そのむし歯、更年期のせいかも | アクティブエイジング アンチエイジング

[そのむし歯、更年期のせいかも]

(家庭の医学  2015年8月4日)


<女性ホルモンだけでなく唾液も減少>
更年期になると女性ホルモンの分泌が急激に減少することで、ホット
フラッシュやめまいなどの症状が現われます。

しかし、同じく女性ホルモンが減少することで、むし歯や歯周病のリスクも
上昇することはあまり知られていないのではないでしょうか。
更年期を迎える女性にとっては、口腔ケアも大切です。

更年期障害にはさまざまな症状がありますが、その1つに唾液の分泌量が
減って口の中が乾くドライマウスがあります。
クラッカーなどの乾いた食べ物がうまく食べられない、口の中に違和感があり
会話がしづらい、食べ物の味が感じられない、舌がヒリヒリ痛む、口臭が
きつくなる、むし歯や歯周病になりやすい、などといったことが起こります。

十分な唾液が分泌されている場合、口腔内に常在する細菌の環境が善玉菌に
優位になることで、むし歯や歯周病の予防に働いています。
しかし、唾液の分泌量が減ると悪玉菌が増殖。
きちんと歯磨きをしていても、むし歯や歯周病になりやすくなってしまうの
です。

歯周病は無自覚で進行する場合もあり、定期的に歯科でチェックを受ける
ことが不可欠です。
歯科では口臭の原因ともなる歯石を除去してくれるほか、ブラッシングの指導
なども受けられます。
むし歯や歯周病はなってから治療するのではなく、日ごろの予防が大切です。


ドライマウスがある場合は、背景にシェーグレン症候群などの病気がないか
どうか、また、薬の副作用で起こっていないかどうかなども確認します。

症状の改善には、舌や口の中の粘膜を保護するジェルや刺激の少ない歯磨き剤
などを使用。

また、ホルモン補充療法(HRT)を受けることで、改善される場合もあり
ます。

唾液の分泌を促すためには、生活面でも工夫できることがあります。
ガムを噛んだり、食事の早食いを改める、よくかんで食べる習慣を身につける
などといった対策です。

また、昆布茶などに含まれるうま味成分であるグルタミン酸が、唾液の分泌を
増やすという報告もあります。


女性にとって更年期は避けては通れないものですが、不快な症状はできるだけ
回避したいもの。
むし歯や歯周病のリスクを軽減するためには、予防の意識を持ってセルフ
ケアを行いましょう。

定期的な歯科検診に加え、適切なタイミングで婦人科での治療を受けることも
大切です。



(監修:よしの女性診療所所長 吉野一枝)






http://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/122895/