理想の鞄とは。
それぞれが思い描く形は、
属性、趣味、TPO等で大きく異なるでしょうが…。
チョークストライプのダークネイビーのスーツに合わせるとなると、
やはり、黒を選びたくなります。
京都で唯一、英国パップワース社製のダレスバッグを扱っていたのが、
河原町に店を構えていた丸善。
出向いたのは、もう25年も前のこと。
第一希望は、口金の部分が弓型になったデザインのものだったのですが…。
(パップワースのロゴ入りの専用袋。現在、同社は、スウェイン・アドニー・ブリッグの傘下のようです。)
1918年創業の同社は、
既に、英国王室御用達になっていて、作りは堅牢そのもの。
定番の黒は、サイズも大振りで、とにかく重たい鞄でした。
素材は、スムースなブライドルレザーと記憶しているのですが…。
(美しい光沢のあるブライドルレザー製です。)
(背面も黒光りしています。)
(硬質な革材をこのように折り畳むのには、高い技術力が必要です。)
(底の厚みも13.5cmと十分。)
(シンプルなゴールドの錠前。タナー・クロールを彷彿とさせます。)
(ベロの下には、隠れるように革製の引手が…。当時の物は、同社の刻印入りでした。)
(内側の生地には、エリザベス2世のロイヤルワラントが…。)
(内部は、3コンパートメント。底板を持ち上げると少し細くなります。)
専用のメンテナンスクリームも付属されていたので、
折々に手入れするのも、楽しみのひとつに。
(シルバーの缶入りのメンテナンスクリーム(右端)。こちらも専用袋入りです。)
数年後、口金の留め具が外れて修理をお願いしたところ、
丁寧に使っていたのが幸いして、
瑕疵担保のような処理の仕方で、無料で対応していただき…。
アフターサービスも充実している正に名品でした。
当時の丸善は、チャーチの靴、前原光榮の傘、ジョン・スメドレーのニットと、
上質な品を揃えていましたが…。
残念ながら、その後に閉店。
10年後の2015年に、BALの地階への再出店を聞いて、
友人と立ち寄った際には、前原光榮の傘がありました。
相変わらず、良い唐物を扱っています。
(おまけは、チャーチのカジュアルシューズ。素材は、ディアスキンです。)
(おまけの2は、「傘⑬~前原光榮商店②~」で紹介した前原光榮のマラッカ手元の16本骨。ヒッコリー手元は、「傘③~前原光榮商店~」で紹介しています。)