なぬ?
ひお あきら?
「新戦艦大和」試読会(6/17~26)
に足を運んだ人の多くが驚いたのは、
現役アーティストのトリビュート作品の中に、
あの、ひお あきら(あて字は「氷魚 章」)が参加していたこと。
私も終わる直前の24日に行って来て、
原画の繊細な筆致に接したのは収穫だったが、
実はこの絵の存在自体は、
試読会開始前日の6月16日には知ってたし、
↓このように、かなり元データに近い画像(配布自由)まで、
ちゃっかり入手していた。
さて、このイラスト、
当初は「新戦艦大和画報」の、
先行予約者への特典にする予定だったが、
ひお氏の渾身の取り組みでイラストの仕上がりが遅れたうえに、
発売日や定価の変更が重なり、
いまだ予約受注が始められず、
その案はボツに。
本(「新戦艦大和画報」)には、
きちんと収録、掲載されるはず、とのこと。
なぜ私がそこまで事情を把握しているのか、
さすがにそろそろタネ明かしをすれば、
銀座の試読会や、
それに先駆けた新宿紀伊國屋のアート展を、
外部の情報で知ったのはホントだが、
「新戦艦大和」の復刊計画があることは、
今年の1月には、とっくに知っていた。
というのも、
復刊には原本を所有している人からの提供が欠かせず、
しかし誰が所有しているかなんて、
当初はわかるはずがない。
そこで復刊スタッフがネットで「新戦艦大和」を検索し、
このブログに問い合わせてきたというわけ。
こちらは画像も情報も、
単にネットからパクッただけなので、
主たるパクリ元の、
アワー・スターブレイザーズ・ドットコムの主宰、
ティム・エルドレッド氏に問い合わせ、
同氏は数冊のみ所有と判明。
一方で、
団鉄也氏が作画の「少年画報」漫画連載は、
1963年7月号から1964年3月号まで、
9号分もあったことを、
その時、今さらながらに知った。
そんなこんなで、
復刊の
当たり前だが、持っている人はいるもんですね。
※勝手にマンガだけの復刊だろうと思い込み、
さらなる原典、
吉田郁也氏の絵物語まで、
同時に復刊とは思わなかった。
とにかく、ひおあきら氏は、
「新戦艦大和」と「宇宙戦艦ヤマト」の双方を手がけた、
おそらくただ一人の、プロのマンガ家となった。
↑「新大和」タイトルは勝手に加えたので、なんちゃってフェイク画像です。
「ヤマト」1作目のマンガは、
松本零士版は「冒険王」に連載、
聖悠紀版は「テレビランド」に連載されたが、
ひおあきら版に雑誌連載はなく、
朝日ソノラマの単行本が初出だった。
「宇宙戦艦ヤマト」
1巻1974年11月2日発行。2巻1974年12月25日発行。3巻1975年2月20日発行。
「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」
1巻1978年9月10日発行。2巻1978年11月30日発行。3巻1979年2月15日発行。
「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」
1巻1979年9月29日発行。2巻1979年11月25日発行。
「ヤマトよ
1巻1980年10月1日発行。2巻1981年1月2日発行。
「宇宙戦艦ヤマト 完結編」
1巻1983年2月28日発行。2巻1983年6月30日発行。
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ひお氏は、
●「復活篇」(2009)
●実写版「SPACE BATTLESHIP ヤマト」(2010)
●「宇宙戦艦ヤマト2199」(2012)
にはさすがにノータッチだが、
田中圭一氏との対談集
「ぼくたちのSFマンガ青春期」(2015)で、
「2199」トリビュートイラストを寄稿している。
ご購入は、こちらより。
「ひおあきらのヤマト」といえば、
1作目の艦体の下半分が風船のように膨らんだ、みっともない姿が有名。
ダメダメの代名詞みたいな評価がつきまとうが、
↓このドテ腹ヤマトは1作目だけで、
↑2作目以降はきちんと是正され、
↓そのままを維持、
↑最終作まで二度と型崩れを起こさなかったことは、
あまり知られず、評価もされていない。
1作目マンガで、
描き進めるうちにヤマトがどんどん変形してしまった反省から、
↑初登場時は、こんなにスリムだったのに…
2作目以降は、
代表的な図案を大判で描いておき、
これのコピペで最後まで切り抜けるという、
ひお氏が同人誌時代から師と仰いだ、
松本零士方式(1975年以降のアルカディア号より)を踏襲。
有名な三面図を下絵としながらも、
ブラスタルゴ氏が逆変換してみると、
↑部分的な肥大化や膨張が認められるんだとか。
基本設定資料に描き込まれた、
微細な曲線のニュアンスまで、
忠実にトレースし、
アニメの設定資料に存在しない角度からも、
あえて多数描き起こしたため、
アニメ画面や「さらば」以後の追加設定資料、
松本マンガで見慣れたヤマトとは異なる、
独自の精悍なビジュアルを供給しつつ、
現役時代の「ヤマト」のドラマを、
誕生(進水・進宙)から臨終(沈没)まで
未完に終わらず、
しっかりと語りきったことは、
多いに評価されるべきだと思う。
そんなひお氏が、
新戦艦大和も描くことになったのは、
ある意味、
必然だったのかも知れない。
「新戦艦大和」情報は、「画報」発売まで、しつこく続く予定です。