そうですね、じゃあここらあたりから。
2007年にバンダイから鳴り物入りで1/350の宇宙戦艦ヤマトが発売され、標準小売価格が47,250円(税込) もすることもあり、この作品を懐かしむ40代がターゲット……ということだった。
……しかし、このヤマトを見て、

↑モデグラの作例なので、キットの艦側面にあった無粋なスリットは埋められています

本当に「なつかしい」と感じた人が、どれだけいたのだろうか?
私的な感想は、「こんなの、ヤマトじゃねえよ!」だったりしましたよ。
それもそのはず、これはいかにバンダイ開発の方が「そうではありません」と否定しようとも、

↑該当記事「ホビージャパン」2007年3月号

このコメントがうそっぱちなのは、この後の検証で明らかです!
テレビ版第1作(1974)のデザインではなく、1999年のプレステ用に、宮武一貫氏が刷新した新設定のゲーム用ヤマト(~2005)をもとにしているからで、


このデザインを立体化したものとして見れば、文句のつけようがないぐらい、よくできていた。


↑これのどこが「ゲーム版ヤマトでなく」「ミックスしたものでもない」といえるのだろうか?
とはいえ、なにしろたかだか10年も経ってないデザインだから「懐かしくない」し、そもそもゲームを知らなけりゃ「なじみもない」から、親近感だってわきようがない。
ではどうして、バンダイは1/350の決定版プラモデルを発売するのに、最初のヤマトを模型化せず、さらにゲーム版を模型化しておきながら、それを公言できなかったのか?
一つには、最初の設定通りのヤマト(特に側面形が図面と一致するヤマト)は、すでにバンダイ自身が何度も模型化してきたし、

↑側面形では最優等生を貫き、上段の設定側面図にきわめて忠実だった、バンダイの1/700プラモ。中段は現行のメカニックモデル2、下段はその外装で構成された通常版1/700
1/350では、かつて今井模型から、木製ヤマトが二期にわたって発売されたという経緯もあった。
木製ヤマトの初版は、

『永遠に』の1980年に発売されて、当初は2万8千円だったのが、再販のたびに値段が上がって、最後はなんと5万5千円だった。いつもどおりの高額商品乱発の西崎商法で、松本零士のきらいな錨(いかり)マークがしっかりついていた。

↑だが錨のマークがついていても、時期によって版権が松本零士になっていた時もある。

で、このヤマト、パッケージの写真以外に、完成品を見かけた覚えがない。
なぜかというと、部品構成がちぐはぐだからだと思う。
なにせ木製ヤマトなので、大半の部品が木なんだが、そっちはブロック状に大まかな幾何形体でしかないくせに、




金属部品は異様に細かくできている。

ではあるんだが、この金属パーツ、わざわざ「挽物(ひきもの)」(旋盤加工品)やダイカストパーツな割には、形状が独特で、はっきりいってカッコ悪いというか、立体のセンスが今ひとつ。
これはなぜかというと、西崎プロデューサーが、実際の船舶設計会社に、ヤマトを実在する船(艦)として設計させた図面が元になっているからである。

↑全体図は「記録全集」に、各部の詳細図は、ラポートの「大事典」に掲載された。
とにかくこれを、付属する原寸大図面に合わせて、

制作するわけだが、指示通りに作っても、金属パーツの精密さと、木製部分のおおざっぱさがちぐはぐで、真の完成とはほど遠い。
だったら木製部品を金属パーツ並みに成形することにすると、作業が膨大すぎて、いつまで経っても仕上がらない。
そんなわけで、個人の完成品にお目にかかったことがないのが、この木製ヤマトだった。
初版から19年経って、このヤマトはパッケージを最初のTV版に、権利者を松本零士に替えて再版された。

キット内容は、錨マークや主砲三本線などのデカールをのぞけば、初版と同じだったが、最終塗装完成見本が、パッケージにも組み立て説明書にも掲載されなかった。
このすぐ後、翌2000年には、同1/350スケールで、アンドロメダも発売された。


素材はスーパーフォーミングと呼ばれる、高密度発泡スチロール。
とにかく1999年あたりは、松本零士が、「宇宙戦艦ヤマトの権利は自分にある」と主張して、ビデオの「クイーンエメラルダス」や、

↑今でこそDVDだが、当初はVHSが、かさばるフィギュアのブリスターに封入されていた。
映画「銀河鉄道999 エターナル・ファンタジー」、

↑「999」にちなんで、どうしても(中編2部作として、後編の)1999年公開にこだわったため、たった54分しかなく、興行も振るわずに前編のみで終わった1998年作品
そして再開したマンガ「銀河鉄道999」に、


頻繁に宇宙戦艦ヤマトを登場させ、
なによりもゲームの肩書きは、

「原作・総設定・監修」だし、©(著作権表示)も、松本零士になっている。
ではなぜ、この一時期だけ、こういう動きが活発だったのか。
というところまでで、今日はおしまい。
今回も、「自分の権利にしたくても」に行き着きませんでしたね。
次回の期待で。