「ルパン三世展40+α」
関連記事は終了です。
とはいえ、1回ではおさまらず、前後編に分けますが。
トリを飾るのは、これまでも幾たびか取り上げてきた、
「LUPIN the Third 峰不二子という女」
〈1回目〉
〈2回目〉
〈3回目〉
放送終了後に、まとめや感想を記さなかったのは、最終13話の放送が、ちょうど自分の入院中で、ブログを中断中だったためでもある。
(放送自体は、ワンセグスマホで、病院のベッドで視聴)
その後、機会を逸し続けて今日に至るが、この締めくくりを逃せば、永遠に論ずるチャンスを逃すので、「今さら」をあえて承知で。
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全話見通してから振り返れば、当然のことながら、良い部分と悪い部分があった。
まずは良い部分。
新しい話を、TV 1stと矛盾なく紡いだ
結局はあれですよ。
「だいたい『ルパン三世』って、こういうモンでしょ」
と甘く見てパターンに堕し、
作り手よりも、よほど見通しのきくファンに、
「そんなの、『ルパン三世』じゃねえよ!」
と見透かされてしまう
のか、
あるいは逆に、
徹底的にパターンを廃し、
ことごとく定石を破りながらも、
「そうそう、それでこそ、『ルパン三世』だよ!」
と、かえって感心される
か、
どちらがいいかなんて、言うまでもない。
これまでのシリーズ長期化とマンネリ化で、
とりわけTV 2ndに顕著だった、みすぼらしい内容、
すなわち、
*レギュラー5人(ルパン、次元、五エ門、不二子、銭形)が、毎回必ず登場する
とか、
*銭形とルパンの鬼ごっこ的追跡劇が必ず展開する
とかいった、「お約束に堕すること」が、
「峰不二子という女」ではきちんと見直されて、皆無である。
本作「峰不二子という女」では、
時代設定が、TV 1stよりも前(だからルパンのジャケットが緑)なのと、あくまでも主役は不二子なので、
*全13話に登場するのは峰不二子だけで、これまでの主人公だったルパンでさえが、3話分に未登場である。
*銭形は敏腕な警部で、台頭間もない怪盗ルパン三世を追っており、捜査のためなら峰不二子を抱くことさえ厭わず、しかも色仕掛けに完全に屈してしまうわけでもない。
*まだ五エ門はルパンや次元と対面しておらず、両者が出会う場面もない。
(反対に不二子は、本作内で男性キャラ4人と別々に面識がある)
こうしたことは、出来上がったものを見てしまえば、きわめて当たり前に受け取られがちだが、反対にこれまでの既公開作には、ほとんど見あたらなかった配慮であり、その一点からだけでも、本作への制作陣の取り組みの真剣さがうかがえる。
新しい絵柄に果敢に挑み、成功した
いくら作風が型破りで画期的でも、見た目が変わり映えしなければ、見ているものには、「変わったこと」が伝わりづらい。
それに加えて、従来作にない、隠微で危険な香りのする本作の内容にふさわしい絵柄というものも要求される。
※その手の画像は本ブログでは自動削除されるため、掲載できません。
かといって、『DEAD OR ALIVE』(1996)ほど、突き放したり、よそよそしくてパチモンくさい絵柄にしてしまえば、
旧来からのファンから、総スカンを食らってしまう。
というわけで、「峰不二子という女」の絵柄(キャラクターデザインと作画監督は、 小池健)は、
どことなく懐かしく、(TV 1st以前の時代、1960年代中期から後半あたりの)なんとなく見覚えのある雰囲気が漂うと同時に、
まだ全てが固まりきっておらず、この先どっちに転ぶかわからない未熟さや未完成さを漂わせる、ラフで自由度の高いものになっていて、
そこら辺のサジ加減がまた、実に絶妙といえる。
大野雄二の音楽からの訣別
ルパン三世について何回にも渡り、ダラダラグダグダ書いてきながら、
いつも書こう書こうと思いながら、失念してきた最大の問題、
すなわち私がTV 1stだけは別格に気に入っていて、
2nd以降は、たとえ『カリ城』であろうとイマイチ気に入らないのは、
ひとえに音楽がのきなみ大野雄二という、その一点に尽きる。
いや、私ごときがどう思おうが、成功だった事実は揺るぎゃしないけど、
にしたって、つきあいが長すぎやしないか?
と、常々考えていたところに、大野雄二の作風では絶対にマッチしない「峰不二子という女」が登場し、音楽は菊地成孔に交代、
オープニングテーマ 「新・嵐が丘」
演奏 - 菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール feat.橋本一子
作詞・作曲・編曲 - 菊地成孔
エンディングテーマ 「Duty Friend」
作詞・作曲・歌 NIKIIE / 編曲 - 中島ノブユキ
と、見事にやってのけてくれた!
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良かった点については、こんなところで。
次回は、悪かった点について。