ハァ、と溜息を一つ落とした。
攘夷戦争も終わりを告げ、銀時も姿をくらました頃。
私は一つの決心をつけた。

「ハァ……」

出てくるのは溜息ばかり。これから私がすることは正しいのだろうか、よく分からない。
複雑な気持ちのまま彼、高杉晋助に逢いに行く。

「晋助ー? 入るよー?」

相手の返事も待たずに静かに襖を開くと、何処からか手に入れた煙菅を手にし、吹かしていた。

「それ、何処から取ってきたのよ」

彼がなだらかな動きでこちらを見て言う。

「辰馬から貰った」

煙を吐き出すその姿は、絵そのもので美しくめあり、儚くとも思った。

「で、用事かなにかか?」

「あ、うん……。えとね、」

言わなきゃいけないんだよな、うん。
もうここまできたんだから。

スゥ、と気づかれないくらいの微かな深呼吸をして口を開く。

「やっぱ、いい。俺もお前に言いたいことあるからせーので言おうぜ」

「なんで?」

「言いたいこと、同じだろ?」

晋助の言い放った言葉が、心臓の奥深くにグサッと突き刺さる。
晋助もやっぱりそうなの……?
やっぱり、私たちは……

「せーの」

晋助が声をかけて同時に口を開く。
ここで言えば、終わる。

「別れよ?」
「シメーにしねェか?」

やっぱり、晋助も同じ事を思ってたんだ……。
目を見合わせて、だんまり。
たげどそれも一瞬の出来事だ。

晋助が珍しく、嬉しそうに笑った。心底、嬉しそうに声をあげて。
それにつられ、私も声をあげて笑った。

「一緒じゃねーかよォ、考えてること」

「そうだね」

「なァ、」

「何?」

「抱きしめてェ」

「いいよ」

どちらかというと華奢な体つきの晋助が、抱きしめる。
痛い、と思うくらいに強く。
これが最後、なんだなって思うと涙が溢れてきた。

「好きだよ、晋助っ……! 大好きだよっ!」

現在進行形で、大好き。

「でも、このままじゃ……いけないの」

涙声で伝える言葉に晋助が真剣に耳を傾ける。

「このままじゃ、進めない」

お互いの未来に向かって。

「そうだな」

「だから、お別れしなきゃ……」

「分かってる」

言葉と裏腹にもっと、強く抱きしめられる。
不覚にも、時間が止まってしまえばいいと思ってしまうくらい幸せだった。

「なァ、愛してるよ」

照れたような声音で晋助が最初で最後の『愛してる』を言ってくれた。

「私も、愛してる」

だからこそ、

「さよなら」
「じゃァな」

お互いに見つめ合い、キスを交わす。
最後のキスは、甘くて切ない味だった。





~せーの~
(私達の未来のために、この愛に終止符を)