいいよ!