最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学
テーマ: 『本当は怖いダイエット〜低コレステロールの罠〜』
S・Hさん(女性)/55歳(発症当時) 専業主婦
高級住宅街に暮らす主婦S・Hさん(55歳)の悩みは、最近、少しお腹が出て
きたこと。
5年前に閉経し更年期を迎えていた彼女は、近所の病院で検診を受けた
ところ、医師から「若干コレステロール値が高いので少し脂肪分を控えた方が
いい」とアドバイスされました。
まだまだ美しく健康に暮らしたいと思った彼女は、コレステロールが多いと
言われる卵と牛乳をやめて食事の量を半分にした上、肉も出来る限り抑える
など、コレステロールを減らしながら健康的に痩せるダイエットを開始。
1年で8㎏もの減量に成功します。
主婦仲間からもスマートになったと言われ、ダイエットをして良かったと
思っていたS・Hさん。
しかしある日、突然、腰の辺りに鈍い痛みを感じます。
たかが腰の痛みと放っておいてしまった彼女ですが・・・。
<症状>
(1)腰痛
(2)激しい腰痛
<病名>骨粗鬆症(骨粗しょう症)
<なぜ、ダイエットから骨粗しょう症に?>
「骨粗しょう症」とは、骨が軽石のようにスカスカの状態になり、脆くなって
しまう病。
現在、日本人の骨粗しょう症の推定患者数は、1,000万人。
そのうち女性患者はおよそ800万人で、その多くが閉経を迎えた50歳以上の
女性です。
S・Hさんも、まさにこの時期を迎えていました。
彼女の体内でも、卵巣で作られる女性ホルモン、エストロゲンが減少して
いたのです。
骨がもろくなるのを防ぐ力がある、この女性ホルモンが減ったことで、
SS・Hさんの骨は年齢相応にもろくなっていました。
そして、そんな時期に始めてしまったのが、あのコレステロールをさけた
食事ダイエット。
一見、理想的に見えるこのダイエット法には、彼女の年齢にとって、必要な
ものが抜け落ちていたのです。
それはコレステロールを減らすために避けた、あの牛乳と卵。
牛乳にはカルシウムが豊富に含まれ、卵にはカルシウムの吸収を助ける
ビタミンDが含まれています。
この2つの成分が足りなかったために、S・Hさんの体内ではカルシウムが
吸収されず、慢性的に不足してしまったのです。
さらにビタミンDが豊富に含まれる魚介類やキノコなどが昔から苦手で好んで
食べなかったことも、カルシウム不足に一層の拍車をかけていました。
そんなことも知らず、食事ダイエットを続けてしまったS・Hさん。
彼女の体は、ついに自らの骨を溶かしてまでカルシウムを補おうとし始め
ました。
こうして、ただでさえ骨がもろくなっている更年期に、間違ったダイエットを
続けてしまったS・Hさんの骨は、加速度的に脆くなってしまったのです。
さらにもう1つ、意外な落とし穴が。
あのダイエットで確かにS・Hさんの皮下脂肪の量は、徐々に減っていき
ました。
実は脂肪でも、わずかではありますが、女性ホルモンのエストロゲンが分泌
され、骨がもろくならないようにサポートをしています。
しかしS・Hさんはダイエットで脂肪を減らしてしまったために、脂肪から
供給されるエストロゲンさえも減っていき、骨がますます脆くなってしまった
のです。
間違ったダイエットを続けていたS・Hさんに現れた、その症状が腰の痛み。
あの時、スカスカになった背骨は、押しつぶされ変形しはじめていたのです。
彼女に骨粗しょう症の危険を知らせたサインは、これだけ。
実は、この病ははっきりとした自覚症状がほとんど現れないのです。
これこそが骨粗しょう症の最も恐ろしいところ。
そして最後の瞬間、S・Hさんの背骨は、抱きかかえた孫の重さに耐える
ことが出来ず、あっさりとつぶれてしまったのです。
一度折れた背骨は完全には元に戻らないため、S・Hさんは若くして一生、
腰が曲がったままの生活を余儀なくされました。
「骨粗しょう症にならないためは?」
(1)閉経後のダイエットに注意。
(2)カルシウムやビタミンDを充分に摂る。
(3)適度な運動を心がける。
もし、少しでも体に違和感を覚えたら、すぐに病院で検査をされることを
おすすめします。