[腸内常在菌が腎結石の再発率を減らす]
(HealthDay News 2008年3月5日)
Oxalobacter formigenesと呼ばれる腸管内に普通に存在する細菌が、腎結石の
再発リスクを約70%減少させることが示され、医学誌「American Society of
Nephrology」3月号で報告された。
今回の研究は、再発性のシュウ酸カルシウム(CaOx)腎結石のある成人
247人を、対照群259人と比較したもの。
全被験者の健康状態および食生活に関する情報を収集したほか、糞便培養
検査によりO.formigenesの有無を調べた。
その結果、再発性腎結石群の17%、対照群の38%でこの細菌が検出された。
研究を率いた米ボストン大学公衆衛生学部教授のDavid Kaufmanによると、
O.formigenesの定着と再発性CaOx腎結石との間に強い逆の関連が認められた
という。
「現在、この細菌をプロバイオティック(体内で有益な働きをする細菌の
活用)として利用する研究の初期段階にある」と同氏は述べている。
米国では、生涯に腎結石を発症するリスクが5~15%、5年以内に再発する
リスクが30~50%であるとされ、腎結石による入院コストは年間20億ドル
(約2,040億円)にも達している。
腎結石の80%はCaOxが主成分であり、尿に含まれるシュウ酸が腎結石形成の
主な危険因子(リスクファクター)とである。
O. formigenesは多くの成人に普通にみられる細菌で、腸管内でシュウ酸を
分解する作用をもつ。
http://www.healthdayjapan.com/