ウルトラマン裁判/チャイヨー戦士PART4 | アディクトリポート

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思いがけず、
「チャイヨーのウルトラ戦士」のPART4。

チャイヨー製のウルトラ3戦士、
555555
ミレニアム、ダークウルトラマン、エリート
3人の、デビュー時期はいつだったのか。

以前の本ブログの独自(=非公式勝手)リストで、
「2006年」とした
のは、
あくまでも
↓告知ポスターに基づく逆算に過ぎない。
だれから

この、
↓「ウルトラマン・ライブショー4D」告知では、
ええと
ショーの開催日付は、
2004年4月23、24、25、30日と、
88888
5月1日、2日となっている。

また、明確な証拠にはならないが、
この画像ファイルの名称は、「20120414165726.jpg」なので、
ささ
2012年4月に開催された可能性がある。

というわけで、あらためて、
チャイヨープロと円谷プロの係争を調べてみることにした。

日本語Wikiは、記述の変化が流動的なので、
海外の案件なら、英語表記の方が簡潔でわかりやすいが、
それはあくまでも、英語が読み取れればの話。

リンクを貼って「そちらを参照」としても、
どうせ誰も見ないだろうから、
これ(日本語版)と、これ(英語版)を、このブログでニコイチし、
画像をふんだんにちりばめて、ごまかす紹介することにした。

若干まとまりに欠け、
話が行ったり来たりだし、
英文は「ぶっちゃけ意訳」なので、
正確さは保証できないが、
いちおう、
2週間ほど前の最新事情まで盛り込んだ。


ウルトラマン訴訟

チャイヨー・プロダクション(Chaiyo Productions Co. Ltd.) は、
ソムポート・セーンドゥアンチャーイ
(Sompote Saengduenchai)
「ソンポート・ソンゲンチャイ」
「ソンポテ」
とも表記されるので、
以下「ソポート」

が率いるタイ資本の会社。
本社はバンコクにあり、アユタヤ県にスタジオを持つ。
「チャイヨー」の意味は「万歳」。

ソンポートは日本に留学して円谷英二から特撮技術を学んだ人物で、
33334
日本の特撮映画・テレビの影響を受けた映画・テレビ作品を制作している。

特に円谷皐(つぶらや・のぼる)とは同年代として気が合い、
ソンポート本人の著書によると、
来日するたび、円谷プロダクション・同エンタープライズへ、
社員のように自由に出入りしていたという。

ソンポートは、バンコクのプラトゥーナム近辺に、
ウルトラマン博物館を作っていた

↓建設当初の晴れやかなウルトラマン頭部像(2006年)と、
321
↑朽ち果てて悪のウルトラマンに変貌した現在(2012年)。


チャイヨー・プロダクションは、円谷プロダクションと
1974年には
↓『ジャンボーグA&ジャイアント
mimi

↓『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団
ろく
の合作をするなど良好な関係にあったが、
3代目社長円谷皐が——
↓生前の円谷皐。
おら
撮影時期は、ウルトラマン25周年の1991年。

——死去した半年後の1995年末頃より、
「ウルトラマンの権利は当社(チャイヨー)の所有。契約書も存在する」
と主張を始める。

それに対して円谷プロ側は、
当初チャイヨー側の言い分を鵜呑みにして契約書の存在を認めたが、
仔細に調査・検証した結果、「契約書は偽造」として裁判となった。

チャイヨー・プロダクション側の主張
「この映画(『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』)の配給権が、
1975年に香港に12万米ドルで売れたが、
資金繰りに窮していた円谷プロ側は、
この12万米ドルを1年間借りたいとし、
さらにその後チャイヨーに無断で,
円谷が台湾に配給権を8万米ドルで売却したことが発覚した。

1976年3月に来日したソンポートは,
円谷に20万ドルの返却を要求したが、
金のない円谷は、
20万ドルの返済の代わりに譲渡契約を提案。
1976年に円谷プロの当時の社長円谷皐との間で、
↓『ウルトラQ』から
123
↑『ウルトラマンタロウ』
及び『ジャンボーグA』
えーす
の7作品において、日本以外における独占権をチャイヨーへ譲渡する契約を結んだ」
以上が、1995年末頃から始めたソンポートの主張である。

この主張の裏付けとして、
ソンポートは、『キングコング対ゴジラ』の1962年頃、
円谷英二にタイの仏像を示している写真を根拠に、
自分こそ、ウルトラマンの生みの親の一人と主張。
近年のソンポート(写真集を開いている、メガネをかけた右の人物)。
00000
件(くだん)の仏像の写真は写っていないようです。


裁判中に晩年の成田亨に会って、
彼の絵を購入した見返りに、
この主張を認めさせようとしたらしいが、
判決にはこの一件は考慮されていない。

そもそも契約書というものは、
双方の権利が具体的に明記されているはずなのに、
この文書には円谷プロ側の権利が記載されておらず、
裁判自体が成立しない可能性もあった。

しかし円谷エンタープライズ名義の社印が押印されていることから、
正式な契約書として扱われ、
日本とタイで別々に裁判が開始された。

円谷プロダクション側の対応

生前の皐社長からは権利の譲渡などの話は一切無かったにもかかわらず、
当時社長の円谷一夫はチャイヨー側の言い分を鵜呑みにして、
契約書を認める書簡をソンポート氏に送り、
権利の買戻しを申し出たが、
同氏は拒否したうえに、
理不尽な主張さえくりかえした。

こうしたチャイヨー側の対応を不審に感じた円谷プロ経営陣は、
契約書を仔細に検証すると同時に、
当時の会社経理簿の記載や取引銀行の入出金記録等を綿密に調査を行ったところ、
円谷プロ・同エンタープライズ両社の財務記録とはまったく符合しないうえに、
当時在籍していた重役達と経理担当責任者も、
そのような金銭の流れを知らなかった。

このように当時の経営状態の検証も踏まえた結果、
「契約書は偽造」と確信したため、
チャイヨーへの対応を改め、裁判で争うこととなった。

裁判前の状況

契約書を作成したとされる1976年以降も、
ウルトラマンの商品は円谷プロとの契約により、
世界各国において販売されている。

タイ国内でも同様に販売されていたのに、
チャイヨー側は円谷皐が亡くなった後の1995年まで、
契約に関して一切の連絡をしていない。

さらに円谷プロ(円谷皐)は、
海外での作品自体の放送契約販売も通常業務として行っており、
1990年代前半には、
中華人民共和国でウルトラシリーズが同国初のTV放送されている。

(中国では1980年代後半に「恐竜戦隊コセイドン」を一部地域で放送した実績がある)
こせ

特に1993年には、
上海・魯迅公園でのウルトラマンのイベント初日に10万人以上が殺到したために、
安全上中止になったほど作品の人気は高い。

その事が日本のマスコミで取り上げられた際に、
『ウルトラセブン』が放送予定にないことを記者がいぶかしみ、
質問したところ、

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「セブンはアメリカの配給会社との契約期間がまだ残っているため、
現時点では当社(円谷プロ)との直接契約では放送できない。残念だ」
と円谷皐は報道陣に説明している。

このように譲渡(チャイヨー側の主張)後も変わらず、
円谷プロは国際室という部署により海外事業を続けていた。

それらに対してソンポートは
「ノボルサン(円谷皐)が生存中は信頼関係があったために、
契約書を持ち出すようなトラブルは発生せず、
その契約を元にビジネスをしていました」
としている。

ただし、タイ国現地の特撮ライターの証言では、
1984年の『ハヌマーンと11人のウルトラマン』公開の際に——★
この作品について、詳細は一切不明。
11
11人の内訳は、①②③④⑤⑥=ウルトラ6兄弟⑦父⑧母⑨レオ⑩アストラ⑪キングと推測。

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——★チャイヨーがウルトラマン関連グッズを出していたものの、
1997年まで目立ったそれ以外の関連ビジネスをしていなかった
とのこと。

また、円谷プロは『ウルトラマンパワード』をハリウッドで製作した際に、
ないわ
米国を主軸にした海外での円谷全作品
(当然、ウルトラ全作品や『ジャンボーグA』も含む)
の放送・商品展開拡大のために、
現地法人ウルトラ・コムを拡大充実させて、
カンヌ映画祭(フランス)に併設されている国際見本市にて、
円谷プロ・ウルトラコム連名の番組販売ブースを設置し、
ウルトラ全作及び主要作品を売り込んでいる。

そのウルトラ・コムに対して、
チャイヨーが書簡を送ったのは円谷皐没後であり、
設立後何年も経ってからである。

安藤健二による円谷プロ元スタッフへの取材では、
契約書の真贋について意見が異なる者もおり、
元役員のT氏は
「当時の円谷プロ社印は親会社の東宝が管理していたため、
円谷皐は自分が管理する円谷エンタープライズの印鑑を契約書に押したに違いない。
円谷皐が独断で契約したのだろう」
と語っている。

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円谷プロの6代目社長を務めた円谷英明は、
●契約書が結ばれた1976年は円谷プロの業績が急激に落ち込んだ時期であること、
●円谷皐は物事を独断で進めることが多かった、
と著書で私見を述べている。

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そして裁判へ

1997年以後、チャイヨーは日本国外の主にタイ国で事業を展開し、商品に「円谷チャイヨー・プロダクション」(TSUBURAYA CHAIYO Co., Ltd.)として著作権表示を行っていた。
87878
しかし、社名について日本の円谷プロでは「円谷」(Tsuburaya)の名称使用は承認していない。

円谷プロダクションはチャイヨー側が主張する契約書を無効とし、
1997年にタイで、
1999年に日本で、
それぞれソンポートに対して裁判を起こした。

タイ国の裁判ではチャイヨーが敗訴(円谷プロが勝訴)したが、
日本国内では最高裁で円谷プロ側の敗訴(チャイヨーの勝訴)が確定しており、
再審も困難なため、
日本国内では譲渡契約書が有効という判決に変わりはない。

日本での判決は日本国内でしか効力がなく、
同じくタイでの判決はタイ国内でしか効力がない。

そのため、タイと日本以外の第3国でウルトラシリーズ関連のビジネスを行う場合、
円谷プロとチャイヨーのどちらとライセンス契約したらいいか不明であり、
どちらか一方とだけ契約した場合、訴訟リスクを抱える状態となっている。

チャイヨー側にとって権利は日本国外のものであるため、
チャイヨー側が主な市場としてきた、
タイ国内の訴訟で権利が否定されたことは痛手となっている。

一方、円谷プロにとっても、
日本での敗訴判決とチャイヨーからの訴訟リスクによって、
海外展開が低迷する結果を招いた。

契約書の存在と一連の裁判によって、
円谷プロはウルトラマンシリーズ旧作の海外販売が自由に行えない状況に陥った。

2008年12月24日にチャイヨーは、
ウルトラマンの海外利用権を、
上松盛明が代表取締役を務める日本企業ユーエム社へ譲渡し、
裁判は引き続きユーエム社が継続していくことになった。

円谷プロは裁判に多大な費用をかけており、
各国での訴訟合戦になって消耗することが懸念された。

2004年に第6代社長に就任した円谷英明は、
チャイヨーとの和解による解決が最善と判断してこれを目指したが、果たせなかった。

チャイヨーから権利を譲渡されたユーエム社側も、
2010年10月に円谷プロとの和解による解決を希望するとの声明を発表したが、
和解には至らず2011年から独自に韓国・台湾・フィリピンでの事業展開を開始したが、
裁判の途中で
1998年にチャイヨーとバンダイが交わした契約が発覚したため、頓挫している。

日本国内での裁判の状況

著作権確認訴訟

東京地方裁判所と東京高等裁判所は「日本の管轄ではない」として、円谷プロの訴えがいったんは退けられたが、2001年6月に最高裁判所が、日本で審理可能として差し戻す判断を下した。

これを受け、2003年から始まった差し戻し審は、
○円谷プロが1996年に出した譲渡契約の内容と反しない書簡が真正に成立していること
○契約書の印影が1000倍に拡大しても合致していること
を理由に、全て円谷プロの敗訴で、
2004年4月27日の最高裁判決でも、円谷プロの敗訴が確定した。

判決の解釈は別れるらしく、
チャイヨーは、
●「Q」から「タロウ」までの6作品と「ジャンボーグA」の、日本以外の全世界での商品化権
●上記7タイトルのタイ国内でのテレビ放送権
を得た

とする説もあれば、
タイとアジア圏のマスコミの大半が、
チャイヨーは
●上記タイトルの日本以外の全世界での全権を取得

と、きわめてチャイヨーに都合の良い解釈をしている。

そのため、円谷プロは日本のメディアに、
問題の完全決着のために、日本国外で裁判を続ける意向だが、
それまでは上記タイトルの海外展開を控えることも表明した。

ただし、「タロウ」以降「レオ」以来のタイトルについては、
223
積極的に世界展開していくとし、
2004年の時点で最新作だった、
映画『ULTRAMAN』も含まれていた。
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こうした複雑な版権裁判の余波で、
シンガポールとマレーシアではトラブル回避策として、
ウルトラマン全タイトルの輸入が禁じられてしまい、
このとばっちりで、
タイのウルトラマンファンたちまで、
「どうせチャイヨーの味方なんだろ。お前らのせいで…」と、
他の国から白い目で見られるようになった。

損害賠償請求訴訟
2006年5月18日には、
逆にチャイヨー側が東京地裁で円谷プロダクションを相手取り、
日本国外でのウルトラマンの独占的利用権が侵害されたことを理由に、
12億5000万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

訴額はのちに1億円に減額され、
2009年に、タイ知財法廷と、東京地方裁判所の両方で、
チャイヨーが勝訴し、円谷が敗訴。
2010年9月30日、
東京地裁は円谷プロに、1636万円の損害賠償金を支払うよう命じる判決を下した。

これにより、チャイヨーは世界展開が可能になり、
ミル・クリーク社(Mill Creek)から「ウルトラマン」の、

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シャウト!ファクトリー社(Shout! Factory)から、「ウルトラQ」と「ウルトラセブン」のDVDが発売された。

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2011年7月27日、
知財高裁で、
チャイヨー側が1998年にタイ以外の独占利用権行使放棄と引き換えに、
バンダイから1億円受け取った事実が判明。
一審判決を取り消し、
ユーエム側の請求を棄却した円谷プロ逆転勝訴の判決が出された。

2012年4月26日、
最高裁第一小法廷は、
ユーエム社の上告を受理しない決定を下した。

なお、この判決はチャイヨーが権利を得たとする譲渡契約を
「本件契約は有効に成立したものと認めるのが相当である」
としてその正当性を認めた上で、
チャイヨーがバンダイとの契約で利用権行使を放棄したとする判断であり、
譲渡契約が有効と判断した著作権確認訴訟の最高裁判決を覆すものではない。

日本国外での裁判の状況
ウルトラマンに関する権利を巡る同様の裁判は、タイや中国など日本国外でも行われている。

タイ
2003年3月、タイの最高裁はウルトラシリーズ6作品(『ウルトラQ』から『ウルトラマンタロウ』)と『ジャンボーグA』の日本国外における使用権はチャイヨー・プロダクションにあるとして日本側は敗訴した。

この判決を受けて、アメリカのBCIエクリプス社は、
「ウルトラマン」DVD販売権をチャイヨーから取得したと2005年に発表。
2006年に、2回に分けて発売されたセット売りDVDは、
英語音声トラックが時折日本語音声に切り替わった。
これは吹替素材をアメリカで初放映されたものでまかない、放送の際にカットされた部分に英語吹替音声が存在しないためだが、
権利だけ所有していても、映像素材や音源まで管理できないチャイヨーのもろさを露呈する形となった。
真正版なら、おそらく吹き替えを新録するであろう。

キャラクター裁判

契約書の正当性をめぐり、
権利移譲が争点だったウルトラマン訴訟が係争中に、
チャイヨーは新たな3人のウルトラマンを発表。

それが、ミレニアム、ダーク、エリートだった。
cfder
↑当初はステージショー限定で、
↓関連商品も発売されたが、
ーーーーーー
中国との合作で、
香港スターのイーキン・チェンを起用し、
「プロジェクト・ウルトラマン」として映像作品が製作された。

また、チャイヨーが扱えるのは、ウルトラ6兄弟と父、母までのはずなのに、
契約外の『ウルトラマンコスモス』などのDVDが独自に販売されていた。
ゆゆゆゆ

2006年8月23日、
円谷プロは、
プロジェクト・ウルトラマン
および
チャイヨー製の新ウルトラマン3人組(ミレニアム、ダーク、エリート)は、
著作権侵害及び盗作にあたるとして、中国の法廷に提訴。

日本やタイで裁判しても、
判決の効力が当事国に限られた苦い経験から、
おそらくは第三国の中国で訴えたのだろう。

北京の裁判所は、この問題を精査するために、
「ウルトラマン著作権調査団」 "The Ultraman Copyright Study Group" を編成。

2007年4月に、(なぜか中国ではなく)タイの知的財産、国際貿易裁判所は、チャイヨー側が主張していたウルトラマンそのものの著作権、(新作の)製作権といった権利は却下。

この判決により、チャイヨーが独自に制作している『ウルトラマンミレニアム』などは無許可製作の違法物とされ「プロジェクト・ウルトラマン」は公開禁止になり、1500万バーツ、当時の日本円で約5100万円、約43万米ドル及びその利息分の支払いがチャイヨーに命じられた。

チャイヨーには、クラシックウルトラマン=ウルトラ6兄弟と父母の商品化は認められるが、
自前の新ウルトラマンで商売する権利はないと明確に規定された。
さらに円谷プロの同意なしに、クラシックが登場する新作を作ることも禁じられた。

さらにチャイヨーの権利は、旧作(クラシック)ウルトラマンに限られ、キャラクターの創作権やデザイン権も所有していないのだから、チャイヨー独自の新キャラクターだけでなく、クラシック以降のウルトラシリーズのキャラクター(『ウルトラマンコスモス』など)の利用も認めないとする、円谷プロ勝訴の判決を出している。

2008年2月5日、
タイの最高裁で前年の判決が支持され、円谷プロの勝訴が確定。

そもそもの問題となった独占権に関する契約書について、サインと作品名が誤っていることを根拠に、偽造されたものであると認定。

英文の契約書で、
11111111
●「ウルトラQ」は "Ultraman 1: Ultra Q,"
●「ウルトラセブン」は"Ultraman 3: Ultraman Seven,"
●円谷プロダクションは"Tsuburaya Prod. and Enterprises,"
——となっていた。
“HARUMAN AND THE SEVEN ULTRAMAN”とは、
5555555
『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』のことで、劇中登場の7人目はウルトラの母。


ソンポートは、ウルトラマンの生みの親とは認められず、
チャイヨーの事業継続の条件として、
30日以内に、ウルトラマンの著作権業務から撤退するようにと命じられた。

さらにウルトラマンの単独版権所有者である円谷プロが本来得るはずの版権料を、
どうせチャイヨーはくすね続けてきたと見透かされ、
損害賠償金1070万バーツ及び、最初の訴訟、1997年12月16日までさかのぼり、年利7.5パーセントの利息まで支払いを命じられた。

中国
中国では、2005年9月にチャイヨーのソンポートが円谷プロを広東省の裁判所に提訴して、キャラクター商品の生産と販売の権利行使の停止と損害賠償を求めていたが、2009年10月に円谷プロ側の勝訴に終わった。

この判決後、今度は円谷プロ側がユーエム社に対して中国でのキャラクター商品の販売差し止めと損害賠償を求め、北京市の裁判所に提訴した。
2013年4月に裁判所は和解勧告を出したが、円谷プロは拒否。
同年9月29日の最高裁判決で、契約書に押された円谷エンタープライズの社判が本物であることを根拠に譲渡契約の有効性を認め、円谷プロ側の敗訴が確定した。

2014年現在の権利
上記のとおりチャイヨー・プロダクションはウルトラマンの海外使用権をバンダイとの契約で、1998年に放棄していたにもかかわらず、ユーエム社へ同権利の譲渡契約を2008年に結んでおり、ユーエム社も権利放棄の事実を知りながら裁判の継続と事業展開を開始していたが、2014年現在の法的判断では
{タイ:権利はすべて円谷プロ}
{日本:日本国内は円谷プロ。海外はチャイヨープロから権利購入したバンダイ}
となっている。

今後諸外国の司法においてチャイヨーへの譲渡契約書は有効の判決があっても、同時に1998年の独占利用権行使放棄の契約が有効になるため、ユーエム社の権利は存在しない。

2011年(平成23年)7月27日に判決の言い渡しがあり、
オンライン公開されている知的財産高等裁判所の判決文に記載されている
チャイヨーとバンダイとの間で交わされた平成10年契約の文面には、
同契約の目的が、
「チャイヨ・補助参加人(バンダイ)間の現在の紛争を排除し,かつ,両当事者間における将来の紛争を回避することを唯一の目的に締結された。」
と記されている。

故に、平成10年契約は、
独占利用権行使放棄の契約ではなく、
当時、チャイヨーと円谷との間で係争中の裁判からバンダイを切り離すための訴権放棄の契約である。

また、同判決文に記載されている平成10年契約に記されている訴権放棄の対象項目には、
●一連のクラシック・ウルトラマン作品の配給権(3.1)
●広告権(3.6)
●及び商業上の目的のためにする複製(3.7)

が含まれているが、
2014年12月に出版された「ウルトラマンと著作権」に添付されている
1976年契約の書面上に記載されている
●第3条ライセンスの範囲3.2「制作権」
●第3条3.3「複製権」
●3.4「著作権」
●3.5「商標権」及び
●3.8「上記の権利の第三者への譲渡」

が含まれていない。

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故に、2008年12月のチャイヨーからユーエム社への一連のクラシック・ウルトラマンのライセンス権利譲渡は有効となる。

さらに、平成10年(1998年)契約は、チャイヨー(及び引き継いだユーエム社)とバンダイとの間でのみ交わされたものであり、故に1976年契約によりチャイヨーに与えられた権利の有効性には直接影響を与えないことから、現時点で日本以外の海外市場での全てのライセンス権利は、ユーエム社にある。

ただし、バンダイが、海外市場で一連のクラシック・ウルトラマン作品の配給権、広告権及び複製権を行使したとしても、平成10年契約が有効である限り、チャイヨーからライセンスを引き継いだユーエム社は、バンダイを訴えないという構図になる。

チャイヨーの、ウルトラマンの海外使用権のユーエム社への譲渡契約は2008年のはずだが、英文では2012年となっており、バンダイとの一連の経緯に言及はない。

2015年には、ユーエム社と提携するヴェランダ・エンタ社(Veranda Entertainment LLC)が、「ウルトラマン」数話をユーチューブにアップし、円谷プロの要請で削除された。

ユーエム社はこれを権利侵害として控訴、
同時に、円谷プロの「ティガ」等の海外市場での販売差し止めに動いた。
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ウルトラマン・フォーエバー

ウルトラマン50周年の今年、2016年を見据えてか、
チャイヨーの運営するウルトラマン・フォーエバーというサイトでは、
2014年頃より、シリーズ6タイトルをまとめた、
DVDボックスセットの米国市場での発売が告知されている。

6タイトルには、「Q」がないかわりに、
なぜか「レオ」が加わっているものの、
価格や発売日の記述がなく、予約受付状態のまま、
今年を迎えてしまった。

サイトでは、ソンポートが青森美術館から買い取った、
成田亨の複製画セットも予約受付中となっている。

ウルトラマンUSA社

2015年5月10日、
チャイヨープロは、ウルトラマンUSA社の設立を発表

●フィギュア発売、
●クラシック6タイトルのブルーレイ発売
●新作ウルトラマン映画の製作
●新作テレビシリーズの製作
——を宣言した。

私なりのまとめは、次回に。